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1章 新しい人生
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しおりを挟む「おや、珍しい人がいますね」
「キャベルト隊長」
急に聞こえてきた声に振り替えるとそこにはきちっと隊服を着こんだ男性が立っていた。一見すると線が細くあまり強くは見えないが、なんとなく強そう。
「きゃべる、たいちょう?」
「ああ、申し遅れました。
カーボ辺境騎士団第2隊長を務めております、キャベルト・プレンドと申します」
ああ、だから隊長なのか!
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、きょとんとされてしまった。えっと?
「アラン、相手が名乗ってくれたんだから、アランもきちんと名乗らないと」
そっか、そうだよね。アランになってから今まで名乗られたことも名乗ったこともないから、すっかり忘れてしまった。
「えっと、アラミレーテ・カーボです」
「はい。
よろしくお願いしますね」
よかった、相手の人も怒っていない。ちゃんと気を付けないとね。
「それで、アラミレーテ様はこちらに何をしにいらっしゃったんですか?」
「兄さまを見にきました!」
「そうでしたか。
それで、アラミレーテ様も剣を練習なさいますか?」
キャベルト隊長は僕の手にある木剣を見るとそう声をかけてくれる。練習、してみたい。なんだか兄さまが何かを言いたそうな顔をしているけれど構わないよね。
「はい、お願いします!」
「元気な返事ですね。
それでは……。
そうですね、軽い打ち合いをしましょうか」
いきなり? そう思ったものの、久しぶりに剣を持ててうれしかったし僕としても願ったりかなったりだ。ギュッと木剣を握ると、キャベルト隊長がさあどうぞと言わんばかりに待っているのを見て、遠慮なくいくことにした。
僕の利点は体の小ささだ。ならば狙うのは足元しかない。でもそれはキャベルト隊長も分かっている。なら、フェイントを入れる必要があるよな。
ひとまず走って近づいていく。いや、遅いな。でも仕方ない。もちろんキャベルト隊長はこちらに油断なく剣を向けている。この人は右利き。なら右に一度重心を持って行って、そっちに意識が向かれた瞬間に左にふみだ、って。
「うわっ!」
ずさっと音がする。いったい!
「アラン、大丈夫か!」
思いっきり転んだ……。まさか重心を変えようとしただけで、重さを木剣に持っていかれるなんて……。
「血が出てる。
すぐ医務室に行こう」
「大丈夫ですか?」
ぐんっと視線が高くなったと思ったら、キャベルト隊長が抱き上げてくれたんだ。
「歩けます」
目からこぼれそうになるものを必死に我慢しながらそういうと、おとなしくしていてください、と言われてしまった。拒否権はないのか。
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