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第五話 社交デビュー
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ターナー伯爵家からビアード公爵邸に帰るとビアード公爵夫妻に抱きしめられました。倒れたと聞き、とても心配されたそうです。
私はビアード公爵夫妻にとても大事にされてます。
最初の頃は戸惑いましたが、最近は胸が温かくなり自然に笑みがこぼれてしまいます。
わかりやすく心配されたり、褒められたり、愛されていることがよくわかります。生前の両親は不器用な方だったので子供の頃は愛されていたことに気づきませんでした。
しばらくするとビアード公爵夫妻の腕から解放されました。
エイベルとは抱擁はかわしませんのね。
エイベルは苦笑して私達を眺めています。
「レティ、好きな殿方ができた?たくさんの人と出会ったでしょう?」
ビアード公爵夫人に楽しそうな目で見られました。
私が恋する相手はただ一人だけです。
恋の話が好きなビアード公爵夫人。決して本音は言えません…。
「私はお兄様が一番です」
「そうか…」
寂しそうな声のビアード公爵に、にっこり笑いかけます。
「お父様も大好きですわ」
「レティは可愛いな。しつこい男がいたらいつでも相談しなさい。私よりも弱いやつには嫁がせん」
「お父様、それでは私は一生嫁げませんわ…」
ビアード公爵が上機嫌に笑い抱き上げ肩に座らせてくれました。高い視界に楽しくなり、笑ってしまいました。
多忙なビアード公爵夫妻は珍しく予定がないそうなので、今日は二人にお付き合いします。
エイベルはすでに訓練に行きました。私はせっかくなので、練習したフルートを披露します。二人の好きな曲を伯父様に教えてもらいました。今日は親孝行の日にします。
***
ターナー伯爵家から帰ったのでお休みした分のお勉強の再開です。
社交デビューが近いのでダンスのレッスンが始まりました。
当日一緒に踊るエイベルが練習相手です。
先生の指導を受けながらステップを踏みます。
どうしましょう…。エイベルとは初めて踊りましたがダンスは苦手みたいです。
運動神経がいいのに、下手すぎてありえませんわ。
「おい!!」
動揺しすぎてステップが乱れてエイベルの足を踏みました。
もういいですわ。
せっかくだから遊びましょう。エイベルをリードしながら踊ります。エイベルは運動神経が良いのでリードには上手く合わせられるようですわ。とりあえず安心しましたわ。
「坊ちゃん、お嬢様にリードされてますよ」
先生の注意に笑ってしまいます。
「お嬢様、お上手です。坊ちゃん、しっかりしてください。お嬢様は坊ちゃんにリードを譲ってください」
仕方がないので、リードを譲りました。
エイベルのリードはポンコツすぎます。仕方がないのでエイベルに合わせて踊ります。あまりに駄目な時は足を踏みます。
「レティシア、わざと踏んでないか」
睨むエイベルに先生の指導が入りました。ダンスは常に笑顔が基本です。
ダンスの上手な方は足を踏ませたりしませんわ。怒られているエイベルがおかしくなってお腹を抱えて笑ってしまいました。
お兄様のエイベルは頼りになり、優しいですがポンコツぶりはかわりません。
私のダンスの授業がエイベルの授業にかわりました。ダンスは好きですし未来のビアード公爵がまともに踊れないのは大問題なので喜んでお付き合いしました。
この日からエイベルは訓練時間を減らされダンスの特訓が始まりました。
エイベルが不満を言ってますが、当然ですわ。
***
今日はお勉強の予定はありません。
ビアード公爵夫人にお願いをして料理をさせてもらえるようになりました。
料理人と一緒にお菓子を作りました。バスケットに焼き上がったばかりのお菓子をつめたので、訓練場に顔を出しました。私に気づいた騎士達が手を振ってくれています。
「お嬢様!!」
「お疲れ様です。差し入れをお持ちしました」
「いつもありがとうございます」
「皆様のお役にたてれば光栄です。今日も見学させていただいてもよろしいですか?」
「もちろん。またフルートの練習をされても構いませんよ」
以前、木の上に座ってフルートの練習をしていたら騎士達が集まってきました。不可抗力ですが自分の演奏を褒めてもらえるのは嬉しかったです。ビアード公爵家の方々は盛大に褒めてくださるので、つい照れてしまいます。社交辞令ではない素直な賞賛に笑みがこぼれますわ。
