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エピソード9-5
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あの時、御幸から見せてもらった計画の一端が、それがきっと今なのかもしれないと千草が思ったのが、森さんのチャームを見た時だったのだ。
挨拶もそこそこに、森さんは
「わー可愛い。」
とはしゃいで、誰かが連れてきたペットの方へと向かった。近くにいた子どもたちに子どもたちのことじゃなく動物たちの事を聞いている。
ものの数分で子どもたちの輪の中で、仲良くなっていた。
すでに子供たちは慣れたもので、おとなしい犬と小型犬とは仲良くなっていたが、猫のゲージ前は不人気だった。
どうやら子供嫌いな猫が威嚇したせいで誰も寄り付かないらしい。
森さんが猫たちと仲良くする方法を子どもたちに伝授すると、おやつとおもちゃに勝てないらしく、子どもだけじゃなかなか近づいてこなかったのに、こっちもあっという間に籠絡させた。
ここまで来ると、子どもたちからすればヒーロー…もとい、ヒロイン。怖がっていた子どもも、撫でられるとわかればあっという間に猫の周りにも群がった。
その輪の中にもちろん汐音もいた。
高橋さんは動物よりも森さんが気になるようで微笑ましい笑顔で見守っている。
恋人ではないようだから、もしかすると一方的に高橋さんが好意を抱いているのかもしれないと千草は思った。
夫と出会った頃は、こんな感じで私にたくさん微笑んでくれたのに…と、昔のことを少し思い出していた。今は私ではなく微笑む相手が汐音に移っている。
まあ、おそらくそれは千草もだけれど。
千草が注ぐ優しい視線の先の汐音に高橋さんが気づく。
「あの子が佐々木さんのお子さんですか?」
と聞いてきた。
「ええ、汐音いらっしゃい。」
呼ばれて、猫を撫でてる手を止め名残惜しそうな態度で近づいてきた。
やり取りに気づいたのか森さんは、汐音の後ろから一緒についてきた。他の子どもたちはもう、動物たちに夢中だ。
森さんはとても、女性らしい感じででも同性から見ても嫌みのない感じの人だった。
そして同性も憧れるような体のラインだと思う。どんな服を来ても似合いそうだ。
私には無いものを持っている。
昔はうらやましくも思った時期もあったけれど、結婚してからそれもなくなった気がする。最近じゃ足取りが重いと嘆いてばっかりだ。最近緩めのものばっかり履くようになった気がする。
汐音はかくれてモジモジしている。
「幼稚園生ですよね、確か来年小学校だと聞いたような。」
「ええ。」と答えそのまま汐音に視線を合わせて
「あと1年で小学校に入学するんだよね。」
と促すと、汐音はぎこちなく、二人に向かってコクンっとうなづいてみせた。夫がそういう紹介はしているらしいと今初めて知った。
「汐音、そういう時は『ハイ』でしょ?」
と、母親面して窘めた。
親としては、夫に似て恥ずかしがり屋だという事を知っているので、この子の精一杯の返事だという事は承知している。
挨拶もそこそこに、森さんは
「わー可愛い。」
とはしゃいで、誰かが連れてきたペットの方へと向かった。近くにいた子どもたちに子どもたちのことじゃなく動物たちの事を聞いている。
ものの数分で子どもたちの輪の中で、仲良くなっていた。
すでに子供たちは慣れたもので、おとなしい犬と小型犬とは仲良くなっていたが、猫のゲージ前は不人気だった。
どうやら子供嫌いな猫が威嚇したせいで誰も寄り付かないらしい。
森さんが猫たちと仲良くする方法を子どもたちに伝授すると、おやつとおもちゃに勝てないらしく、子どもだけじゃなかなか近づいてこなかったのに、こっちもあっという間に籠絡させた。
ここまで来ると、子どもたちからすればヒーロー…もとい、ヒロイン。怖がっていた子どもも、撫でられるとわかればあっという間に猫の周りにも群がった。
その輪の中にもちろん汐音もいた。
高橋さんは動物よりも森さんが気になるようで微笑ましい笑顔で見守っている。
恋人ではないようだから、もしかすると一方的に高橋さんが好意を抱いているのかもしれないと千草は思った。
夫と出会った頃は、こんな感じで私にたくさん微笑んでくれたのに…と、昔のことを少し思い出していた。今は私ではなく微笑む相手が汐音に移っている。
まあ、おそらくそれは千草もだけれど。
千草が注ぐ優しい視線の先の汐音に高橋さんが気づく。
「あの子が佐々木さんのお子さんですか?」
と聞いてきた。
「ええ、汐音いらっしゃい。」
呼ばれて、猫を撫でてる手を止め名残惜しそうな態度で近づいてきた。
やり取りに気づいたのか森さんは、汐音の後ろから一緒についてきた。他の子どもたちはもう、動物たちに夢中だ。
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そして同性も憧れるような体のラインだと思う。どんな服を来ても似合いそうだ。
私には無いものを持っている。
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「ええ。」と答えそのまま汐音に視線を合わせて
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