あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

四章 お買い物

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「次は、文具かな」

　兄様もあまり町には来ないだろうに、とてもすたすたと進んでいく。
　それにしても、この辺りのお店は見た目からして高級そうなところばかり。
　なんでも、貴族御用達のお店が多いよう。
　なかには、オリベルト家がよく使うお店もあるようだ。
　先程の服屋さんもその一つ。
　特に制服代々あそこで作ってもらうよう。
　家に直接来てもらうこともできるようだが、私の家は基本的に自分で出向く。
　まあ、あまりお買い物とか行かないしね。

　貴族といえば、豪華な暮らしを楽にしているというイメージが私にはあったが、この国では少し違うみたい。
　豪華な暮らしをしているところもなかにはあるが、位が高いほどむやみやたらに豪勢な暮らしをしているところは少ないみたい。
　こだわるところはこだわって、それ以外は……って感じのところが多い。
　仕事に関しても、父様は忙しく働いているようだし、他のものもその位や能力などに合わせて仕事をしているよう。
　そういう国っていいよね！
　

「ここかな。
　父様に今日のための費用は預かっているから、欲しいものがあったらいってね。
　まあ、足りなくなったら後で払えばいいし」

「ありがとうございます。
　まずはペンとかでしょうか」

　そうだね、と言ってペンが多く置かれている場所へと向かう。
　皆にもらったペンは普段使いするにはもったいないから、改めて買ってもらうことにした。
　他のところを見に行った兄様とわかれて、ペンを見ていくと可愛いものを見つけた。
　持ち手のところが桜色で金の線がくるくるとちりばめられている。
　かわいいけど、お値段は少し高め。
　仕方ない、他のを見ようとしたところで兄様がひょいっとそれを取った。
　あれっ？他のところ行ったのでは？

「かわいいね、これ。
　持ちやすいし、いいんじゃないかな」

　いま、戻そうと思っていたものをあっさりとられてしまいました。

「あと、もう一本欲しいよね。
　うーん、どれがいいかな？」

　買って貰えるんなら、甘えてしまおう！と諦めたところでそう言われ、もう一度売り場に目を移す。

　あっ、これもかわいい。
　黄緑の下地に、水色の小さな花が散っているのだ。
　こういうの好きなんだよね。

「うん、これもいいと思うよ」

　おう、気づくの速いね、兄様。
　こちらもあっさり購入決定しました。

「次はインクかな。
　インクは僕がいつも使っているものがいいと思うんだ」