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生徒の一日 その1
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「弁当か~~~まあ普段と変わらないと言えば、変わらないのかな~?」
担任から聞かされた連絡事項。弁当持参か…母に毎日作って貰っているから困りはしない。
それに東谷君も確か、お母さんから作って貰っていた筈だから、大丈夫な筈。
問題があるとすれば…
「うぎゃ~! どうすりゃイイのよ~~! アタイの未来は終わった~~!」
「どしたの? またフラれちゃった~?」
「ちゃうわい! あんたわざと言ってるだろ!」
「にゃはははは~♪」
ドキドキ万歳の休日の翌日、いつもと変わらない平日。その日もボクは東谷君と一緒に登校した。いつもと変わらない時間。だけど、心だけはちょっとだけ近づいた気分~♪
思わずスキップしたくなる気持ちを、はしたないと我慢しながらクラスへ。
今は朝のホームルームでの連絡事項を聞かされて、購買組から阿鼻叫喚の悲鳴が轟いている所…
「美桜はどこに行っても、恋話が付き物だからね~仕方ない~」
「そういう葵だって、購買組でしょ? アタイとおんなじじゃない~!」
ボクもそう想っていたんだけど、葵はボクたちと見ながら得意げな表情で、腕を組みながら語りだす。この世の非情な真理を…!!
「私は大丈夫よ~だって、その日は自作のお弁当を用意するもの」
「ええっ!? 葵、料理出来るの!!」
「当たり前でしょ? 女子力あげなきゃ男の人にモテないものね~ふふふ…」
「ぐぬぬぬぬ…葵のくせに、ちょこざいな~~!」
普段から年上ラブとか言っていたけど、まさか料理スキルなんぞを身に着けているとは…! 侮れない葵……もしかして意外と家庭的だったりするのかな?
一学期からずっと一緒にいるけど…毎日傍にいても知らない事実ってあるんだな~
「でも料理か~~羨ましいな~~はあ~~」
この二人、恋愛対象が違うから男を奪い合う事はないんだけど、時々こうしてどっちの方が女子力が高いか争っている時があるんだよね…これも青春なんだろうけど~
いつかボクも東谷君に…お弁当作ってあげたら、喜んでくれるかな~? それとも迷惑だって思うのかな~どっちだろう~~~!?
ただ、問題なのがボクに料理スキルが無い事なんだけど…母に習った方がイイよね~絶対に…
「何、ニタニタしてるの?」
「ええっ!? ニヤニヤしてた? うそっ…!」
昔はよく妄想していたらツッコミを受けていたので、ポーカーフェイスをマスターした筈なのに…もしかして、休日のイベントで気が緩んじゃったのかな…
「うっそっ~~♪ どうせあんたの事だから、料理を東谷君に振舞う事でも妄想してるんじゃないかな~~って思っただけ~♪」
「美桜~~~~!!」
「あははははは~~怒った怒った~~♪」
自分がそんなにモテないからって、どうしてボクを弄るかな~~~( 一一)
何て言って、ボクも美桜を弄り返したりもしてるから、お互い様なのかな?
互いに笑いながら、どつき漫才していると、再び聞こえるチャイムの音。
どうやらホームルームが終わって、一時間目が始まるみたい。
次の授業は何かな~っと、考えていたら……周りに誰もいないっ!?
「二人とも一時間目は家庭科で移動教室よ~~? 早くいくわよ~?」
「「まずいっ!!」」
今日の午前は料理実習だった…! そうだそうだ…これで昨日、母からリスが主人公のアニメの絵を描いたエプロンをバックに詰め込んだんだった…
古いアニメだけどすごく好きで、今でもたまに観たくなるんだよね~うんうん…
「ほらっ、いくわよ!!」
「ああんっ、引っ張らないでよ、美桜~~~!」
「ホントに二人とも仲良いわね~~♪ 西野先生なら優しいから、遅れても大丈夫だろうけどね~走るわよ、二人とも!」
律儀に待ってくれていた葵にお礼を言いながら、三人で廊下を走り抜ける。
家庭科室は化学室とは真逆の場所にある。薬品と料理の匂いが混ざるのは確かにいただけないから、当たり前なんだけど…結構遠い!