「お邪魔するわけにはいきません」
「とんでもありません。音色に心が癒されます」
「お上手ですわ」
ビアード家門の騎士の方々も優しいです。
私は社交デビューが近づいているため、訓練は基礎鍛錬のみです。怪我をして醜態を晒すのは許されないので仕方ありません。
「レティシア様!!」
フィル様もうちの訓練に参加されていたんですね。いつも陽気な明るい声で話しかけてくれます。
「お久しぶりです。」
「お会いできて光栄です。そういえば、もうすぐパーティですね」
「はい。粗相をしないように頑張りますわ」
「ダンスを申し込んでも」
「私などでよろしければ、」
「光栄です」
嬉しそうに笑うフィル様と話しているとエイベルが近づいてきました。
「レティシア、母上が探してたけど、」
ビアード公爵夫人が…?思い出しました。
大変です。私はドレス合わせを忘れてました。
「エイベルありがとう。フィル様失礼しますわ」
苦笑するエイベル達に礼をして慌てて公爵邸に戻りました。ビアード公爵家は走っても怒られません。部屋に駆けこむと苦笑したビアード公爵夫人が迎えてくれました。
「お母様、ごめんなさい」
「いいわ。次から気をつけて。社交デビューしたら忙しくなるわ」
「はい。気をつけます」
私は目立たないように、淡い水色のドレスを選びました。公爵令嬢なので、良質な真珠とレースの装飾で相応しくしました。オーダーメイドなのでドレスのデザインも細かく指示しました。
ドレスに着替え針子が調整をしています。
「レティ、そのドレスは似合っているけど、せっかくだからもっと。子供の頃しか着れないものもあるのよ」
社交デビューは目立つことが大事です。たくさんの人に覚えてもらうことが良縁に繋がります。そのため華美なドレスを纏う令嬢がほとんどです。ただビアード公爵夫妻は私にはそこまで社交を望まないので、甘えることにします。当主の意向に従うのが貴族令嬢です。私はエイベルの横で静かにしている予定です。残念そうな顔をしているビアード公爵夫人に目立たないためとは言えませんので、違う言葉を選びます。
「このドレスの淡い水色はお母様の瞳と一緒です。レースには風の刺繍です。私はこのドレスで社交デビューをしたいです」
「まぁ!!」
ビアード公爵夫人と同じ瞳の色だともう少し濃い青色なんですが、それだと目立ちます。
でも気にされないようなので、きっと通じますわ。
嬉しそうなビアード公爵夫人を見てにっこりと笑います。目立たなくてもビアード公爵令嬢らしいデザインに仕上げてもらいました。ドレスに言いがかりをつけられてもデザインの説明をすれば苦言はおさまりますわ。私はまがいものの深窓のビアード公爵令嬢ですから、多少の苦言は覚悟しております。
***
社交デビューの日になりました。朝から磨き上げられ、仕度を整えられました。侍女達の気合の入れように引きました。
「うちのお嬢様が一番です」って笑いかけられたので、本音を隠して笑顔でお礼を伝えると褒め言葉のの嵐が止まらずに引きましたが穏やかな笑みを装いやり過ごしました。
ビアード公爵夫人とエイベルと一緒に王宮に着きました。
社交デビューのパーティは年に一度王宮で開かれます。
広間の前では騎士の正装をしたビアード公爵が待っていてくれたので、差し伸べられる手をとります。
社交デビューは家長か後見人のエスコートで入場します。
普段は当主夫妻の後に続き子供の私達が入場しますが社交デビューは特別です。
この日だけはビアード公爵夫人は私達の後ろでエイベルにエスコートされてます。
お仕事があるため国王陛下への挨拶が終わればエスコートはエイベルと交換予定です。
広間の扉の前に立つと衛兵が声を出します。
「ビアード公爵夫妻、御子息エイベル・ビアード様、御息女レティシア・ビアード様ご入場です」
扉が開くと広間の視線が集まります。
ビアード公爵と共に礼をとり、中に入ります。
国王陛下が来られるまでは笑みを絶やさず挨拶回りです。
「静粛に。国王陛下、正妃様、側妃様、並びにクロード殿下、レオ殿下の御成りである。」
響く声に一斉に礼をとります。
「皆の者、楽にして構わない。堅苦しい話はやめよう。今日より貴族の一員となる者たちよ、歓迎しよう。
これより、そなたらは貴族の誇りを持って忠義を尽くしなさい。我が王家は、そなたらが貴族の誇りを持ち続けるかぎり守護しよう。そなたらに幸多きことを」
貴族として誇りがなければ見捨てると言われてませんか?
