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しおりを挟む「あ、や、ん、やだ、やだあああ…」
ぐじゅぐじゅと尻穴から聞きたくない音が聞こえてくる。そんなところから指を入れられて胎内を掻き混ぜられているなんて、そんな現実を受け入れられず、イヤイヤと頭を左右に振り乱す。
男が何かを呟いた途端、両腕輪が強制的に引き合い、くっついて離れなくなってしまった。逆に両方の足輪は同極の磁石かのように反発し合い、閉じることができなくなった。舌を噛み切ろうとすると首輪が口枷に変形して閉じられなくなる。
四肢の抵抗を封じられ、それでも暴れると軽々と引っ繰り返されて。尻穴を掻き混ぜられながら、顔の綺麗な男の口に陰茎を咥えられた時には涙腺が崩壊した。
「こわぃ、こわい!なんか、なんか、くるぅ…!やだぁ!」
射精とは違う。知らない感覚が内側から押し寄せて来る。その恐怖に可能な限り抵抗しようと全身に力を込める。手足だけではなく、顔にも首にも、二の腕に背中に、意識したこともない全身が強張り、這い上がる何かを押さえ込もうと、逃れようと抗う。
「すごいな。挿れたら気持ち良さそうだ」
孔を暴く男の指をも意図せずぎゅうぎゅうと締め付ける。指の抜き差しは止まったが、指先が胎内を確かめるように蠢くのは止められない。
「も、たのむから、やめてくれ!」
ランスにとってそこは未知の領域だ。その未知を名前も知らない男に踏み荒らされる屈辱と、初めて知る胎内の弱点を指の腹で捏ねられる絶望とを抱えたまま、急激な衝撃で炙られ茹だるように熱くなる全身を持て余して涙を流す。
「恐れるな、高潔な騎士ランスよ。これは試練のようなもの。怖いのも辛いのも最初だけ。乗り越えて、早く堕ちてこい」
「ひぐッ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
怪我に火を押し付けて止血した時は声を上げることなく耐えられた。あの時のほうがマシだった。自分が強すぎる快感にここまで脆弱だなんて知りたくなかった。
度の過ぎる絶頂で一瞬だけ意識を飛ばすと、がくんっと全身の力が抜けた。目の前がチカチカと点滅して気持ち悪い。それなのに、脱力と共に襲ってくる疲労感と身体の重みが心地良い。そんな矛盾に身を委ねて身体は眠ろうとする。ランスの理性も疲れ果てており反対する気は起きない。
「ふ…ぁんっ」
自身の艶めいた声に驚いて一気に覚醒する。指など比では無い太さのモノが内臓を突き上げてくる。それが何かを確認したいのに、敏感になった内部を押し広げられ、満遍なく擦られると、再び身体の芯に火が灯って熱い。
「やだ、そんな、なんで、」
なんで、こんなに気持ちいいのか!
その戸惑いは声にならなかったが、認識してしまうともう駄目だった。いつの間にか自由になっていた両手で目の前の男の身体に縋りつく。この男だけが自分を助けてくれる。善すぎて怖いのだとランスは泣きながら、男に穿たれ続けた。
全身のありとあらゆるところが痛いと、性交後に女が言うのを聞いて大袈裟だと呆れていた自分を殴りたい。冗談でも比喩でもなく、今まで動かしたこともないであろう筋肉まで悲鳴を上げている。間違いなく自分はあの男に征服されてメスにされたのだと痛感した。
ランスに衣服は与えられない。相変わらず全裸に、腕輪、足輪、首輪のみ。天蓋付きの豪華な寝台がある室内なら自由に動き回ることができるらしい。とはいえ、疲労困憊で動きたくないので、早々に探索は切り上げてゴロゴロしている。
毎日まいにち、男の精を肚で受け止めるだけの日々だ。お陰で最近は中イキすることにも少しは慣れてきた。未だに怖いと泣いてしまうが。
そんな中でも考えてしまう。国はどうなったのだろう。仲間達はどうなったのだろう。
「ランス」
この部屋に入ってくる唯一の存在。ランスの身体を暴いてメスにした男だけ。
「なに、魔王様。ご飯?それともセックス?」
戦ったときは異形の化け物だったのに、人間の姿になれると知った時は驚いた。驚いたが、元々人間だったのを無理やり魔獣と融合されて魔族になったという経緯を考えると納得がいった。それにしても美形である。イケメン過ぎて王族に疎まれたのだろうかと勘ぐる程に美しい男だ。
「失礼な奴だな。それら以外の用事でも俺はお前に会いに来てるだろ」
「いや、それ以外って、今まであったか?初めてだよな?」
「違う。お前が気絶ばかりしているのが悪い」
「俺を気絶させてんのはアンタだよな?つまり悪いのは絶倫すぎるアンタだ、俺じゃない」
男が魔王だと気づいても特に恐怖は覚えなかった。むしろ腑に落ちた。
「───まぁ、いい。向こうから返事が来たから、そろそろ説明をしておこう」
向こう。勇者を含むランス達を魔王討伐に派遣した国のことだと察してランスは表情を引き締めた。全裸で、というのが間抜けだが仕方ない。
「返事ということは、先に魔族側から何か伝えたってことだよな?」
「ああ。生き残った一行に瀕死の勇者を持ち帰らせた」
何故その生き残り一行にランスが入っていないのか。文句を吐き出しそうになるのを奥歯を噛んで耐える。死んだと思われた勇者が生きていたのは喜ばしいが、それも今は横においておかなくてはならぬ。そんなランスの心情をよそに魔王は続ける。
「奴らに託した伝言は『騎士ランスを嫁にくれるなら魔獣を鎮めてやってもいいぞ、どうする?』だ」
「…はぁ?」
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