あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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九章 初めての夏休み

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「おかえりなさいませ、アーネ様、フルト様」

 叔母様方のお屋敷への長旅から帰宅すると、入り口にベンネやセバスをはじめ何人かの使用人が立っていた。
 いつつくのかわからないのにそこで待っていたの!?

「た、ただいま。
 いつからそこで待っていたの?」

「先ほどですよ。
 馬車の音が聞こえてきましたので外に出てきたのです」

「馬車の音が聞こえるのかい?」

「本日お帰りになるのは存じていましたので、外の音がよく聞こえるようにしていたのです」

 そっか、そんなこともできるんだね。
 でもそうやって気にしてもらえたのはなんだか嬉しいかも。

「おかえりなさい、二人とも」

 言いながら母様が屋敷から出てくる。
 足元にはリュラもいる。

「ただいま戻りました、お母様、リュラ!」

「アリスベアのところは楽しかったですか?」

「とても楽しかったです」

「皆さんとてもよくしてくださいました。
 シアンさんとなんどか手合わせをしたのですが、なかなか勝てなくて……」

 聞かれて二人して一気に話し出すと、あらあらと言った様子で母様が笑っている。
 さすがにテンションが上がりすぎたな……。

「あとでまたゆっくり聞くわね。
 まずは荷物をかたずけてしまわないと」

 母様の一言に、私たちと使用人たちは一気に忙しく動き始めた。
 確かにそれが先だ。




「ああ、アーネ様。
 ルカミア様よりお手紙が届いております」

 部屋に戻り、ベンネたちが持って行った荷物を洗濯するものやしまうものを仕分けしている中、申し訳なく思いながらも私はベッドで横になっていた。
 さすがに長旅は疲れる。
 そんなときに、ふと思い出したようにベンネが手紙を渡してきた。

 慌てて中を開けると、それは以前言っていた遊びへのお誘いだった。
 どうやら三日後に行われる城下町での建国祭に行かないか、というお誘いのようだ。
 当日は忙しいみたいだけど、その二日前だったら行けるみたい。
 ぎりぎりの返事になってしまって申し訳なかったけど、行きたい、というお手紙を書いた。
 すぐに手紙を届けてくれるものを呼び、手紙を託す。
 おそらく今日中には届くはずだ。

「あの、お嬢様。
 こちらは何ですか?」

 手紙を出した後、部屋に戻ると侍女が聞いてくる。
 なんだろうとみると、バラのジャムだった。
 そういえばまだ渡してなかったな。

「バラの花で作ったジャムです。
 お母様方とルカさんへのお土産に、と思いまして」

「まあ、素敵ですね」
 
 そういって、彼女はそれをわかりやすいところに分けておいてくれた。
 渡すのを忘れないようにしないとね。


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