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しおりを挟む〝好き〟
グレイ先輩が僕のことを〝好き〟
「ーーっ!なら!!」
「でも、駄目なんだ」
駄目だ。僕には何もない。
紹介した5人のほうがはるかに似合っている。
ーー現に、あの事件に僕は間に合わなかった。
助けに行った。
でももう終わってて、アレックに抱きしめられてる君がドア越しに見えて。
やっぱり、僕は冴えない。
灰色の頭・高いけど目立たない身長・どこにでもいる性格・存在感のないただ普通の奴。
まるで、何かの脇役のようだ。
君のことを誰より知ってる。君からの気持ちも誰よりもらっている。それなのに、守ることができなくて……
「多分、僕と君は結ばれちゃいけない」
誰かに、そう言われている…気がする。
「……言いたいことは、それだけですか」
「…え」
「もう全部終わりました?」
「え…っと、ライトくん?」
「……良かったぁぁあぁぁ」
目を見張る先輩の前、ヘナヘナと座り込んだ。
僕、ほんとに追いかけてきて良かった。
(アシスト機能と思ってたのは、先輩の性格だったんだ)
外からみたら機能だけど、リアルでそんなのは無い。
〝自信がない性格〟という風になってたんだ。
あの事件に間に合わなかったのだって、自分が脇役のように思えるのだって、多分それはこの世界だから。
なるほど、大分わかってきた。
でもそれよりも、大事なのはーー
「先輩、僕のこと好きなんですよね?」
「っ、ぅ、うん」
「ならきっと、越えていけます」
ゲームの世界を越えたその先へ、いけるはず。
先輩の動きがズレたのは、僕がイレギュラーな奴だったから。
普通に主人公してたら正規のルートで終わってた。
今この瞬間起きていることは、正に世界にとって予想外。
ーーそれならば、もう誰にもこの先の予測はできない。
「生きてたら、これからも何かに間に合わないことたくさんありますよ。
人生何が起こるかわかりませんし」
「けど、それならなおさら」
「だからこそ、僕は先輩と歩いていきたいんです」
確かにあれは怖かった。でも、先輩が助ける直前の場所まで来てくれていたことを知って確信した。
きっと、この人となら大丈夫だ。
先輩の知らない先輩を、知ってる。
甘えさせてくれて、困りながらも助けてくれて、優しくてカッコよくて。
アシスト機能を取っ払った先輩は、どんななんだろう。
機能の裏に…その性格の裏にあった先輩を知りたい。
一緒にいてみたい。もう、既に楽しみで仕方なくて。
それに、僕らは実は想い合っていた。
これ以上に強いことってないと思う。
この先どんなに辛いことやキツイことがあっても、絶対乗り越えられる。絶対に大丈夫な自信がある。
でも、それでもなお…あなたが影に隠れてしまうのならば……
「先輩の髪って、普段は灰色だけど太陽の下だと綺麗なシルバーに見えるんですよ。知ってますか?」
「え?」
「僕の名前ライトなんで、僕が先輩を照らしますよっ。ずっと」
「ーーっ!」
こんなに想い合ってたからこそ、この先も進める。
ゲームの枠を越えた世界を、生きていける。
(この名前使いどころあるじゃん)
先輩は精々僕に引っ張られて光の下にいるといいよ。
全部全部、僕が包み込んであげる。
めいっぱい愛してみせる、だから。
「ね、グレイ先輩」
座り込んだまま、伸ばした手。
「一緒に生きていきましょう?
僕は、先輩がいいんです」
笑いかけると、目を見張りながらまたクシャリと歪む顔。
たくさんの感情が浮いては沈み、浮いては沈みを繰り返してるようで……
やがて諦めたように苦笑し、大きな手が起こしてくれた。
「……負けたよ、君には」
「勝てると思ってたんですか?」
「いいや、ずっと負けっぱなしだった」
「ふふ、これからもいっぱい甘えさせてくださいねっ」
繋いだ手をギュッと握ると、直ぐ握り返してくれる手。
これだ、このぬくもりが欲しかった。ずっと、これだけが。
諦めなくてよかった。頑張ってきてよかった。
僕は、僕のままでいてよかった。
「~~っ、ふ、ぅ」
これまでの数ヶ月が走馬灯のように駆け巡り、思わずじんわり涙が浮かんでくる
……と、
「やったなライト!おめでとう!!」
「いやーどうなるかとヒヤヒヤしたよ~」
「朝からいいもの見せてもらった」
突然、周りから大きな拍手。
そうか登校中だった。知らないうちに囲まれていた。
うわ恥ずかし!これ本当に主人公みたいじゃん!!
(……けど、なんか)
正規ではない、禁断ルート。
それでもこんなに祝福されて、受け入れられて。
まるで〝これでいいんだよ〟と、この世界が言ってくれてるような 気がした。
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