あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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五章 学園生活 1‐1

89 フルトの視点

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 僕はフルト・オリベルトだ。
 オリベルト侯爵家の長男で、将来はこの家を継ぐことになっている。
 だから、父様のように立派になれるように今は頑張っているところだ。

 さて、僕には妹と弟がいる。
 二人ともとてもかわいくて、自慢の兄弟だ。
 その中で、僕は両親にも気にしすぎだ、と言われほど妹のアーネミリアを色々と気にかけている。

 それには初めての妹という理由以上に大切な理由があった。
 それは……。
 

 母様がおなかの中に僕の兄弟がいると言って数ヶ月が過ぎたころだった。
 急に夢の中に白い何かが現れたのだ。
 そして、生まれてくる妹を可愛がり、大切に守っていうようにと言ってきたのだ。
    それが何だったのかは今でもわからない。
 
 もちろん僕ははじめからそのつもりだった。
    しかし、それは表情が見えたわけではないが、とても必死にたのんできたのだ。
     声が震えていたから、泣いていたのかもしれない。
      産まれる前からこんなにも何かに思われる妹とはどのような人なのだろう。
     絶対に、兄である僕が守ってあげなくちゃ。
      そんなことを漠然と想いながら目覚めたその日は、僕の目から涙が伝っていた。

 それ以降、そいつが僕の前に現れるとこはなかった。

 そして、ようやく産まれてきた妹はアーネミリアはとても可愛かった。
    見たことがないくらいに小さな手足を一生懸命にうごかして、差し出した手をぎゅっと握ってくれた、あの感動は今でも忘れられない。
     その時に、ふとあの夢のことを思い出した。
     誰だかもわからないその人に僕は「絶対にこの子を守るよ」と強く誓ってみた。

    だから、僕は両親になにか言われてもアーネの側から離れるわけにはいかない。
    アーネはしっかりしているように見えて、実は色々と危なっかしい。
    そんな彼女を守るためには、ね。
    最近はなんだかあまり良くない噂も耳にする。
   より一層気を付けなくては。 

 ......、よく悲しい目をしているあの子のことを、僕は果たして守れているのだろうか。

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