カラダで堕とす嫁取り戦略

ひづき

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「向こうは快諾してくれた。花嫁衣装の代わりにと純白の上等な布地を贈ってきたぞ」

「はあぁ?」

「これで何の憂いもなくヤれるな」

 見た事もない程に晴れやかな笑顔で顔を近づけてくる男の唇を、ランスは咄嗟に手で覆った。

「待て。俺って性奴隷じゃなかったのか?嫁?お前、嫁に服を着せずに全裸で監禁する趣味あんの?そんな旦那は流石に嫌なんだが!!」

 魔王の美しい顔、その眉間にシワが寄る。

「逃げないと確証が持てるまでは仕方ないだろう。三千年目の初恋なんだ、絶対に逃さない」

「怖!!年の差エグい!!初恋遅過ぎるだろ!!」

「武器を失って尚立ち向かう姿と、死を覚悟した瞬間の笑顔に惚れた」

「趣味が悪過ぎる!!!!!」

 惚れる要素が微塵も感じられないポイントを出され、ランスはドン引きする。押し倒そうとしてくる魔王を必死に押し返して抵抗した。

 抵抗虚しく容易に組み敷かれ、男の股間にある赤黒い雄の象徴を見せつけられる。いつどうして興奮したのか分からないが、それは熱気をむわりと纏いながら膨張して天を向いている。

「ひ…!」

 反射的に嫌だと叫ぶのは理性で。対象的にランスの下腹部はこの先にある快感を思い描いて甘く切なげに痺れる。目が離せないまま無意識に湧いてきた唾を飲み込んで、促されるまま脚を開く。

 本来出口でしかないはずの入り口を、凶器の先端が漏れ出た体液を塗り付けるようになぞる。入って来ることを期待した後腔はぱくぱくと収縮拡張を繰り返して挿入を強請ってしまう。

「はやく、いれろ…!」

 嫌なはずなのに、焦れったくてランスは身を捩り、男を煽る。

「嫁になるのは嫌なのだろう?嫌がるメスに挿入するのは紳士として躊躇われるなァ」

 楽しげに、ニヤニヤと。心にもないセリフであることは一目瞭然。

「今更!?お前が俺の身体をこんなにしたくせに!?」

 ランスの全身が期待に熱く昂ぶっており、股間も頭を擡げている。欲しい、欲しいと腹筋が痙攣して頭が沸騰しそうだ。迎え入れようと腰を動かすと男の逸物が逃げる。でもすぐに周辺をなぞるように男の体液を塗り込めてきて。その生々しい匂いに目眩さえしてくる。

「嫁になるなら存分に可愛がってやる。ここを埋めてやるし、望むなら口淫も施してやろう。浮気は駄目だ。相手がオスでもメスでも駄目だ。約束できるなら衣類を与えよう。金銀財宝でも、魔界での権力も、人間の生命も、労働力も、お前が望むものは全て与えてやる」

「ぃ、要らな…!!」

 重い。重すぎる。権力に生命なんて貰っても心底嬉しくない。

「欲しいだろう?」

「あ、」

 くちゅくちゅと先端が穴にキスをするかのように浅く入り込み、すぐに抜けていった。煽られて煽られて脳みそが馬鹿になりそうだ。形振り構わず掴んで突っ込みたい。それなのに肩を押さえつけられており、手を伸ばしても欲しい物には届かない。

「ほら、言え。何が欲しい」

 怖いほどの、頭が真っ白になる瞬間を味わいたい。ランスは己の情けなさにボロボロと涙を零した。

「…ぉ、おちんちん、いれて」

「誰のが欲しい?」

 ここで答えを間違えたら酷い目に遭うことは本能で分かっていた。

「まおうの!」

「良い子だ」

 髪を撫でられ、それすら気持ち良くて。ランスは喘ぎを呑み込んだ。

「次からは『旦那様の』が欲しいと言えよ」

 ───誰が旦那で嫁だよ!!!!!

 その一線はまだ許していない。唐突に戻った理性が苛立ったが、その瞬間、望んでいた肉棒に貫かれてランスは絶頂しながら男を必死に締め付けた。

「ああっ、いってる、いってるからぁっ」

 容赦なくガツガツ穿たれ、絶頂の余韻に浸ることも許されずに翻弄される。

「俺のだ、俺のものだ!」

 ガブガブと首筋に歯を立てられ、払い除けようとした手を繋がれて。手に伝わる男の体温に安心感を求めて、ランスは指を絡めた。応えるように指を絡め返され、安堵から笑みを零す。

「きす、きす、して」

 もう今更だと開き直り、ランスはいま欲しいものを口にした。それはすぐに与えられる。呼吸さえ制限される、支配される。

 満たされる幸福感。



 理性が戻るとランスは激しい後悔に見舞われて悶た。ついでに羞恥も襲ってくる。そんな幸福、認めてたまるかという葛藤に頭を抱えて奇声を上げてしまう。

 魔王はそんなランスを前に声を上げて笑っていた。

「本当に可愛い奴だな」

「うるさい、黙れ!!」

 魔王の意向で真っ白いタキシードを着せられたランスは、顔を真っ赤にして隣に立つ魔王をべしべし叩く。魔王は人間の姿ではなく、戦った時に見せていた化け物の姿だ。巨体であり、手を伸ばしても頭には届かない。頭を殴るのは諦め、ランスを抱き締めるように巻き付く蛇のような尾をべしべし叩くのが精一杯である。

「なんだか、思っていたより幸せそうですわね…」

 聖女が呟くと、同じく唖然としていた勇者一行も呆然と頷く。もっと悲壮感のある、生贄にされた騎士の絶望を見せつけられるものだと身構えていただけに、予想との落差が酷く衝撃的だった。

 魔族達も魔王の結婚に納得しているのか、今まで人間に見せてきたような敵意は欠片もなく、ひたすら喜んでいる。

「…本当に、よくある結婚式ですね、これ」

「…そう、だな」

「彼らの愛で平和が齎される、のか…」

「愛?」

「愛とは…?」





[完]
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