あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

五章 学園生活 1‐1

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　ふと、目が覚めて視界に入ったのは見慣れた天井だった。
　向こうの世界ではなくなっていた、頭痛とか体の暑さとかの感覚に一気にしんどくなる。
　
「アーネ！
　気が付いたかしら？」

　母様の声にそちらを見ると、少しほっとした顔をしている母様がいた。
　心配をかけてしまったようだ。
　
「ああ、よかったわ。
　いい、魔力を体外に排出するのは少しずつでいいの。
　全身から出そうとしないでね。
　ゆっくり、どこか一か所からよ」

　母様のアドバイスを受けて、そのとおりにやってみる。
　手にはいまだに例のものを握ったままだ。
　少しずつ、少しずつ……。

「アーネ、ごめんなさいね。
　少し外に出てくるわ。
　すぐに戻ってくるから」

　辛うじてうなずき、ちらりと母様のほうを見ると少し顔色が悪い？
　大丈夫だといいけど……。

　母様が部屋を出た後も少しずつを意識して、魔力を外へと出していく。
　いつの間にか部屋には先生もベンネもいなくなっていた。
　きっと気を失っている間に出て行ったのだろう。

　それから、しばらくしたころ母様が戻ってきた。
　そのころにはだいぶ体内の魔力も外に放出できていて、少し楽になっていた。
　まあ、まだまだきついけど。

「アーネ、先生からお薬もらったけど飲めそうかしら。
　魔力はだいぶ外に出せたようね」

「多分、出せたと思う……。
　薬、飲むわ」

　そういって、手で支えながらなんとか体を起こす。
　それだけでも、今はつらい。
　母様から手渡された薬を飲み、もう一度体を倒す。
　すると、タオルを冷たいものに変えてくれた。
　そして、一息つくと自然と瞼が下がっていく。

「リュラもフルトも心配していたわ。
　もちろん、お父様も。
　ゆっくり休んで、早く良くなってね」

　そういうと母様は部屋から出て行った。
　これでよくなるといいんだけど……。

　そんなことを思いながら、私はもう一度眠りについた。