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十四章 不穏な空気
228 フルト視点
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父様のもとで働き始めて二年ほどたっただろうか。学生のころから現場にはついていかせてもらっていたが、正式に騎士団に入団した後は本格的に戦いに参加するようになった。
治癒魔法を扱えるため、何かと頼りにされているようだ。
忙しい毎日を送る中で、最近妙な事件がより増えてきているように感じる。普通に暮らしていたものが、ある日いきなり親しいものや見知らぬものに危害を加えるという事件だ。
その事件には魔法を使われることも多く、オリベルトの魔力を消すこの力は必要とされていた。
その事件の対処に追われていると、家に帰れる日も少なくなってくる。最近アーネやリュラにあまり会えていないのが正直寂しいが、そんなことも言ってられないほど事態は悪化していった。
犯行を行うものは我を失っているものが多く、言葉による説得はほぼ成功しない。そのため実力行使っで相手を取り押さえている。
ほとんどのものが捕らえられてしばらくすると、正気を取り戻すのだがたまにそうではないものがいる。そのようなものは神殿へと連れて行き、神官によって正気に戻してもらわなければいけないのだ。
「アーネの力を借りた方がよさそうだな……」
ある日、父様はぼそりとそうつぶやいた。どうしてそんなことを言うのかと、父の顔を見ると苦渋に満ちていた。きっとこれは選びたくない道だったのだろう。
アーネは最年少で魔術師の資格を得たとはいえまだ学生。そのため、学園を卒業するまでは魔術師としての活動はしない、としていた。そのため、資格を持っていること自体あまり知られていない。
でも、確かに父上が隊長として正式にアーネに何かを依頼したらアーネは断ることはできない。まあ、頼んだらすぐにやってくれそうだけど。
きっと父上が借りたいアーネの力というのはその魔力のことだろう。
治癒魔法と空間魔法。
それを術師が直接やらなくてもできるようになれば確かに楽だ。僕も確かに治癒魔法は使えるが、魔力を打ち消すために魔法を使うと治癒がほとんどできなくなってしまう。そのため、最近では治癒の頭数にも入っていなかったるする。
「本当にアーネの力を借りるのですか?
それを聞いたら周りの連中も黙っているとは……」
「そこが問題なのだがな。
仲間を危険にさらしたくはない」
うなるような父上の言葉は決して、仲間のためならアーネがどうなってもいいと思ってはいないことが伝わってくる。どちらも大切だからこそ、父上は今苦しんでいるのだ。
「家族として、アーネに頼んでみますか?」
「それは、なんてずるい手なのだろうな。
あの子が断れないと知って、そんなことを言っているのだろう?」
「はい」
家族と仲間で、父上が苦しんでいるのならば。
僕は部下として、息子として父上の苦しみを軽減してあげたい。きっとそんな気持ちはいらないというのだろうけど、これは譲れなかった。
「ありがとう、フルト。
私はいい息子を持った」
僕の気持ちをすべて見透かしたように父上はそういった。
治癒魔法を扱えるため、何かと頼りにされているようだ。
忙しい毎日を送る中で、最近妙な事件がより増えてきているように感じる。普通に暮らしていたものが、ある日いきなり親しいものや見知らぬものに危害を加えるという事件だ。
その事件には魔法を使われることも多く、オリベルトの魔力を消すこの力は必要とされていた。
その事件の対処に追われていると、家に帰れる日も少なくなってくる。最近アーネやリュラにあまり会えていないのが正直寂しいが、そんなことも言ってられないほど事態は悪化していった。
犯行を行うものは我を失っているものが多く、言葉による説得はほぼ成功しない。そのため実力行使っで相手を取り押さえている。
ほとんどのものが捕らえられてしばらくすると、正気を取り戻すのだがたまにそうではないものがいる。そのようなものは神殿へと連れて行き、神官によって正気に戻してもらわなければいけないのだ。
「アーネの力を借りた方がよさそうだな……」
ある日、父様はぼそりとそうつぶやいた。どうしてそんなことを言うのかと、父の顔を見ると苦渋に満ちていた。きっとこれは選びたくない道だったのだろう。
アーネは最年少で魔術師の資格を得たとはいえまだ学生。そのため、学園を卒業するまでは魔術師としての活動はしない、としていた。そのため、資格を持っていること自体あまり知られていない。
でも、確かに父上が隊長として正式にアーネに何かを依頼したらアーネは断ることはできない。まあ、頼んだらすぐにやってくれそうだけど。
きっと父上が借りたいアーネの力というのはその魔力のことだろう。
治癒魔法と空間魔法。
それを術師が直接やらなくてもできるようになれば確かに楽だ。僕も確かに治癒魔法は使えるが、魔力を打ち消すために魔法を使うと治癒がほとんどできなくなってしまう。そのため、最近では治癒の頭数にも入っていなかったるする。
「本当にアーネの力を借りるのですか?
それを聞いたら周りの連中も黙っているとは……」
「そこが問題なのだがな。
仲間を危険にさらしたくはない」
うなるような父上の言葉は決して、仲間のためならアーネがどうなってもいいと思ってはいないことが伝わってくる。どちらも大切だからこそ、父上は今苦しんでいるのだ。
「家族として、アーネに頼んでみますか?」
「それは、なんてずるい手なのだろうな。
あの子が断れないと知って、そんなことを言っているのだろう?」
「はい」
家族と仲間で、父上が苦しんでいるのならば。
僕は部下として、息子として父上の苦しみを軽減してあげたい。きっとそんな気持ちはいらないというのだろうけど、これは譲れなかった。
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私はいい息子を持った」
僕の気持ちをすべて見透かしたように父上はそういった。
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