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エピソード2-2
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そうなると、意思疎通のタイミングを相手の行動をよみすぎて外しだし、それに追い打ちをかけるように義妹にせっつかれてしまうという悪循環に陥ったのだ。
千草は施設で育った。そういう生い立ちを知っているから、義家族は一人にさせたくないという優しさで味方になっているという構図だ。
が、そのせいでどこまでが普通の加減なのかをよく知らない。
味方でいてくれているというのは、何となく分かっているのだが、どう接すれば正解なのかがよくわからないまま先走った千草擁護が、ギクシャクを加速させていると、義母も義妹も気づいていないのだ。
多分、夫はヘビースモーカーまではいかないと思う。1日1箱吸わない日もあるからだ。
会社の中で非公式ながら喫煙所会議のようなものがある。
短い休憩を何回も取っていると、非喫煙者には不評のタバコ休憩。
それでもタバコの時間の手持ち無沙汰で喫煙者同士で話が進み情報共有の場の一つになりがちで、実際夫もそういう中で何度もきっかけを掴んだと言っていたことがある。
初めこそ付き合いで日に数本だったらしいが、四半期ごとの繁忙期に時々仕事を持ち帰ることもありその延長で家でもタバコを吸っている。
そんな佐々木家。義母はともかく義妹は、タバコが嫌い派だそうで義父が禁煙したきっかけの一つだそうだ。
健康オタクなところもあり、その延長で選んだ仕事が看護師だった。
だから、夫がタバコを覚えたときは大喧嘩したと義母が笑って教えてくれた。
「なんでも二人で分け合って、とても仲良く育ったからケンカしたことないのに、初めてのケンカがそれなのよ。」
まあ、いろんな患者を多く見てきてもちろん癌患者なんかとも触れ合うことがある義妹にとって、タバコは健康から程遠いものだし、職業柄わからなくもない。
だんだんと、その義妹の考えに染まってきてしまったのだ。
そこに来て、とある話を聞いたので「タバコ」に関して意識が大きくなってしてしまったのだ。
あの日もたしか、夫が忙しくしていた時期で義父もなかなか忙しく一人ご飯になりがちな義母を誘い義妹が自身の休みの日に家にきてくれたときのことだ。
珍しくテレビがついていて、ちょうど夕方のニュースで巷で話題のはなしをしていた。
そこで「タバコ」について取り上げられていたのだった。
該当インタビューの中にはいろいろな意見があったが、興味を引いたのは
タバコをよく思っていない派の人が
「火をつけて燃やして無くすものだけのものに、どうしてお金を払うのかわからない。」
と答えていた。
それをきっかけに、義妹と義母が話を初めた。
「子どもが大学を出るまで下手すると、今からだとかなりの額になるらしいわよ。」
子供が生まれてから、準備する諸々のことまで話が及ぶと、計算力に自信がない千草にも自分が大人になるまでの何倍も要する可能性が容易に想像できてしまった。
夫の給料は多分悪くないと思う。
義父の会社とはまた違う系列の有名企業の営業で、結婚する少し前に平社員から少し上に上がり、多くはないが1つチームを持っていて会社の主力商品を担っているらしい。
今、佐々木家が住んでいるマンションも多少は義両親が援助してくれたとはいえ、会社から1時間圏内は悪くない場所に買ったくらいだ。
やりくりの件はさておき、その話の延長で話が膨らむ。
つい、タバコ消費量の金額を計算してしまった。
ヘビースモーカーじゃないが、仕事が立て込んでいるときだけ時折2箱目に行くことがあると漏らしてしまったのがきっかけだった。
「単純計算で1日2箱。1日とりあえず900円としよう。」
スマートフォンの計算機を持ち出す。
一週間なら…、一ヶ月なら…、一年なら…。マイナス思考は深みにハマる。
365日で単純計算すると…32万をゆうに超えた金額になった。
実際はそんなに吸っていないのだが。
最も驚いたのは、義母だった。
義父がかつて、そのくらい吸っていたらしい。とは言っても義父が買っていた頃は今よりもっとタバコ代は安かったのだが。そんなことは思考外だ。
義妹は3度計算した。
電卓は押すキーさへ間違わなければ計算は正確にしてくれる。間違いない。32万8500円。
お金でそんなに苦労してない義妹ですら呆気に取られる金額。
