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1章 日常になっていく日々
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しおりを挟む殿下の即位式の日が正式に決まった。このあたりの時期はいつも晴れていることが多いため、天候の心配をあまりしなくていいのは楽だ。まあ、それでもいろいろと手を回さないといけないのだけれど。
この日、その付近はすべての人は仕事はお休み。まあ、騎士団や王宮に務めている人はその限りではないけれど。魔法師団は最低限の人以外はお休みだ。もう食料などその期間に必要なものの確保が始まっているらしい。特に王宮ではパーティー等もあり大量の食材を使うから大変だ、って目をまわしていた。
私はというと、本来は結界にかかわるところで仕事があったのだけれど、みんながいろいろと気を使ってくれた結果お休みとなった。王宮にはいるので、何かあったらすぐに呼んでください、と強くいってはいるけれど申し訳ない。だって、その前にヴァークとお出かけをするからと、別でお休みをもらっているんだよ? 皆快くいってらっしゃいと言ってくれたけれど、申し訳ない。
「まーた、そういうこと言って。
大丈夫、ウェルカの普段の働きが数人分だから。
むしろちゃんと休んでくれないとほかの人の仕事がそのうちなくなる」
「で、ですが……」
旅行の前日、3日ほどここを開けることもあっていつも以上に書類を引き受けると、それをこなしながらララさんが相談に乗ってくれた。いや、それを見てからそれ以上のことは聞こうか、と示したのは引き受けた書類。といってももう半分は終わっている。そんな量ではないよね?
首をかしげていると、ため息をつかれてしまった。言ってくれないとわかりませんって。今、師団の本部には人が少ない。皆即位式に向けていろんなところで活躍しているのだ。特に風魔法は重宝されているみたいで、ほぼここにはいない。私も手伝うといったのだが、いいから、とみんなに止められてしまったんだよね。
「ウェルカ、明日から旅行だろう?
今日は早く上がった方がいいんじゃないか」
「またそういうこと言いますか……」
何かと甘やかすようなことを言ってくるのは師団一の土魔法の使い手であるディアンさん。私よりも二回り年上らしく、似た年齢の子供もいるらしい。だからか私のことを子供を見る目で見てくるのだ。あまり両親に甘える、ということがなかったからかどうしたらいいのかわからなくなるんだよ……。
「そうそう。
それが終わったらもう帰りなよ」
「ううう、本当にいいんですか?」
確かにまだ準備が終わっていないからありがたいけれどさ。申し訳なさが、こう。でもいいからいいから、と二人に押し切られてしまうとうなずくことしかできませんでした。
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