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陽川花火編
第六話 愛すること⑦
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指を前立腺を刺激するように動かし、もう一方の手で胸の突起を弄り始めると、花火が僕の茎を握り、上下に激しく擦り始める。
「あっ、ん……花、火っ……気持ち、ぃ……っ」
前と後ろの両方の愛撫に、喘ぎ声が止まらなくなった。
「イけそう?」
僕は首を縦に振った。いつの間にか腰が花火の手の動きに合わせるように動いている。花火に幻滅されているかもしれないと思うけれど、身体は快感を求めて勝手に動いてしまって、理性ではもうどうすることもできない。
「っん……あっ、ぁ……花火……好きっ……」
目の前で自分が達するところを見られるという羞恥心と自分ではない他人から触れられる感覚に一気に昂っていった。
「あぁっ、だめ……も、いっ……ぁ、あっ……!」
がくがくと腰が激しく痙攣し、脊椎を伝って快感が全身を突き抜けていく。
「あー……これ親父にバレたら殺されんな」
そう言いながら、花火が布団から出て何かを持って戻ってくる。ティッシュだった、と思った瞬間、僕はもしかしなくても花火の手に射精したのでは、と一気に正気に戻った。
「花火ごめん……手、汚して……」
「いいよ別に。一温が気持ち良かったんなら」
数枚ティッシュをもらって、おしりと指を拭う。花火の様子は普通で、少なくとも嫌われたり、呆れられたりはしなかったようで安心した。
花火はまた僕の布団に入ってきて、今度は天井を見上げたまま僕の手を握った。
「おやすみ」
そう言って目を閉じる花火に倣うように、僕も「おやすみ」と瞼を閉じた。
僕よりも少し冷たく感じた手は次第に温かくなり、直ぐ傍で安らかな寝息が聞こえてくるようになった。花火の存在を意識の端で捉えたまま、静かに眠りに落ちていった。
目が覚めると、目の前に居るはずの花火の姿が無くて、身体を起こした。しかし、花火はちょうど着替えているところだったのか、寝間着を脱いで、パンツだけの格好で背中を向けて立っている。
僕は思わず息を呑んだ。花火の大きな背中に、白く細い線が無数に走っていたのだ。それは正しく、彼が虐待を受けたという、消えることのない傷痕だった。
「……花火、今抱きついてもいい?」
「は? 何で――」
花火が振り返る前に、僕は衝動的に後ろから抱き着いた。びくと身体を震わせたけど、僕を払い除けたりはしなかった。
「僕は君が好き……花火が好きだよ」
消えてしまう、居なくなってしまう――そんな危うさを、寂寞を漂わせているから、僕はここに繋ぎ止めるように強く抱き締めた。
「……うん、ありがと」
言葉を噛み締めるように花火はそう言って、肩に凭れ掛けた僕の頭を優しく撫でる。温かくて、ごつごつした、大きな手だった。
「ほら、早く家帰んなきゃだろ。学校だぞ」
はっとして花火から離れ、すぐ近くにあった目覚まし時計を見る。針は七時を過ぎた辺りを指していて、胸を撫で下ろす。
「親父が車で家まで送るってさ。その格好で歩いて帰らせらんねーからだと」
「あの……僕の服は?」
「洗濯しとく。今日の帰りに持って帰ればいいだろ」
それは確かに有難いことだけれど、好きな人に下着を洗ってもらうのは何とも言えない恥ずかしさがある。
ふと、一つの疑問が浮かんで、カッターシャツに袖を通した花火の服の裾を掴んだ。
「……花火は僕の恋人、ってことでいいの?」
「あ、当たり前だろ! 好き同士で、付き合わねえ方が変だろが!」
――恋人。この言葉が、僕達を表す言葉の一つになったのが嬉しくて、また抱き着きたい衝動に駆られたけれど、ぐっと我慢する。少しずつ、花火の心が解されていくのを、僕は待ちたいから。
花火のお父さんの車に乗って、家までの風景を車内から眺めた。空は鱗雲が広がって、太陽の日差しを柔らかくしている。ふと道路脇に目を移すと、家の庭に植えられた赤い薔薇の花が、美しく咲き乱れていた。
特別なものなど何もない街。けれど、雨の降る日も、日差しの強い日も、風の強い日も、凍えるように寒い日も、きっと特別な日になる。
