あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

五章 学園生活 1‐1

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「では、また明日、アーネさん」

　帰ろうとするルカ様を慌てて引き留める。
　聞きたいことがあるのだ。

「あの、皆私と関わりたくないと思っている、とおっしゃっていたではないですか。
　なら、先程の反応はいったい？」

「あら、それは嘘よ。
　そう言わないと、アーネさんは隣に来てくださらないと思ったの。
　皆さんがアーネさんに近寄れないとしたら、それは憧れているからだわ」

　嘘？
　なぜ、私に憧れるのだろうか？
　わからないことだらけである。

「では、ごきげんよう。
　また、明日」

　困惑したままの私を置いて、さっさとルカ様は行ってしまった。
　教室から出ると、すぐに驚いたよな声を上げ、こちらを見たが何も言わずに去っていった。
　私ももう帰ろ。　

　立ち上がり、教室を出ると少し離れたところに兄様とミハルトさんがいた。
　だから、ルカ様はこちらを見たのか。

「終わったかい、アーネ？
　帰ろう」

「はい、兄様。
　あの、どうしてミハルトさんがここに？」

「直接お祝いを言いたくてね。
　入学おめでとう、アーネ嬢。
　これからの学校生活をぜひ楽しんでね。
　一緒にお昼ご飯を食べられるのを楽しみにしているよ」

「ありがとうございます、ミハルトさん！」

　行こうか、という兄様の声に三人で歩き出す。
　たしか、母様は馬車で待っているはずだ。

　学園の入り口まで来てミハルトさんと別れ、母様が待っている馬車へと向かう。
　今日は色々と疲れてしまった……。

　帰りの馬車でうとうとしていると、兄様が横になっていいよと言ってくれる。
　お言葉に甘えて、膝枕してもらうことにする。
　母様はそれを困ったような微笑ましいような目で見ていた。
　うーん、疲れた。

　着いたよ、という言葉にばっと目を覚ます。
　こんなにしっかり寝てしまうとは思わなかった。
　疲れているんだね、といわれ少し恥ずかしくなってしまう。

　家に入ると、すぐにリュラと先生が出迎えてくれる。
　今度は自分が迎えてもらう側になったことに、改めて自分の成長を感じた。

「おかえりなさい、姉様、兄様、母様」
　
　可愛いらしく、おかえりと言ってくれるリュラに思わず頬が緩んでしまう。

「おかえりなさい、皆さん」

「先生、リュラ、ただいま帰りました！」

　嬉しくなってつい、リュラに抱きついてしまう。
　もちろん先生には自重しました。

「アーネ、玄関口でそのようなことやらないでください。
　ひとまず、中へ入りましょう」

　母様の呆れた声に私は慌てて、リュラを離した。
　制服を着替えないといけないし、自室へと向かう私を引き留めたのは兄様だった。