元カレに囲まれて

一条咲穂(花宮守から改名)

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第3章 王子

第7話*

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 王子はいくつかの事業を並行して展開させながら、「いまはまだ、どれもテスト段階だ」と言っていた。処理能力が恐ろしく高いから、時間に追われるということがない。それでも、体に疲れがたまらないはずはない。何かしてあげたくて、初めて彼のマンションに行った時、コーヒーを淹れてみた。彼はコーヒーが苦手というわけではなく、むしろ大好きで、ただしミルクかお砂糖がたっぷり入っていること。
そんなに好きならと、私なりに研究したんだけど……どうかな?
 ソファーで待っていた彼は、「いい香りだ」とカップを手にし、隣に座った私の髪を撫でた。今日は接触が多いのは……まあ、そういう意味なんだろう。部屋に入った時点で、分かっていること。それはそれとして、コーヒーの感想、聞きたいな。今日は、ミルク少なめ、お砂糖ふたつ。
 彼は訴える私の目を甘い眼差しで宥め、ゆっくりとコーヒーを飲んでいる。何の焦らしプレイなのこれは……。ゆったりと私の肩を抱いて、時々ちらっとこっちを見て。勝手にドキドキし始めた心臓まで、見えちゃってるのかもしれない。やっとカップを置いた時には、私の胸は爆発寸前だった。
「ありがとう。おいしかったよ」
「ンッ……」
 コーヒーの香りと、砂糖の甘味。彼の舌から私の舌へと伝わってくる。ゆっくりと押し倒され、ソファーから落ちないようにしっかりと抱きしめ合う。
「あんなにうまいコーヒーは飲んだことがない。また淹れてくれ」
「コーヒーぐらい、いくらでも淹れてあげる……んっ、ここ、で?」
 雰囲気は最高だけど、狭くない?
「いいことを教えよう。ここを、こうすると」
 彼が操作すると、背もたれが倒れてベッドになった。
「これで問題ないだろう?」
「うん、まあ……ふふっ、もう……」
 壊れ物を扱うように、そっと。大丈夫だと分かると、少しずつ力を込めて。その加減を探りながら、私を昂らせていく。じわじわと、魔術がかけられていくよう。カーディガンとブラウスの前がはだけて、ブラの下から手が入ってきた。
「あ、ん」
 尖ったところを触られて、下半身も反応してる。
「服を着たままでも興奮するが……君の全てを見たい」
「うん……見て」
 明るいリビングのソファーの上で、ねだってしまった。キスしながら、順番に脱がされていく。彼も脱いでいく。床の上に色彩が広がる。
 二人とも下着だけになって、彼が高まっているのが嬉しくて。ブラを引き抜かれ、そのまま腕を彼に預けた。口づけが深まり、怒張を押し付けられ、彼の指が私の最後の砦にかかった。見たいと言ったのに、怖がっているような躊躇いがかわいい。それを言葉にはせず、背中を撫でて、瞳に熱を込めた。「いいよ」っていう想いが伝わるように。
「君が好きだ」
「うん……」
 初めて会った時から囚われている、まっすぐな眼差し。音楽みたいなテノール。
「私も、好き」
 だから、いいよ。
 彼の情熱が私を一糸纏わぬ姿にし、生まれながらの王子様のような部分で私を優しく抱く。濡れたところに侵入してくる指も、時々胸を舐めて悦ばせてくれる舌も、まるで手のひらに降りてきた花びらをいとおしむかのよう。彼ももう何も身につけていなくて、部屋の空気が甘く渦巻いていく。
「は……ぁん……」
 コーヒーに落とされた砂糖のように、形がなくなるまで溶けてしまいそう。私の声も、熱い液体にふわっと溶けていくミルクみたいに頼りない。
「おうじ……おねがい……はや、く」
 おねだりも、か細い声になってしまう。閉じていた目を開くと、彼は準備を済ませ、深呼吸をしたところだった。
「焦らすつもりはなかったが……君の中へ入って、自分がどうなるのかが怖くてね。できれば……嫌わないでくれると嬉しい……」
「アッ……あっ」
 時間をかけてほぐされた秘所は、一気に奥まで彼を迎え入れた。待っていたモノが入ってきたから体が悦んで、ぎゅっとつかまえてる。
「くっ……はぁっ……衣純……」
「ん……」
 覆い被さって、甘えるように唇を重ねてくる。大丈夫だよって伝えたくて抱きしめた。
 自制心の強い彼は、自らの衝動に戸惑いながらも、私の愛撫に促されて動きを激しくしていった。かわいい王子様、好き――。
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