あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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一章 異世界へ からの幼児編

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「はい、今日はここまで。
 しっかりと練習してきなさい」

 はーいと返事をして、僕はさっさと支度をする。
 ピアノは自分から始めたことじゃない。
 親が勧めてきて始めたことだ。
 なんでも、僕にピアニストになってほしいとか……。
 よくある自分には無理だった夢を子供に叶えて欲しいってやつ。
 ほんと、呆れちゃう。

 でも、ピアノ自体は楽しいんだ。
 なかなかうまく弾けなくって泣かされることはあるけど、何度も練習して弾けるようになったときのあの快感ったら!
 こんなの母さんにはどうせわからないけど。

 そうそう、僕って言ってるけど別に男って訳じゃない。
 僕の名前は華原愛音、いかにも女の子って感じだろ。
 なぜ僕と言い始めたのか、話は数年前に遡る……。


「やっぱり、男の子が欲しかったわ」

 親から何度その言葉を聞いただろう。
 こんなにも女の子!って名前をつけておいてそれだよ。
 ひどいったらありゃしない。
 なんでも、おとなの事情ってやつみたいで。
 ある日、切れた僕は、私から僕に呼び方を変えて、長い自慢の黒髪をばっさりきって、まるで男の子みたいになったってわけさ。
 つまらない話だろう。
 でも、僕はこのとき初めて人生って上手くいかないなって学んだ。


 両親には変に期待をもたれ、僕は正直うんざりしていた。
 人生とか僕っていう人間にね。
 若いのに何言ってるんだって思うけど、もうこればっかりは仕方ない。

「あ~あ、つまらないな」

《なら、面白いところに連れて行ってあげる》

 突然の返事に辺りを見渡すも誰もいない。何だったんだ、今の。

《おーい、こっちこっち》

 声をした方を見てみると、夜道に輝く人型の飛行物体が一つ。わ~、きれいだな~、とかつい現実逃避してしまう。

《私は誰かって?
 それは言えないな~》

 勝手なことを言いだしたし、よし、無視しよう。
 僕がすたすた歩きだすと、それは慌てた

《待って、待って。
 ねえ、君異世界って興味ない?
 今ならなんと、タダで行けちゃうよ!》

「あ、タダより怖いものは無いって言うんで。
 遠慮します」

 そう言って歩き出すと、飛行物体はまだ付いてくる。

《それじゃ、私が困るんだっ。
 う~、こうなったら実力行使だ!》

 そんな物騒な言葉が聞こえてくると同時に、僕は光に包まれた。

《ごめんねっ。
 また、あとでね!》

 そんな言葉を遠くに聞きながら、意識は遠のいていく。
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