あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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一章 異世界へ からの幼児編

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 ふええ、ふええん

 鳴き声で、目覚める。
 この赤子の鳴き声、どうやら発生源は僕らしい。
 わかっても、止められるものではない。
 とにかく、寂しくて悲しいのだ。

 ばたばたと音がして誰かが入ってくる。
 若い女性だった。
 一瞬お母さんかな、と思ったがどうやら違うみたいだ。
 乳母さんかな?

「よしよし。大丈夫ですよ~」

 この人はあやすのが上手なようで、だんだんと穏やかな気持ちになってくる。

 乳母さんが穏やかに笑っていると僕も笑顔になる。
 
カチャ

 扉が開く音がして、そちらを見ると、お母さんと思わしき人と4、5歳くらいの少年が入ってきた。
 二人とも、何というか麗しい。
 白い肌に綺麗なエメラルドグリーンの瞳はおそろいで、母は茶色のふわふわした髪、少年はさらさらな金の髪を持っている。
 これは、ますます自分の容姿が楽しみだ。

「ベンネさん、大丈夫ですか?」

「あら、奥様。
 お体は大丈夫ですか。
 お嬢様はちゃあんと良い子にしていますよ」

「良い子って、さっき泣いていたじゃないか」

「お坊ちゃま、赤子は泣くのが仕事なんです。
 お嬢様はいくらでも泣いて良いのですよ。
 抱いてみますか?」

 乳母、もといベンネさんがそう問いかけると兄と思わしき少年はわかりやすく嬉しそうな顔をした。
 可愛いな!

 兄は恐る恐る近づき、僕をそっと抱き上げる。
 どうせ下手だろうと覚悟をしていたが、この兄結構抱くのが上手だった。
 軽く揺らすという高等技術を取り入れてきたせいで眠くなってきた。

「あら、フルト上手なのね。
 気持ちよさそうにしているわ」

「初めて妹ができると、大変楽しみにされていて。
 人形を使って練習したかいがありましたね」

 ふむ、どうやら兄はフルトと言うらしい。
 そして、私のために抱っこを練習してくれた、と。
 この年で、良い兄だな!
 そんなことを考えつつ、本当はもっと見ていたいが、まぶたが重すぎる。
 誰かが傍に居てくれる安心感と、兄の抱っこの気持ちよさに僕は眠気に勝てなかった。

「あっ、寝ちゃったよっ。
 どうしよう」

 兄の困った声が聞こえる。ごめんね、兄さん。
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