陛下の挨拶も終わったので、顔をあげます。
貴族は序列の高い者から挨拶をします。
侍従に声をかけられたのでビアード公爵と共に陛下の前にいきます。
王族に会議以外では貴族から声をかけることは許されませんが社交デビューだけは特別です。
「お会いできで光栄です。ビアード公爵家レティシア・ビアードです。」
礼をします。
「頭をあげよ。貴族として恥じないように励みなさい」
「かしこまりました」
顔をあげ、穏やかに微笑む国王陛下の言葉に笑顔で頷き礼をして立ち去ります。
ビアード公爵と共に壇上から降りて、エイベルにエスコートを代わりました。ビアード公爵は国王陛下の後に控えるため離れていきました。威厳を保つためかビアード公爵は真顔でほぼ無言です。
国王陛下への挨拶も無事に終えて良かったです。アリア様の隣に座るクロード殿下がつまらなそう笑みを浮かべている様子に安堵しました。私に関心がないことに感謝しかありません。
エイベルとダンスを踊ったので壁の花になるため、壁際に移動しようとしましたが足を止めました。先程から刺さる視線に大事なことを失念していました。
エイベルににっこり笑いかけます。
「エイベル、私は一人で平気です。ご令嬢と踊ってきてくださいませ」
「別にいい。一人にするほうが心配だ」
たぶんまがいものの令嬢と言われている私を心配しています。
エイベルが傍にいると視線が集まって壁の花になれないんです。
「ビアード様!!」
赤やピンクのきらびやかなドレスに身を包んだエイベルファンのご令嬢達が来ましたわ。向けられる敵意の視線が痛いです。令嬢達に聞こえるようにエイベルに話しかけます。
「お兄様、お美しいご令嬢がいらっしゃるのに誘わないのは無粋ですわ。」
私の言葉に視線が集まります。
「お兄様?」
私の国王陛下への挨拶は見ていなかったんでしょうか。本当は家格の低いご令嬢からエイベルや私に声を掛けるのは無礼ですが、目を瞑りましょう。
敵意を示すご令嬢に礼をします。
「ご挨拶がおくれて申しわけありません。ビアード公爵家レティシア・ビアードと申します。兄がお世話になっております」
「ビアード公爵令嬢!?」
「貴方は確か・・」
「深窓の・・」
「あの噂の」
蔑む視線にエイベルの眉間に皺が一瞬寄りました。子供とはいえもう少し言葉を選んで下さい。蔑む言葉は美しくありません。ただ礼儀のお勉強が足りませんとは言えません。今世は令嬢に嫌われないように頑張るので、言葉を選ばないといけません。
「妹は、」
余計なことを言おうとするエイベルの腕を令嬢達に見えないようにつねり微笑みかけます。令嬢の会話に殿方が口を挟めば余計に荒れます。
「お兄様、ご心配ありがとうございます。私は休んでおりますので、美しいご令嬢達と踊ってきてくださいませ。お美しいご令嬢を前にどなたからお誘いすべきか困ってしまうお気持ちもよくわかりますが」
よわよわしく微笑むとエイベルと踊りたい令嬢達の譲り合いがはじまりました。
「ビアード様、妹君は私達がお相手致しますわ」
誰から踊るか決まったようですわね。エイベルに笑顔で圧力をかけて踊りに行かせました。ここでダンスに行かずに私の側にいられると余計に不満を生みますので頑張ってきてください。
「素敵な兄君をお持ちでうらやましいですわ」
「ありがとうございます。」
向けられていた敵意の視線は和らぎました。
妹に甘い兄なら、私を敵に回さず懐柔するほうが得策ですもの。
令嬢達がエイベルに興味津々なのでお話します。令嬢達の反応を見るとエイベルの情報は貴重なようです。
エイベルとの記憶はあまりないですが話題はいくつか用意してきました。
敵意の視線から生前のクロード様の婚約者だった頃に向けられた視線に変わりました。令嬢達は婚約者のいない弟のエドワードや幼馴染のエイベルに興味津々でした。二人に近づくために必死で情報を集めてました。仲を取り持って欲しそうでしたが、気づかないフリをしていました。令嬢達の恋にお付き合いするほど暇ではなかったので。
クロード殿下がダンスホールに降りられたのでお伝えすると令嬢達が散っていきました。残念ながらエイベルはダンスから解放されないようです。人気があると大変ですわね。嫡男に生まれなくて良かったですわ。ようやく壁の花になれますわ。