愛しい人が傍に居てくれたなら、それだけで世界はこんなにも、鮮やかに色付いて見えるのだから。
「あっ、ん……花、火っ……気持ち、ぃ……っ」
前と後ろの両方の愛撫に、喘ぎ声が止まらなくなった。
「イけそう?」
僕は首を縦に振った。いつの間にか腰が花火の手の動きに合わせるように動いている。花火に幻滅されているかもしれないと思うけれど、身体は快感を求めて勝手に動いてしまって、理性ではもうどうすることもできない。
「っん……あっ、ぁ……花火……好きっ……」
目の前で自分が達するところを見られるという羞恥心と自分ではない他人から触れられる感覚に一気に昂っていった。
「あぁっ、だめ……も、いっ……ぁ、あっ……!」
がくがくと腰が激しく痙攣し、脊椎を伝って快感が全身を突き抜けていく。
「あー……これ親父にバレたら殺されんな」
そう言いながら、花火が布団から出て何かを持って戻ってくる。ティッシュだった、と思った瞬間、僕はもしかしなくても花火の手に射精したのでは、と一気に正気に戻った。
「花火ごめん……手、汚して……」
「いいよ別に。一温が気持ち良かったんなら」
数枚ティッシュをもらって、おしりと指を拭う。花火の様子は普通で、少なくとも嫌われたり、呆れられたりはしなかったようで安心した。
花火はまた僕の布団に入ってきて、今度は天井を見上げたまま僕の手を握った。
「おやすみ」
そう言って目を閉じる花火に倣うように、僕も「おやすみ」と瞼を閉じた。
僕よりも少し冷たく感じた手は次第に温かくなり、直ぐ傍で安らかな寝息が聞こえてくるようになった。花火の存在を意識の端で捉えたまま、静かに眠りに落ちていった。
目が覚めると、目の前に居るはずの花火の姿が無くて、身体を起こした。しかし、花火はちょうど着替えているところだったのか、寝間着を脱いで、パンツだけの格好で背中を向けて立っている。
僕は思わず息を呑んだ。花火の大きな背中に、白く細い線が無数に走っていたのだ。それは正しく、彼が虐待を受けたという、消えることのない傷痕だった。
「……花火、今抱きついてもいい?」
「は? 何で――」
花火が振り返る前に、僕は衝動的に後ろから抱き着いた。びくと身体を震わせたけど、僕を払い除けたりはしなかった。
「僕は君が好き……花火が好きだよ」
消えてしまう、居なくなってしまう――そんな危うさを、寂寞を漂わせているから、僕はここに繋ぎ止めるように強く抱き締めた。
「……うん、ありがと」
言葉を噛み締めるように花火はそう言って、肩に凭れ掛けた僕の頭を優しく撫でる。温かくて、ごつごつした、大きな手だった。
「ほら、早く家帰んなきゃだろ。学校だぞ」
はっとして花火から離れ、すぐ近くにあった目覚まし時計を見る。針は七時を過ぎた辺りを指していて、胸を撫で下ろす。
「親父が車で家まで送るってさ。その格好で歩いて帰らせらんねーからだと」
「あの……僕の服は?」
「洗濯しとく。今日の帰りに持って帰ればいいだろ」
それは確かに有難いことだけれど、好きな人に下着を洗ってもらうのは何とも言えない恥ずかしさがある。
ふと、一つの疑問が浮かんで、カッターシャツに袖を通した花火の服の裾を掴んだ。
「……花火は僕の恋人、ってことでいいの?」
「あ、当たり前だろ! 好き同士で、付き合わねえ方が変だろが!」
――恋人。この言葉が、僕達を表す言葉の一つになったのが嬉しくて、また抱き着きたい衝動に駆られたけれど、ぐっと我慢する。少しずつ、花火の心が解されていくのを、僕は待ちたいから。
花火のお父さんの車に乗って、家までの風景を車内から眺めた。空は鱗雲が広がって、太陽の日差しを柔らかくしている。ふと道路脇に目を移すと、家の庭に植えられた赤い薔薇の花が、美しく咲き乱れていた。
特別なものなど何もない街。けれど、雨の降る日も、日差しの強い日も、風の強い日も、凍えるように寒い日も、きっと特別な日になる。
愛しい人が傍に居てくれたなら、それだけで世界はこんなにも、鮮やかに色付いて見えるのだから。
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