――――
結論から言えば、授業には間に合わなかったんだけど、西野先生には怒られなかった!
西野先生いわく、怒って委縮した状態で料理してもイイ物が出来ないからとの事。
ただ『遅れた罰はそうね~♪ とっても美味しい料理を作ってごらんなさい。愛情込めて、班の人に喜んで貰えるように頑張ってみて?』 って言われてしまった…
「これは、もう…葵に任せるしかないな!」
「うんっ! お願いね葵!!」
「こら待て、遅れた原因の二人~ 二人もちゃんとやってよ~? 私だけで料理したら実習の意味ないんだから~」
「へへい~~! 分かっております!」
料理実習でのヒエラルキーは、料理スキルと比例する…のである。
つまり、今葵を二人で拝み、ありがたいと拝むのも無理らしからぬ事なのだ…
「単純に、料理出来るからと便利屋扱いされてるだけのような気がするんだけど?」
「いえいえ、そのような事は決してございませんとも、葵さま~♪」
「うわ~~~(;^ω^) あからさまなゴマすり…」
この実習で先生のお眼鏡に叶えられるのは、葵様次第でございます! アタイは葵様の犬でございます!
(――――ってな事を、美桜が思ってるような表情だった…)
「いやいや、そこまで思ってないからね!」
「えっ、そうなの? ってか、ボクの心読まないでよねっ」
「あんたは何でも顔に出やすいのよ!」
「ええっ! ちょっと待ってよ。それじゃさっきボクがニヤついていないって言った話も!!」
「もちろん、ウソに決まってるでしょう~うふふふっ…」
「美桜~~~~!!」
「二人とも、口よりも先にまずは手を動かしなさい!!」
「「は~~~い」」
もうあれだね…ボクたち二人はガヤ担当でイイんじゃないだろうか…?
担任から聞かされた連絡事項。弁当持参か…母に毎日作って貰っているから困りはしない。
それに東谷君も確か、お母さんから作って貰っていた筈だから、大丈夫な筈。
問題があるとすれば…
「うぎゃ~! どうすりゃイイのよ~~! アタイの未来は終わった~~!」
「どしたの? またフラれちゃった~?」
「ちゃうわい! あんたわざと言ってるだろ!」
「にゃはははは~♪」
ドキドキ万歳の休日の翌日、いつもと変わらない平日。その日もボクは東谷君と一緒に登校した。いつもと変わらない時間。だけど、心だけはちょっとだけ近づいた気分~♪
思わずスキップしたくなる気持ちを、はしたないと我慢しながらクラスへ。
今は朝のホームルームでの連絡事項を聞かされて、購買組から阿鼻叫喚の悲鳴が轟いている所…
「美桜はどこに行っても、恋話が付き物だからね~仕方ない~」
「そういう葵だって、購買組でしょ? アタイとおんなじじゃない~!」
ボクもそう想っていたんだけど、葵はボクたちと見ながら得意げな表情で、腕を組みながら語りだす。この世の非情な真理を…!!
「私は大丈夫よ~だって、その日は自作のお弁当を用意するもの」
「ええっ!? 葵、料理出来るの!!」
「当たり前でしょ? 女子力あげなきゃ男の人にモテないものね~ふふふ…」
「ぐぬぬぬぬ…葵のくせに、ちょこざいな~~!」
普段から年上ラブとか言っていたけど、まさか料理スキルなんぞを身に着けているとは…! 侮れない葵……もしかして意外と家庭的だったりするのかな?