「レティシア様」
フィル様に声を掛けられました。
ダンスのお約束を忘れてましたわ。緊張して頬を染めるフィル様に初々しく差し伸べられた手を取り微笑みかけます。
「お綺麗です。見惚れてしまいました」
「ありがとうございます」
緊張で頬の赤いフィル様と踊りますが、弓は得意なのにダンスは不得手みたいです。私の足を踏まないように気をつけているのが分かって笑みが溢れました。一生懸命踊るフィル様と視線を合わせ笑いかけます。
さりげなくリードをしながらダンスします。段々フィル様の緊張も解れていつもの明るい笑みが見れましたわ。
楽しい時間のお礼を伝えて礼をして離れました。
その後も知り合いにダンスを申し込まれ5曲ほど踊りました。皆様、踊りは下手ですが一生懸命リードしようとする姿が可愛らしく笑みが溢れました。こんなに楽しい社交デビューは初めてですわ。
踊り疲れたので、人混みを抜けて当初の予定通り壁の花を目指しましょう。
見覚えのある髪色に足を止めました。
記憶よりも幼いですが二度目の人生の大事なお友達のステラ・グレイ伯爵令嬢を見つけました。
ステラは魔力をもたない伯爵令嬢でした。魔力のない貴族をバカにする愚かな貴族が多いんです。嫌な記憶を思い出しましたわ。せっかくステラに会えたならお友達になりましょう。
グラスを持ってぽつんと一人でたたずむステラに差し出します。驚いているステラに優しく微笑みかけます。ステラは気が弱いので怯えさせてはいけません。
「良ければ、お付き合いいただけませんか?踊り疲れてしまいましたの」
「私でよろしいのでしょうか?」
「貴方が良いんです。」
戸惑うステラに笑顔で強引に誘いバルコニーに移動しました。
「初めまして。レティシア・ビアードです」
「ビアード様!?申しわけありません。ステラ・グレイと申します。ビアード様、私は」
眉を下げて気まずそうな顔のステラに優しい笑みを浮かべます。
「ごめんなさい。事情は知ってます。私は自分の勘を信じてます。私は貴方とはお友達になりたいです。」
ステラに戸惑った顔で見つめられてます。不審者に思われないように慎重にいかないといけません。
昔のステラの話を思い出します。無属性と言われて家族しか味方がいなかった悲しい時間のことを。
「私は魔力なんて、あれば便利としか考えてません。貴族に必要なのは矜持と誇りです。一人で逃げずにここに立ってる貴方は恥ずべきことなどありません。レティシアで構いませんわ」
「レティシア様、私は・・」
黙り込むステラはすでにマートン様に捨てられて傷だらけかもしれません。ステラは昔はマートン侯爵令嬢の取り巻きの一人でした。ただ魔力がないとわかった途端に切り捨てられたそうです。
「私は水属性です。ビアード公爵家のまがいものですって」
目を大きく開けて驚いた顔で見られてます。私の噂は知らないんですね。せっかくなので利用しましょう。わかりにくい、貴族らしい言葉を使うのはやめましょう。
「ステラと呼んでもいいかしら?こんな言葉はずるいと思います。それでも私は貴方のお友達になりたいです。貴族社会の弾かれ者同士、見返してやりませんか?」
「私に価値などありません」
マートン様、いずれ仕返ししますわ。
ステラを傷つけたことは許しません。誰であろうとこんなに可愛いステラを価値がないなんて言う方は許しませんわ。
優しい笑みを浮かべます。
「貴方は将来素敵なご令嬢になりますわ。私の初めてのお友達はステラがいいです。私は絶対にステラを大好きになる自信がありますわ。駄目かしら?」
手を差し出すとゆっくりと握り返されます。
「よろしくお願いします」
顔をあげたステラの笑顔の可愛さに見惚れてぼんやりしてしまいました。我に返ってステラに怪しまれないようにっこり笑ってごまかしました。
「ありがとうございます。せっかくなので、見返しにいきましょうか」
きょとんとする可愛いステラの手を取り、エイベルを探します。エイベルを見つけて手を振ると近づいてきました。ステラの手を離して、ステラが手に持つグラスを取り上げます。隣に来たエイベルの耳にささやきます。
