創られたこの世界で、僕は我流の愛を囁く。

花町 シュガー

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姉の隣でゲームを見て気になっていた。
このモブは、絶対にイケメンだと。

主要人物しか顔の詳細がなく、後はみんな髪型だけの顔無し。
それでもこのモブは、すごく綺麗な灰色の髪で印象的だった。
「もしこの世界へ行けたら顔を見てみたいな」と思うくらいに。

そして実際に見たら……まぁものすんごいイケメンだったんだぁこれが。
肩に付くか付かないかくらいのサラサラな髪の毛。
スラリとした高い背に、心地のいい声のトーン。
表情も豊かで、優しそうな雰囲気。

確かに主要人物たちと比べたら劣る。それでも僕的にはこっちのほうが全然よくて「あ、この人と恋愛しよ」って即決。
それから毎日、僕はこのモブ生徒を攻略しようとしているわけだ。

本日も攻略対象そっちのけで、昼休みに先輩のもとへダッシュ。
今日こそ何か進展させるんだ!

恋愛に繋がる…糸口を……っ!!


「こんにちは、ライトくん」


「こんにちは先輩!今日もすごくいい天気でs」


「この時間、アレックは中庭にいるよ」


「………」


……さて、お分かりいただけるだろうか。


「そう、そうなんです!実はさっき会ったんですよ、そこ通ってきたんで。
でですね先輩? 今日一緒にお昼をーー」

「そうだったんだ。
なら、オレリアのとこにも行くのがいいかも。彼もこの時間近くにいるから」

「………」

(くそう精度が良すぎる!なんなんだこれは!!)

この、見事なまでの〝アシスト機能〟。
主人公が困ったとき近くのモブに聞けばヒントをくれるこれのせいで、僕は未だに先輩とまともな会話ができていない。
なんとか名前は聞けた。学年も。でも、まだそれだけ。
毎回毎回邪魔され、「それじゃあね」と去っていく先輩を見送るしかなくなる。

悲しい、非常に。
会話のキャッチボールなんてクソ喰らえな状態。


(やっぱり、主人公は攻略対象と結ばれるのが正しい…か……)


僕がやろうとしていることは、きっとこの世界で禁断…タブーなんだろう。
でも、それでも僕は先輩以外は考えられない。
先輩以外とくっついてそれが正しいハッピーエンドとしても、絶対幸せじゃない。

どうせ転生したんだ。
僕は、僕の幸せを追って頑張ってみてもいいじゃないか。

情報を伝え終え「それじゃあね」と去っていく先輩を見送りながら、拳を固める。


「……よっし、また次だ!!」


シナリオ通り動けば、簡単に幸せになれるこの世界。

それでも、僕は[モブ×主人公]…いや[主人公×モブ]か……? という禁断の関係を作るべく、大奮闘中なのです。





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