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エピソード7-2
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でも二人きり。
こんな場所では話す以外にやることがない。普段、聞いてこないからなかなか言う機会がないし、汐音のことでも話そうかと千草は思いたち、話し始めようとした瞬間
「あ、しまった…、ちょっとごめん。飲み物見てくる…。ちょっとまってて。」
と、幾分弾むような声で夫は、もと来た方へと戻って戻って行ってしまった。
千草はなんだか残念な気分に包まれた。
(二人っきりはもしかしたら嫌なのかも。)
こんなことだけでも、なんだか不安になる。
こんなところに一人ぼっちにされても、ほぼ知人などいないのに。
最近、一つ悪いことを考えるとどんどん悪い方に考えがちだ。
なんだかんだと言って、彼はまたタバコを吸いに行く口実で、去って行ったのだろう。
そう思うと、タバコの件で振り回されているみたいで、少し可笑しかった。
いつからか、なにか気まずい雰囲気になるとどこかに行くようになった。部屋の中では吸ってほしくないと言ってから、ベランダで吸うのが少しずつ日課になっていったがそれが逃げる場所を提供してしまったことに二人は気づかないまま日常化していった。
おそらくこれからもずっと、何か言いたいことがあっても喧嘩するくらいならと煙とともに昇華させていく方を選ぶのだろう。そうやって距離が離れていくとも気づかずに。
このまま不満が溜まっていったら、いつしか離婚してしまうのだろうか。
自分には、家庭をもつのは難しかったのだろうか。もし本当に離婚とかになったら汐音はどうすればいいのか。そんな波が小さく大きく押し寄せる。
千草は知らない家族が、川辺で楽しんでいるのを眺めるといろんな事が浮かんでは消えた。
…あの日、義家族との団らんの翌日。
頭の何処かでは、皆が見ていたタブレットのことが意識から離れないでいたけれど、義家族が来た翌日は朝からとても忙しい。
夕食を食べ、くつろぎ泊まることはほとんどないが帰るのは21時過ぎになる。帰る前に、洗い物は終わらせてくれるし残ったら片付けてはくれるのだが、千草にとってはあくまでもとりあえずであり、整理整頓は残っている。
たいてい多すぎるほど買ったり作ったりして持ってきてくれるので、そういう仕分けも翌日にずれ込む。
タッパーとかに入れてあるものはまだしも、買ってきたパックとかは小分けなどしなければならず、翌朝はその中から朝食とお弁当を繰り出し、月曜は燃えるゴミというのもあるので、できればその時間までに捨てられるものは捨ててしまいたい。
とりあえず、調理しないでも大丈夫な一部を朝食にとテーブルに並べていると、夫が起床してきた。どちらかと言うと和食派なので、その部分だけは助かっている。
まあ、夫の好きなものばかりだから、そのために持ってきているのが垣間見れるけれど。
追加で、目玉焼きだけは焼いて出した。
和食の体であれば、あまり文句を言わない。
タブレットで気になるニュースを流し読みしながら黙々と食べている。
その間に、ゴミをまとめ終わったので玄関においた。
出勤ついでに、ステーションに置いていってくれるくらいはしてくれる。
いつだったかリサイクル系のを出し忘れて慌ててステーションに置きに行った時に、
「あら、珍しいですね。いつもは旦那さんなのに。」
と、管理人の奥さんが声を掛けてきた。
他の部屋の奥さんが、夫がゴミくらい出してくれればいいのに何もしてくれないと嘆いていたと教えてくれた。
こんな場所では話す以外にやることがない。普段、聞いてこないからなかなか言う機会がないし、汐音のことでも話そうかと千草は思いたち、話し始めようとした瞬間
「あ、しまった…、ちょっとごめん。飲み物見てくる…。ちょっとまってて。」
と、幾分弾むような声で夫は、もと来た方へと戻って戻って行ってしまった。
千草はなんだか残念な気分に包まれた。
(二人っきりはもしかしたら嫌なのかも。)
こんなことだけでも、なんだか不安になる。
こんなところに一人ぼっちにされても、ほぼ知人などいないのに。
最近、一つ悪いことを考えるとどんどん悪い方に考えがちだ。
なんだかんだと言って、彼はまたタバコを吸いに行く口実で、去って行ったのだろう。
そう思うと、タバコの件で振り回されているみたいで、少し可笑しかった。
いつからか、なにか気まずい雰囲気になるとどこかに行くようになった。部屋の中では吸ってほしくないと言ってから、ベランダで吸うのが少しずつ日課になっていったがそれが逃げる場所を提供してしまったことに二人は気づかないまま日常化していった。
おそらくこれからもずっと、何か言いたいことがあっても喧嘩するくらいならと煙とともに昇華させていく方を選ぶのだろう。そうやって距離が離れていくとも気づかずに。
このまま不満が溜まっていったら、いつしか離婚してしまうのだろうか。
自分には、家庭をもつのは難しかったのだろうか。もし本当に離婚とかになったら汐音はどうすればいいのか。そんな波が小さく大きく押し寄せる。
千草は知らない家族が、川辺で楽しんでいるのを眺めるといろんな事が浮かんでは消えた。
…あの日、義家族との団らんの翌日。
頭の何処かでは、皆が見ていたタブレットのことが意識から離れないでいたけれど、義家族が来た翌日は朝からとても忙しい。
夕食を食べ、くつろぎ泊まることはほとんどないが帰るのは21時過ぎになる。帰る前に、洗い物は終わらせてくれるし残ったら片付けてはくれるのだが、千草にとってはあくまでもとりあえずであり、整理整頓は残っている。
たいてい多すぎるほど買ったり作ったりして持ってきてくれるので、そういう仕分けも翌日にずれ込む。
タッパーとかに入れてあるものはまだしも、買ってきたパックとかは小分けなどしなければならず、翌朝はその中から朝食とお弁当を繰り出し、月曜は燃えるゴミというのもあるので、できればその時間までに捨てられるものは捨ててしまいたい。
とりあえず、調理しないでも大丈夫な一部を朝食にとテーブルに並べていると、夫が起床してきた。どちらかと言うと和食派なので、その部分だけは助かっている。
まあ、夫の好きなものばかりだから、そのために持ってきているのが垣間見れるけれど。
追加で、目玉焼きだけは焼いて出した。
和食の体であれば、あまり文句を言わない。
タブレットで気になるニュースを流し読みしながら黙々と食べている。
その間に、ゴミをまとめ終わったので玄関においた。
出勤ついでに、ステーションに置いていってくれるくらいはしてくれる。
いつだったかリサイクル系のを出し忘れて慌ててステーションに置きに行った時に、
「あら、珍しいですね。いつもは旦那さんなのに。」
と、管理人の奥さんが声を掛けてきた。
他の部屋の奥さんが、夫がゴミくらい出してくれればいいのに何もしてくれないと嘆いていたと教えてくれた。
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