あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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九章 初めての夏休み

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  料理は本当に美味しかった。
    この近くで取れたという新鮮な野菜をたっぷりと使ったものに、柔らかなお肉を程よく焼いたもの。
    お料理は次々と出てきた。

「こ、こんなに食べることができるのでしょうか?」

    つい、心配になりシアン兄様にこっそり聞いてみると、笑って大丈夫、と答えてくれた。  
    これを全部食べられるというのだろうか?

「食べきれなかったら、使用人たちが食べるんだ。
    だから、わざと量を多めに作ってもらっている。
    いつもそうしているんだ。
    そうだ、やらないとは思うが食べ掛けで残すのはやめてくれよ?」

    最後は少し冗談めかしてそう言われた。
    もちろん端からそんなつもりは無かったけど。
    そっか、このあとみんなここで夕食を食べるのか。
    じゃああまり長居しては迷惑?

「アーネさん?
    お料理美味しくないですか?」

    じっと料理を見て固まったからか、ヴィートがそう訪ねてくる。
    気を使わせてしまって申し訳ない。

「いいえ、とても美味しいわ!
   少し考え事をしていただけなの」

「何か気になることがありましたか?」

「大丈夫。
   心配かけてしまってごめんなさいね」

    笑顔で言い切るとほっとしたようにヴィートは笑った。


     そして、叔母様や叔父様、シアン兄様や兄様、そしてヴィートと食べながらも沢山お話をしてパーティーは終わった。
    それはとても楽しく、明日帰るのがとても寂しいけど、王都には家族や友人がいる。  
    帰らないと。



    そして、とうとう出発の時間を迎えた。
    荷物はパーティーに参加しているうちに2人が全て整えてくれていた。
     屋敷の前に馬車を止めると、御者はさっそく荷物をつめていく。
     見送りに、と叔母様一家やお世話になった侍女たちがでてきてくれた。

「お世話になったわ、フィリカ、リアンカ」

「いえ、とんでもございません。
    とても楽しい時間でしたわ」

    そう言ってもらえるなら、本当に良かった。
    そして、叔母様一家の方を見る。

「あ、あの、これ」

    そう言ってヴィートが渡してきてくれたのは、バラのジャム。
    とても色が綺麗だ。

「ありがとう。
    お母様や友人にいいお土産ができたわ」

「帰り道、気をつけてね」

  そう言って叔母様は抱きしめてくれる。
    その優しさが嬉しいかった。

「今度はリュラとも会えるといいですね」

「そうだな。 
    また、会おう」

    兄様たちもそれぞれ別れの挨拶をしている。
    それが終わったあと、馬車へと乗り込んだ。

    馬車が出発したあとも、叔母様たちが手を振っていてくれるから、私達も見えなくなるまで手を振り返した。
    とても楽しかったな!

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