色々苦労してきた千草には、「タバコ」を吸う選択をいつまでもしている夫をなんとかしたいと思うには、十分な情報だった。
千草は施設で育った。そういう生い立ちを知っているから、義家族は一人にさせたくないという優しさで味方になっているという構図だ。
が、そのせいでどこまでが普通の加減なのかをよく知らない。
味方でいてくれているというのは、何となく分かっているのだが、どう接すれば正解なのかがよくわからないまま先走った千草擁護が、ギクシャクを加速させていると、義母も義妹も気づいていないのだ。
多分、夫はヘビースモーカーまではいかないと思う。1日1箱吸わない日もあるからだ。
会社の中で非公式ながら喫煙所会議のようなものがある。
短い休憩を何回も取っていると、非喫煙者には不評のタバコ休憩。
それでもタバコの時間の手持ち無沙汰で喫煙者同士で話が進み情報共有の場の一つになりがちで、実際夫もそういう中で何度もきっかけを掴んだと言っていたことがある。
初めこそ付き合いで日に数本だったらしいが、四半期ごとの繁忙期に時々仕事を持ち帰ることもありその延長で家でもタバコを吸っている。
そんな佐々木家。義母はともかく義妹は、タバコが嫌い派だそうで義父が禁煙したきっかけの一つだそうだ。
健康オタクなところもあり、その延長で選んだ仕事が看護師だった。
だから、夫がタバコを覚えたときは大喧嘩したと義母が笑って教えてくれた。
「なんでも二人で分け合って、とても仲良く育ったからケンカしたことないのに、初めてのケンカがそれなのよ。」
まあ、いろんな患者を多く見てきてもちろん癌患者なんかとも触れ合うことがある義妹にとって、タバコは健康から程遠いものだし、職業柄わからなくもない。
だんだんと、その義妹の考えに染まってきてしまったのだ。
そこに来て、とある話を聞いたので「タバコ」に関して意識が大きくなってしてしまったのだ。
あの日もたしか、夫が忙しくしていた時期で義父もなかなか忙しく一人ご飯になりがちな義母を誘い義妹が自身の休みの日に家にきてくれたときのことだ。
珍しくテレビがついていて、ちょうど夕方のニュースで巷で話題のはなしをしていた。
そこで「タバコ」について取り上げられていたのだった。
該当インタビューの中にはいろいろな意見があったが、興味を引いたのは
タバコをよく思っていない派の人が
「火をつけて燃やして無くすものだけのものに、どうしてお金を払うのかわからない。」
と答えていた。
それをきっかけに、義妹と義母が話を初めた。
「子どもが大学を出るまで下手すると、今からだとかなりの額になるらしいわよ。」
子供が生まれてから、準備する諸々のことまで話が及ぶと、計算力に自信がない千草にも自分が大人になるまでの何倍も要する可能性が容易に想像できてしまった。
夫の給料は多分悪くないと思う。
義父の会社とはまた違う系列の有名企業の営業で、結婚する少し前に平社員から少し上に上がり、多くはないが1つチームを持っていて会社の主力商品を担っているらしい。
今、佐々木家が住んでいるマンションも多少は義両親が援助してくれたとはいえ、会社から1時間圏内は悪くない場所に買ったくらいだ。
やりくりの件はさておき、その話の延長で話が膨らむ。
つい、タバコ消費量の金額を計算してしまった。
ヘビースモーカーじゃないが、仕事が立て込んでいるときだけ時折2箱目に行くことがあると漏らしてしまったのがきっかけだった。
「単純計算で1日2箱。1日とりあえず900円としよう。」
スマートフォンの計算機を持ち出す。
一週間なら…、一ヶ月なら…、一年なら…。マイナス思考は深みにハマる。
365日で単純計算すると…32万をゆうに超えた金額になった。
実際はそんなに吸っていないのだが。
最も驚いたのは、義母だった。
義父がかつて、そのくらい吸っていたらしい。とは言っても義父が買っていた頃は今よりもっとタバコ代は安かったのだが。そんなことは思考外だ。
義妹は3度計算した。
電卓は押すキーさへ間違わなければ計算は正確にしてくれる。間違いない。32万8500円。
お金でそんなに苦労してない義妹ですら呆気に取られる金額。
色々苦労してきた千草には、「タバコ」を吸う選択をいつまでもしている夫をなんとかしたいと思うには、十分な情報だった。
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