「お兄様、私のお友達のステラです。見返したい相手がいるのでダンスに誘ってください。できればお兄様のお友達ともダンスをさせてあげてください。高貴な方がいいですわ」
エイベルが苦笑してステラに手を差し出しダンスを申し込みました。戸惑うステラに微笑みかけて、そっと背中を押します。エイベルはビアード公爵家嫡男なので令嬢に人気があります。マートン様達はエイベルとは派閥が違い踊れないので羨ましいはずですわ。無事に踊り出した二人を見ながらグラスの中身を飲み干します。グラスを返して壁の花になるために、移動しました。
グラスを差し出され、視線をあげるとリオでした。
私はリオと関わりたくありません。リオといると令嬢の視線が痛いんです。ここで断るのも目立ちます。先ほど、飲んだばかりですが、令嬢モードの笑みを浮かべて受け取ります。
「ありがとうございます。」
「おめでとう。」
「ありがとうございます。マール様、ご令嬢達に熱心に見つめられてますわ。私のことはお気遣いなく」
「気にしないで。ダンスに誘いたいけど、もう疲れてるだろう?」
私が気にします。遠回しに離れてくださいっていっても通じませんのね・・。笑みを浮かべるリオといる所為で令嬢達の視線が怖いです。ダンスもしないのに共にいる理由はありません。リオと関わってもビアードとして利はないので逃げましょう。
「お気遣いありがとうございます。私はお父様のもとに戻りますわ」
陛下の傍から離れたビアード公爵を見つけたので、礼をして立ち去ろうとする手を取られました。
「俺の事、避けてない?」
「気のせいですわ。失礼します」
探られるように見られて怖いです。今世のリオは調子が狂ってしまいます。
笑顔で手を振り解いて、ビアード公爵のもとに急ぎました。国王陛下から離れたビアード公爵と一緒に挨拶まわりをしました。
踊り疲れているステラを回収して、無事に社交デビューは終わりました。クロード殿下の目に止まらなくて良かったですわ。3度目にして初めてクロード殿下と踊らない社交デビューをおえましたわ。ステラと友達になれましたし、幸先良好ですわ。
私はビアード公爵夫妻にとても大事にされてます。
最初の頃は戸惑いましたが、最近は胸が温かくなり自然に笑みがこぼれてしまいます。
わかりやすく心配されたり、褒められたり、愛されていることがよくわかります。生前の両親は不器用な方だったので子供の頃は愛されていたことに気づきませんでした。
しばらくするとビアード公爵夫妻の腕から解放されました。
エイベルとは抱擁はかわしませんのね。
エイベルは苦笑して私達を眺めています。
「レティ、好きな殿方ができた?たくさんの人と出会ったでしょう?」
ビアード公爵夫人に楽しそうな目で見られました。
私が恋する相手はただ一人だけです。
恋の話が好きなビアード公爵夫人。決して本音は言えません…。
「私はお兄様が一番です」
「そうか…」
寂しそうな声のビアード公爵に、にっこり笑いかけます。
「お父様も大好きですわ」
「レティは可愛いな。しつこい男がいたらいつでも相談しなさい。私よりも弱いやつには嫁がせん」
「お父様、それでは私は一生嫁げませんわ…」
ビアード公爵が上機嫌に笑い抱き上げ肩に座らせてくれました。高い視界に楽しくなり、笑ってしまいました。
多忙なビアード公爵夫妻は珍しく予定がないそうなので、今日は二人にお付き合いします。
エイベルはすでに訓練に行きました。私はせっかくなので、練習したフルートを披露します。二人の好きな曲を伯父様に教えてもらいました。今日は親孝行の日にします。
***
ターナー伯爵家から帰ったのでお休みした分のお勉強の再開です。
社交デビューが近いのでダンスのレッスンが始まりました。
当日一緒に踊るエイベルが練習相手です。
先生の指導を受けながらステップを踏みます。
どうしましょう…。エイベルとは初めて踊りましたがダンスは苦手みたいです。
運動神経がいいのに、下手すぎてありえませんわ。
「おい!!」
動揺しすぎてステップが乱れてエイベルの足を踏みました。
もういいですわ。
せっかくだから遊びましょう。エイベルをリードしながら踊ります。エイベルは運動神経が良いのでリードには上手く合わせられるようですわ。とりあえず安心しましたわ。
