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エピソード11-2
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夫がこの後、まさかの自宅でフリーズすることになるなんてつゆ知らず、夫から気になる森さんが来訪してくる事を聞いたことで、居ても立っても居られない気持ちになっていた。
この週末に、二人が佐々木家にやってくる。
考えあぐねた結果、御幸本人に聞こうということに思い至ったものの、なんと切り出したら良いのか考えがまとまらなかった。
その間、義母と義妹がそれぞれ別日にやってきたので、タイミングを逃してしまったことも大きい。
結果、電話では上手く話せそうもないと千草は思い立って御幸の事務所へアポ無しで向かっていた。
三度目ともなると、もう勝手知ったる…という感じで、サクサクとその場まではたどり着いた。
しかし、何度かノックしても誰も出る気配がない。
今更ながら、電話してから来れば良かったと反省する。しばらく待ったが誰も来る気配がないし、これ以上ここにいると今度は不審者になってしまうので、諦めて帰ることにした。
どうしても森さんが来訪してくる前に、関係があるのかを聞いておきたかった。彼女が関係者なら、御幸の口から
「彼女にまかせておけば大丈夫ですから。」
という言葉を聞いて安心したかったのだ。
夫に黙って、なにかしているという後ろめたさが、どうしてもここに来なければならないという強迫観念のようになって、つい足を向けてしまった。
行きはあんなに心が逸っていたのに、急に道を見失ってしまったような気がして帰り道の足取りは重い。
夫の前で、森さんと普通に過ごせるだろうか。
自然ってどう接すればいいのだろう。
その足で汐音を幼稚園へと迎えに行った帰り道、買い物したものと汐音の小さい手が千草のそれぞれの手を占領していた。
もう、何度も歩いたはずの道が知らない街の一角のように錯覚するほど倍以上に遠く感じる我が家。
どうしたものかと考えながらも耳は汐音が幼稚園であったことの報告をうんうんと相槌しながら聞く。
こうやって親という人は色んなことを一緒にするというスキルを増やしていくのだろう。
汐音の姿を見ると少し心が落ち着く気がした。
「佐々木さん?」
そんなとき聞き覚えのある声に呼び止められた。
あまりにも、心が落ち着かないから神様が手を貸してくれたのかもしれない。
何故か森さんがそこにいた。
この前とは違い、今日はスーツで身を固めている。
あの日よりも、ぐっと大人っぽい雰囲気だ。
会いたかったような会いたくなかったような相手は私をみて微笑んでいた。
この週末に、二人が佐々木家にやってくる。
考えあぐねた結果、御幸本人に聞こうということに思い至ったものの、なんと切り出したら良いのか考えがまとまらなかった。
その間、義母と義妹がそれぞれ別日にやってきたので、タイミングを逃してしまったことも大きい。
結果、電話では上手く話せそうもないと千草は思い立って御幸の事務所へアポ無しで向かっていた。
三度目ともなると、もう勝手知ったる…という感じで、サクサクとその場まではたどり着いた。
しかし、何度かノックしても誰も出る気配がない。
今更ながら、電話してから来れば良かったと反省する。しばらく待ったが誰も来る気配がないし、これ以上ここにいると今度は不審者になってしまうので、諦めて帰ることにした。
どうしても森さんが来訪してくる前に、関係があるのかを聞いておきたかった。彼女が関係者なら、御幸の口から
「彼女にまかせておけば大丈夫ですから。」
という言葉を聞いて安心したかったのだ。
夫に黙って、なにかしているという後ろめたさが、どうしてもここに来なければならないという強迫観念のようになって、つい足を向けてしまった。
行きはあんなに心が逸っていたのに、急に道を見失ってしまったような気がして帰り道の足取りは重い。
夫の前で、森さんと普通に過ごせるだろうか。
自然ってどう接すればいいのだろう。
その足で汐音を幼稚園へと迎えに行った帰り道、買い物したものと汐音の小さい手が千草のそれぞれの手を占領していた。
もう、何度も歩いたはずの道が知らない街の一角のように錯覚するほど倍以上に遠く感じる我が家。
どうしたものかと考えながらも耳は汐音が幼稚園であったことの報告をうんうんと相槌しながら聞く。
こうやって親という人は色んなことを一緒にするというスキルを増やしていくのだろう。
汐音の姿を見ると少し心が落ち着く気がした。
「佐々木さん?」
そんなとき聞き覚えのある声に呼び止められた。
あまりにも、心が落ち着かないから神様が手を貸してくれたのかもしれない。
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