あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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一章 異世界へ からの幼児編

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 さて、あれから数日が経った。
 もちろん僕はすくすくと育っているわけだが……。
 ふと、気がついたのはまだ名前を呼ばれていないこと。
 ちなみに、まだ自分の容姿は見ていないが、それはあとのお楽しみだ。
 後、父にも会えていない。
 会ってみたいんだけどな~。

「あの、奥様。
 そろそろ、お嬢様の名前を正式に決めませんと……。」

 ベンネさんのその言葉で僕は驚愕した。
 呼ばれないなって思っていたら、決まってもなかったの!?

「旦那様がお忙しいのはわかりますが、いくらなんでもお嬢様がお可哀相です」

 母は悩むようにしたあと、そうよねと同意した。

「やっぱり、頼み込んで一度帰ってきていただきましょうか」

 父よ、はやく帰ってこーい!


 翌日ようやく父が帰ってきたようだ。
 しっかりとした体つきに兄と同じ金の髪、鋭い蒼の瞳。
 父もかっこよかった。
 腕に兄を抱きあげている。
 兄は頬を染めながら、そんな父に熱心に話しかけていた。
 ああ、可愛いな~、もう!
 隣には母が微笑んでいる。いいな、この光景。

 乳母に抱えられた僕は父へと手を伸ばしてみた。
 頑張りすぎたあまり、あうっ、だーうっと声がでていた。

「会いに来れず、すまなかったな。
 名を、どうしようか」

 申し訳なさそうにしている父にうなずくのは、皆。
 やっぱり、名もつけず放置はひどいよね!
 でも、父の瞳は本当に申し訳なさそうで、まあいいか、と許しそうになる。

「そうだな……。
 アーネミリア、はどうだ?」

 なんか、かわいい。僕は気に入ったよ。
 にっこりしていると、母が良い名ですわ!と言った。

 この子も気に入ったようですし、と言って撫でてくれる。
 母のなでなでで、よりにこにこしていると、父が力強く撫でてくれる。
 嬉しいけれど、いたい。
 少し涙目になっていると、父は慌てて手を引っ込めた。
 力加減は覚えてくださいねっ。
 でも、嬉しかったですよ!

 「アーネミリア」
 
 兄がそっと、決まったばかりの僕の名前を呼んでくれる。
 僕はかっこよく返事をしたかったけど、だぁうっとしか言えない。
 そんなときはいつも、ベンネさんが伝えてくれる。

「お嬢様が、お返事されていますよ。
 気に入られたようですね」

 兄もよかったねと頭を撫でてくれる。
 優しく撫でてくれて、気持ちいいな~。

「旦那様も抱っこしてみますか?」

 おっ、ナイス!ベンネさん。
 僕も父に抱っこしてもらいたい。 
 父をじっと見つめて訴えかけてみる。
 さあ、抱っこして!
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