「坊ちゃん、お嬢様にリードされてますよ」
先生の注意に笑ってしまいます。
「お嬢様、お上手です。坊ちゃん、しっかりしてください。お嬢様は坊ちゃんにリードを譲ってください」
仕方がないので、リードを譲りました。
エイベルのリードはポンコツすぎます。仕方がないのでエイベルに合わせて踊ります。あまりに駄目な時は足を踏みます。
「レティシア、わざと踏んでないか」
睨むエイベルに先生の指導が入りました。ダンスは常に笑顔が基本です。
ダンスの上手な方は足を踏ませたりしませんわ。怒られているエイベルがおかしくなってお腹を抱えて笑ってしまいました。
お兄様のエイベルは頼りになり、優しいですがポンコツぶりはかわりません。
私のダンスの授業がエイベルの授業にかわりました。ダンスは好きですし未来のビアード公爵がまともに踊れないのは大問題なので喜んでお付き合いしました。
この日からエイベルは訓練時間を減らされダンスの特訓が始まりました。
エイベルが不満を言ってますが、当然ですわ。
***
今日はお勉強の予定はありません。
ビアード公爵夫人にお願いをして料理をさせてもらえるようになりました。
料理人と一緒にお菓子を作りました。バスケットに焼き上がったばかりのお菓子をつめたので、訓練場に顔を出しました。私に気づいた騎士達が手を振ってくれています。
「お嬢様!!」
「お疲れ様です。差し入れをお持ちしました」
「いつもありがとうございます」
「皆様のお役にたてれば光栄です。今日も見学させていただいてもよろしいですか?」
「もちろん。またフルートの練習をされても構いませんよ」
以前、木の上に座ってフルートの練習をしていたら騎士達が集まってきました。不可抗力ですが自分の演奏を褒めてもらえるのは嬉しかったです。ビアード公爵家の方々は盛大に褒めてくださるので、つい照れてしまいます。社交辞令ではない素直な賞賛に笑みがこぼれますわ。
「お邪魔するわけにはいきません」
「とんでもありません。音色に心が癒されます」
「お上手ですわ」
ビアード家門の騎士の方々も優しいです。
私は社交デビューが近づいているため、訓練は基礎鍛錬のみです。怪我をして醜態を晒すのは許されないので仕方ありません。
「レティシア様!!」
フィル様もうちの訓練に参加されていたんですね。いつも陽気な明るい声で話しかけてくれます。
「お久しぶりです。」
「お会いできて光栄です。そういえば、もうすぐパーティですね」
「はい。粗相をしないように頑張りますわ」
「ダンスを申し込んでも」
「私などでよろしければ、」
「光栄です」
嬉しそうに笑うフィル様と話しているとエイベルが近づいてきました。
「レティシア、母上が探してたけど、」
ビアード公爵夫人が…?思い出しました。
大変です。私はドレス合わせを忘れてました。
「エイベルありがとう。フィル様失礼しますわ」
苦笑するエイベル達に礼をして慌てて公爵邸に戻りました。ビアード公爵家は走っても怒られません。部屋に駆けこむと苦笑したビアード公爵夫人が迎えてくれました。
「お母様、ごめんなさい」
「いいわ。次から気をつけて。社交デビューしたら忙しくなるわ」
「はい。気をつけます」
私は目立たないように、淡い水色のドレスを選びました。公爵令嬢なので、良質な真珠とレースの装飾で相応しくしました。オーダーメイドなのでドレスのデザインも細かく指示しました。
ドレスに着替え針子が調整をしています。
「レティ、そのドレスは似合っているけど、せっかくだからもっと。子供の頃しか着れないものもあるのよ」
社交デビューは目立つことが大事です。たくさんの人に覚えてもらうことが良縁に繋がります。そのため華美なドレスを纏う令嬢がほとんどです。ただビアード公爵夫妻は私にはそこまで社交を望まないので、甘えることにします。当主の意向に従うのが貴族令嬢です。私はエイベルの横で静かにしている予定です。残念そうな顔をしているビアード公爵夫人に目立たないためとは言えませんので、違う言葉を選びます。
「このドレスの淡い水色はお母様の瞳と一緒です。レースには風の刺繍です。私はこのドレスで社交デビューをしたいです」
