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第四章 革命
第四十三話
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余りの悍ましさに総毛立ち、吐き気を催しながら、俺は総帥の顔に唾を吐き掛けた。
「地獄に落ちろ、変態サド野郎」
無表情で総帥は頬についた俺の唾を手で拭い取った。と、もう一方の手で俺の腰を掴むと、強く引き寄せられる。
「いッ、あ……!」
女性器の行き止まりの壁を、更に指で押し込まれて、鋭い痛みが走った。
「そう、そんな顔だった。もっと見せてみろ」
冷や汗が頬を伝いながら、俺は総帥に笑いかけた。
「……いいや、今度はあんたの番だ」
俺の後ろから突然現れたユンに、総帥は眼を大きく見開き、攻撃を防ごうとしたが、それよりも早くユンの拳が顔面に入っていた。更に、椅子に座ったまま逃げ場のない総帥の顔を何度も、何度も執拗に殴り付ける。
「ユン、もうやめろ! 死んじまうぞ!」
ユンの後ろから抱き着くような形で止めに入ると、ようやく動きを止めた。肩で息をしながら、明らかに目の色が違っている。
「エイクに汚い手で触れた……それで十分死んでいい理由だ」
ユンは振り返って俺を強く抱き寄せて、
「ごめん、君を守るって言ったのに……」
と苦しそうな表情で俺を見詰めた。ふと階下を見ると、意識を失っている警備兵とユンを縛っていた縄が落ちているのが目に入った。
「どうやって縄を抜けたんだ?」
「関節を外したんだ。でももう治ったから大丈夫だよ」
痛みに鈍感なユンだからできる技だろう。普通なら呻き声を上げてすぐに見つかってしまうだろうから。
その時、ユンの背後に動く影が見えた。顔から血を流しながらも立ち上がったのだ。
「そこまでー! ストップ!」
そう声を上げて奥の廊下から現れたのはリェンだった。研究者らしき白衣を着た十名ほどに電流棒の先を向けている。
「げっ、何でお前、裸なんだ……?」
リェンの後ろから仲間と思われる数名と、オリヴァーが縄で縛った状態の警備兵数名を引き連れて現れた。
何故裸なのかは、この変態爺に聞いてくれ、と思いながら、服を着る――ユンが上手く裸が見られないように壁になってくれた。
「城は俺達『GHOST』が完全に制圧した。無駄な抵抗はしない方がいい」
両手を挙げた状態の総帥にリェンが近付くと、何と持っていた電流棒を当てて失神させてしまった。慌ててオリヴァーがリェンの頭を叩く。
「何してんだ、お前!」
「だって、絶対この爺隙見て反撃してやるみたいな顔してたんだもん! こいつ親玉だし、眠らせといた方が面倒臭くなくていいじゃん!」
それは確かにその通りなのだが、リェンの持っている電流棒は俺が作った出力調整が上手くできていないものだから、無抵抗な人間に使うのは流石に同情する。
「あと任せていいか?」
「いいけど、どこ行くんだ?」
服を着終わり、続々と『GHOST』のメンバーが集まる中、俺はオリヴァーの問いに天井を指し示した。
「地獄に落ちろ、変態サド野郎」
無表情で総帥は頬についた俺の唾を手で拭い取った。と、もう一方の手で俺の腰を掴むと、強く引き寄せられる。
「いッ、あ……!」
女性器の行き止まりの壁を、更に指で押し込まれて、鋭い痛みが走った。
「そう、そんな顔だった。もっと見せてみろ」
冷や汗が頬を伝いながら、俺は総帥に笑いかけた。
「……いいや、今度はあんたの番だ」
俺の後ろから突然現れたユンに、総帥は眼を大きく見開き、攻撃を防ごうとしたが、それよりも早くユンの拳が顔面に入っていた。更に、椅子に座ったまま逃げ場のない総帥の顔を何度も、何度も執拗に殴り付ける。
「ユン、もうやめろ! 死んじまうぞ!」
ユンの後ろから抱き着くような形で止めに入ると、ようやく動きを止めた。肩で息をしながら、明らかに目の色が違っている。
「エイクに汚い手で触れた……それで十分死んでいい理由だ」
ユンは振り返って俺を強く抱き寄せて、
「ごめん、君を守るって言ったのに……」
と苦しそうな表情で俺を見詰めた。ふと階下を見ると、意識を失っている警備兵とユンを縛っていた縄が落ちているのが目に入った。
「どうやって縄を抜けたんだ?」
「関節を外したんだ。でももう治ったから大丈夫だよ」
痛みに鈍感なユンだからできる技だろう。普通なら呻き声を上げてすぐに見つかってしまうだろうから。
その時、ユンの背後に動く影が見えた。顔から血を流しながらも立ち上がったのだ。
「そこまでー! ストップ!」
そう声を上げて奥の廊下から現れたのはリェンだった。研究者らしき白衣を着た十名ほどに電流棒の先を向けている。
「げっ、何でお前、裸なんだ……?」
リェンの後ろから仲間と思われる数名と、オリヴァーが縄で縛った状態の警備兵数名を引き連れて現れた。
何故裸なのかは、この変態爺に聞いてくれ、と思いながら、服を着る――ユンが上手く裸が見られないように壁になってくれた。
「城は俺達『GHOST』が完全に制圧した。無駄な抵抗はしない方がいい」
両手を挙げた状態の総帥にリェンが近付くと、何と持っていた電流棒を当てて失神させてしまった。慌ててオリヴァーがリェンの頭を叩く。
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「だって、絶対この爺隙見て反撃してやるみたいな顔してたんだもん! こいつ親玉だし、眠らせといた方が面倒臭くなくていいじゃん!」
それは確かにその通りなのだが、リェンの持っている電流棒は俺が作った出力調整が上手くできていないものだから、無抵抗な人間に使うのは流石に同情する。
「あと任せていいか?」
「いいけど、どこ行くんだ?」
服を着終わり、続々と『GHOST』のメンバーが集まる中、俺はオリヴァーの問いに天井を指し示した。
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