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一章 異世界へ からの幼児編

13 ???の視点

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「なあ、あの子やっぱりやばくないか?」

 そう聞いてくるのは、仲間の一人。
 あの子とは華原愛音もといアーネミリアのことだろう。
 本当に危険なやつだ。
 私は一つため息をつく。

「でも、どうしようもないだろ。
 この世界にどうしても必要な人なんだから。
 じゃなきゃ、あんなにも慎重に魂だけを抜いたりしないさ!
 地球では、不思議で仕方なかったろうさ」

「でも、向こうへの扉をこじ開けたんだろ。
 危険すぎる。
 あんたがあんな必死になるなんて、どれだけあの子強いんだ」

 仲間の言うことはよくわかる。
 でも、しょうがないじゃないか!

「だから言ったろ。
 両親も殺しておくべきだってね。
 依り代は少しでも無くすべきなんだよ」

「それは許されなかっただろ」

 どうしようもなかったことをそんなに言わないで欲しい!
 もちろん、私も同じことを考えたさ。
 でも、地球のやつを説得しようとしても駄目だったんだ。

「じゃあ、せめて名前を無くしたらよかったんじゃないか。
 えっと、そう華原愛音、だっけ」

 ああ、もううるさい。
 それは無理だってわかっているくせに。
 私がむすっとしていると、仲間はごめんごめんと言ってきた。
 また、ため息をつく。
 愛音と両親の絆は強すぎる。互いが互いを想っているせいだ。
 ひどくやっかいな。 
 あれでは、道が開かれてしまうのもわかる気がするが、それでは困るのだ。
 今はまだ見るべきではないのだ。
 ねえ、愛音。



 お願いだから、まだ行かないで。
 
 いつか、いつか、願いを叶えてあげるから……。

 ああ、やるべきことが多すぎる。
 でも、約束は守るから。

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