あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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十一章 学園生活1-3

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「先生、お久しぶりですね」

 そしてテストが終わるとさっそく先生のところに顔を出しに行きました! 生徒会? 今日はまあなしということで。テスト中に足りないものに気が付いたのだ。うん、これで大丈夫だと思う。ということで、早く先生に見てもらいたかったのだ。

「お元気そうで何よりです。
 もうテストは終わったのですね」

「はい。
 それで、先生に見ていただきたいものがあるのです」

 見てもらいたいもの? と首をかしげる先生にさっそく完成させた魔法陣を見せる。でも、途中で何回も変えたから自分で思っていた以上に汚くなっている……。これじゃあ先生も何がどうなっているかわからないよね。そして、そのまま先生が何も言わないのをいいことに、もう一枚同じ魔法陣を書きだす。今度はもう形は決まっているから、すぐに書き直すことができた。
 そしてもう一度見せると、ようやくがたまっていた先生が動き出した。

「こ、これは?」

「魔法陣です。
 テスト勉強だけでは時間が余ってしまってしたので……」

 ひとまず言い訳をするとあきれ返ったようにため息をつかれてしまった。しょうがないじゃないか……。

「こんな短期間で完成するものではないはずなんですが……。
 でもオリベルトさんにそれを言っても意味がないですよね。
 というよりも、どうしてテスト期間に?」

 そうそう、と口に出すわけにもいかず心の中だけでうなずいておきました。そしてどうしてテスト期間に? というのは完全に聞かなかったことにします。どうしてと言われると、先ほども言ったように暇だったのだ。それに尽きる。

「それで、見せていただけますか?」

「はい」

 あきらめたようにそう言われる。いや、もう受け入れてください。そしてなんだか少し緊張しながら魔法陣を先生に見せた。緊張するのはオリジナル魔法陣なんて初めて見てもらうからかな?

「これは、どうしてこんな風に?」

「なんとなく、ですかね。
 陣の中で足りないと思ったところを付け足し、全体として形が整うようにしました」

「確かに、複雑ですがきれいな魔法陣ですね」

 一通り魔法陣を見終わるとそう評してくれる。組み合わせ自体は少し不思議ですね、と言われるもきれいと言ってもらえるのはうれしい。自分だけの感覚でずっと書いてたしね。

「使えるか試してみましょうか。
 これはどんな魔法陣を元に?」

「この治癒魔法陣です」

 もうすっかり素早くかけるようになってしまった魔法陣を書き出すと、ああ、とうなずく。これなら大丈夫ですね、と言うと私に魔力を流すように言う。混乱のままひとまず魔法陣に魔力を流していく。なんだかいつものよりもすごく魔力を取られる……。それでも徐々に魔法陣の光は広がっていくのだが、あるところで引っかかったように急にその広がりが止まった。そしてそのまま光は消えていく。

「ここで、止まってしまいましたね」

 これ? うーん、でも何が悪いんだろう? ここにほかのものを入れるしかないよね。でも、何がいいんだろう……。

「まあ、これの改善はおいおい考えていきましょう。
 一度で半分完成しているだけで十分ですよ。
 それにしても、なぜこれを選んだのですか?」

「一目見たときになんとなく、気に入ったのです。
 それに何かが足りなくて、それが嫌で」

 私の言葉に先生はなるほど、という。

「たまに、そういう感覚を持っている人がいるんですよね。
 この魔法陣が好き、とか、ここが足りない、とかでオリジナルを作れる方が」

 オリベルトさんもそのタイプなのですね、と続けて言う。むしろそうじゃない人はどうやって作っているんだろう?

「今日はもうお疲れでしょう? 
 ゆっくり休んでください」

 確かに、疲れたかも。先生の言葉に甘えて今日は早めに帰ることにしました。


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