一学期からずっと一緒にいるけど…毎日傍にいても知らない事実ってあるんだな~
「でも料理か~~羨ましいな~~はあ~~」
この二人、恋愛対象が違うから男を奪い合う事はないんだけど、時々こうしてどっちの方が女子力が高いか争っている時があるんだよね…これも青春なんだろうけど~
いつかボクも東谷君に…お弁当作ってあげたら、喜んでくれるかな~? それとも迷惑だって思うのかな~どっちだろう~~~!?
ただ、問題なのがボクに料理スキルが無い事なんだけど…母に習った方がイイよね~絶対に…
「何、ニタニタしてるの?」
「ええっ!? ニヤニヤしてた? うそっ…!」
昔はよく妄想していたらツッコミを受けていたので、ポーカーフェイスをマスターした筈なのに…もしかして、休日のイベントで気が緩んじゃったのかな…
「うっそっ~~♪ どうせあんたの事だから、料理を東谷君に振舞う事でも妄想してるんじゃないかな~~って思っただけ~♪」
「美桜~~~~!!」
「あははははは~~怒った怒った~~♪」
自分がそんなにモテないからって、どうしてボクを弄るかな~~~( 一一)
何て言って、ボクも美桜を弄り返したりもしてるから、お互い様なのかな?
互いに笑いながら、どつき漫才していると、再び聞こえるチャイムの音。
どうやらホームルームが終わって、一時間目が始まるみたい。
次の授業は何かな~っと、考えていたら……周りに誰もいないっ!?
「二人とも一時間目は家庭科で移動教室よ~~? 早くいくわよ~?」
「「まずいっ!!」」
今日の午前は料理実習だった…! そうだそうだ…これで昨日、母からリスが主人公のアニメの絵を描いたエプロンをバックに詰め込んだんだった…
古いアニメだけどすごく好きで、今でもたまに観たくなるんだよね~うんうん…
「ほらっ、いくわよ!!」
「ああんっ、引っ張らないでよ、美桜~~~!」
「ホントに二人とも仲良いわね~~♪ 西野先生なら優しいから、遅れても大丈夫だろうけどね~走るわよ、二人とも!」
律儀に待ってくれていた葵にお礼を言いながら、三人で廊下を走り抜ける。
家庭科室は化学室とは真逆の場所にある。薬品と料理の匂いが混ざるのは確かにいただけないから、当たり前なんだけど…結構遠い!
――――
結論から言えば、授業には間に合わなかったんだけど、西野先生には怒られなかった!
西野先生いわく、怒って委縮した状態で料理してもイイ物が出来ないからとの事。
ただ『遅れた罰はそうね~♪ とっても美味しい料理を作ってごらんなさい。愛情込めて、班の人に喜んで貰えるように頑張ってみて?』 って言われてしまった…
「これは、もう…葵に任せるしかないな!」
「うんっ! お願いね葵!!」
「こら待て、遅れた原因の二人~ 二人もちゃんとやってよ~? 私だけで料理したら実習の意味ないんだから~」
「へへい~~! 分かっております!」
料理実習でのヒエラルキーは、料理スキルと比例する…のである。
つまり、今葵を二人で拝み、ありがたいと拝むのも無理らしからぬ事なのだ…
「単純に、料理出来るからと便利屋扱いされてるだけのような気がするんだけど?」
「いえいえ、そのような事は決してございませんとも、葵さま~♪」
「うわ~~~(;^ω^) あからさまなゴマすり…」
この実習で先生のお眼鏡に叶えられるのは、葵様次第でございます! アタイは葵様の犬でございます!
(――――ってな事を、美桜が思ってるような表情だった…)
「いやいや、そこまで思ってないからね!」
「えっ、そうなの? ってか、ボクの心読まないでよねっ」
「あんたは何でも顔に出やすいのよ!」
「ええっ! ちょっと待ってよ。それじゃさっきボクがニヤついていないって言った話も!!」
「もちろん、ウソに決まってるでしょう~うふふふっ…」
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「二人とも、口よりも先にまずは手を動かしなさい!!」
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