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二章 兄 学園へ

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「よく、できていますね。
 驚きました」

 先生の声にうつむいていた顔をぱっとあげる。
 先生は柔らかく笑っていた。

「特に計算は素晴らしいです。
 こんなにもできるとは思っていませんでした。
 それから、歴史もよくできていました。
 アーネ様は本がお好きだったのですね。
 これなら、四年間もいらない気がしますが、できていないところから始めましょうね。
 余裕があるようでしたら、語学をやれば良いですし」

 先生の言葉にほっとする。
 やっぱりテストって緊張するし、嫌いだな。

 明日から始めましょう、と先生がかえってしまうと暇。
 本棚から一冊取りだし読みだす。
 先生が言っていた通り本が好きだ。
 前世では、あまり読んでいる時間がなかったのだが今は結構ある。
 思う存分読めるということだ。
 本当はピアノを弾きたいが、この世界にはあるのかな?


「ただいま、アーネ!」

 気づいたら、抱きしめられていた。
 この声はお兄様?

「こら、やめなさい」

 お母様の声も聞こえる。帰ってきたんだ!

「おかえりなさい!」

 お兄様が離してくれたので、振り返ると三人立っていた。
 お父様と目が合う。 

「ただいま、アーネミリア」

 そう言ってお父様は優しく目を細める。
 私が短い手でお父様に抱きつくと、抱き返してくれました!
 その様子をお母様が微笑んで見ている。

「アーネ、今日は大切なお話があるの。
 フルトも聞いてね」

 前置きして、お母様は私とお兄様を順に見つめた。

「お母様ね、お腹に子供がいるの。 
 二人の兄弟よ」

 聞いたとたん、ぱっと喜んだ私と違って兄様は顔を曇らせた。
 なんで?

「お母様、お体は大丈夫ですか?
 アーネのときも大変だったのに……」

 えっ、そうだったの?とお母様を見た私の頭をお母様は優しく撫でた。

「大丈夫よ。
 きっと元気な子を産んであげるわ」

 お母様は強い意志込めた瞳で兄様をみた。
 それで兄様はもう何も言えなかった

 
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