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十四章 不穏な空気
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もう一度、父様の部屋に行くと今度はすんなり入れてもらえた。中にはすでに紅茶が用意されている。そうだ、このお菓子は自分で持っていくから紅茶だけはお願いしていたのだ。
「先ほどはすまなかったな。
お茶にしようか」
どこか気まずそうに父様がそういう。少し申し訳なかったな。
「はい」
「このお菓子はアーネが作ってくれたのだろう?
いただくぞ」
用意されていた紅茶とともに父様と兄様がお菓子に手を伸ばす。少し緊張するな。
「うん、おいしい。
今まで食べた何よりもおいしいよ」
そんな風に褒めてもらえると照れてしまう。でも喜んでもらえて良かった。久しぶりに作ったから少し味が心配だったのだ。
おいしいと食べていたのだが、ふと兄様が動きを止める。そして父様の方を見た。父様の動きもいつの間にか止まっている。
「どうかされましたか?」
「いや、その……」
「先ほどまで疲れていたのだが、アーネの菓子を食べているとふっと疲れが消えたんだ。
今までよりずっと体が軽い。
やはり気のせいではないか……」
そういえば前にもそんな風に言ってもらえた気がする。だから私は家以外では料理をしないと決めていたのだ。結構今更なきもするけれど、どうして今それをそんなに気にするんだろう。
紅茶を飲んで一息つくと、父様はこちらを見る。
どうしてだろう、何か決心したような目をしているのは。
「もう、アーネの鉱石を使うのはやめよう」
いきなりの父様の言葉に、どうして、という言葉が浮かぶ。本当に役に立てているのだと、喜んだばかりだというのに。
「父上、それは言葉が足りなすぎます」
そこに兄様の声が聞こえてくる。どう言葉が足りないというのだろうか。私の力が役立たずだから、とか?
「アーネ、よく聞いてほしい。
今、正気を失い見境なく人を襲う事件が増えているのは知っているだろう?
その事件の対処におわれているのだが、その中で不思議なことが起こったんだ。
正気を取り戻させるには気を失わさせるか、神殿に連れて行き聖剣で浄化してもらわなければいけない。
だが、なぜかその聖剣と同じことが、アーネの鉱石でもできたんだ。
それで考えていたんだ、それがもしかしたらアーネの最後の魔法属性じゃないかと」
「私の最後の……?
でも、それはどういう魔法属性に?」
今まであまり考えてこなかった。考えてもわからないと思っていたからだ。
「聖魔法、だと思う。
聖剣それが込められているから、聖剣はそう呼ばれているのだ。
それと同じ力を持っているのならば……」
「聖魔法?
聞いたことが、あるようなないような……」
「詳しくはチェストに聞くといい。
だが、その可能性がある以上アーネの鉱石は使えない」
「どうしてですか?
この力があれば苦しんでいる人たちを救えるのですよね?
ならば私はこの力を迷いなく使う!」
「そうしたら、神官長の話に乗るしかなくなるんだぞ。
聖魔法は神殿の管轄だ。
だが、そうしたらどうなる?
以前危惧していたように、都合がいいように使われ、自由もなく、救いたいものも救えぬまま過ごすしかなくなるのだぞ!」
あまり聞いたことない父様のあらぶった声。きっと父様は本気で私のことを心配してくれているのだ。
「先ほどはすまなかったな。
お茶にしようか」
どこか気まずそうに父様がそういう。少し申し訳なかったな。
「はい」
「このお菓子はアーネが作ってくれたのだろう?
いただくぞ」
用意されていた紅茶とともに父様と兄様がお菓子に手を伸ばす。少し緊張するな。
「うん、おいしい。
今まで食べた何よりもおいしいよ」
そんな風に褒めてもらえると照れてしまう。でも喜んでもらえて良かった。久しぶりに作ったから少し味が心配だったのだ。
おいしいと食べていたのだが、ふと兄様が動きを止める。そして父様の方を見た。父様の動きもいつの間にか止まっている。
「どうかされましたか?」
「いや、その……」
「先ほどまで疲れていたのだが、アーネの菓子を食べているとふっと疲れが消えたんだ。
今までよりずっと体が軽い。
やはり気のせいではないか……」
そういえば前にもそんな風に言ってもらえた気がする。だから私は家以外では料理をしないと決めていたのだ。結構今更なきもするけれど、どうして今それをそんなに気にするんだろう。
紅茶を飲んで一息つくと、父様はこちらを見る。
どうしてだろう、何か決心したような目をしているのは。
「もう、アーネの鉱石を使うのはやめよう」
いきなりの父様の言葉に、どうして、という言葉が浮かぶ。本当に役に立てているのだと、喜んだばかりだというのに。
「父上、それは言葉が足りなすぎます」
そこに兄様の声が聞こえてくる。どう言葉が足りないというのだろうか。私の力が役立たずだから、とか?
「アーネ、よく聞いてほしい。
今、正気を失い見境なく人を襲う事件が増えているのは知っているだろう?
その事件の対処におわれているのだが、その中で不思議なことが起こったんだ。
正気を取り戻させるには気を失わさせるか、神殿に連れて行き聖剣で浄化してもらわなければいけない。
だが、なぜかその聖剣と同じことが、アーネの鉱石でもできたんだ。
それで考えていたんだ、それがもしかしたらアーネの最後の魔法属性じゃないかと」
「私の最後の……?
でも、それはどういう魔法属性に?」
今まであまり考えてこなかった。考えてもわからないと思っていたからだ。
「聖魔法、だと思う。
聖剣それが込められているから、聖剣はそう呼ばれているのだ。
それと同じ力を持っているのならば……」
「聖魔法?
聞いたことが、あるようなないような……」
「詳しくはチェストに聞くといい。
だが、その可能性がある以上アーネの鉱石は使えない」
「どうしてですか?
この力があれば苦しんでいる人たちを救えるのですよね?
ならば私はこの力を迷いなく使う!」
「そうしたら、神官長の話に乗るしかなくなるんだぞ。
聖魔法は神殿の管轄だ。
だが、そうしたらどうなる?
以前危惧していたように、都合がいいように使われ、自由もなく、救いたいものも救えぬまま過ごすしかなくなるのだぞ!」
あまり聞いたことない父様のあらぶった声。きっと父様は本気で私のことを心配してくれているのだ。
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