「まぁ!!」
ビアード公爵夫人と同じ瞳の色だともう少し濃い青色なんですが、それだと目立ちます。
でも気にされないようなので、きっと通じますわ。
嬉しそうなビアード公爵夫人を見てにっこりと笑います。目立たなくてもビアード公爵令嬢らしいデザインに仕上げてもらいました。ドレスに言いがかりをつけられてもデザインの説明をすれば苦言はおさまりますわ。私はまがいものの深窓のビアード公爵令嬢ですから、多少の苦言は覚悟しております。
***
社交デビューの日になりました。朝から磨き上げられ、仕度を整えられました。侍女達の気合の入れように引きました。
「うちのお嬢様が一番です」って笑いかけられたので、本音を隠して笑顔でお礼を伝えると褒め言葉のの嵐が止まらずに引きましたが穏やかな笑みを装いやり過ごしました。
ビアード公爵夫人とエイベルと一緒に王宮に着きました。
社交デビューのパーティは年に一度王宮で開かれます。
広間の前では騎士の正装をしたビアード公爵が待っていてくれたので、差し伸べられる手をとります。
社交デビューは家長か後見人のエスコートで入場します。
普段は当主夫妻の後に続き子供の私達が入場しますが社交デビューは特別です。
この日だけはビアード公爵夫人は私達の後ろでエイベルにエスコートされてます。
お仕事があるため国王陛下への挨拶が終わればエスコートはエイベルと交換予定です。
広間の扉の前に立つと衛兵が声を出します。
「ビアード公爵夫妻、御子息エイベル・ビアード様、御息女レティシア・ビアード様ご入場です」
扉が開くと広間の視線が集まります。
ビアード公爵と共に礼をとり、中に入ります。
国王陛下が来られるまでは笑みを絶やさず挨拶回りです。
「静粛に。国王陛下、正妃様、側妃様、並びにクロード殿下、レオ殿下の御成りである。」
響く声に一斉に礼をとります。
「皆の者、楽にして構わない。堅苦しい話はやめよう。今日より貴族の一員となる者たちよ、歓迎しよう。
これより、そなたらは貴族の誇りを持って忠義を尽くしなさい。我が王家は、そなたらが貴族の誇りを持ち続けるかぎり守護しよう。そなたらに幸多きことを」
貴族として誇りがなければ見捨てると言われてませんか?
陛下の挨拶も終わったので、顔をあげます。
貴族は序列の高い者から挨拶をします。
侍従に声をかけられたのでビアード公爵と共に陛下の前にいきます。
王族に会議以外では貴族から声をかけることは許されませんが社交デビューだけは特別です。
「お会いできで光栄です。ビアード公爵家レティシア・ビアードです。」
礼をします。
「頭をあげよ。貴族として恥じないように励みなさい」
「かしこまりました」
顔をあげ、穏やかに微笑む国王陛下の言葉に笑顔で頷き礼をして立ち去ります。
ビアード公爵と共に壇上から降りて、エイベルにエスコートを代わりました。ビアード公爵は国王陛下の後に控えるため離れていきました。威厳を保つためかビアード公爵は真顔でほぼ無言です。
国王陛下への挨拶も無事に終えて良かったです。アリア様の隣に座るクロード殿下がつまらなそう笑みを浮かべている様子に安堵しました。私に関心がないことに感謝しかありません。
エイベルとダンスを踊ったので壁の花になるため、壁際に移動しようとしましたが足を止めました。先程から刺さる視線に大事なことを失念していました。
エイベルににっこり笑いかけます。
「エイベル、私は一人で平気です。ご令嬢と踊ってきてくださいませ」
「別にいい。一人にするほうが心配だ」
たぶんまがいものの令嬢と言われている私を心配しています。
エイベルが傍にいると視線が集まって壁の花になれないんです。
「ビアード様!!」
赤やピンクのきらびやかなドレスに身を包んだエイベルファンのご令嬢達が来ましたわ。向けられる敵意の視線が痛いです。令嬢達に聞こえるようにエイベルに話しかけます。
「お兄様、お美しいご令嬢がいらっしゃるのに誘わないのは無粋ですわ。」
私の言葉に視線が集まります。
「お兄様?」
私の国王陛下への挨拶は見ていなかったんでしょうか。本当は家格の低いご令嬢からエイベルや私に声を掛けるのは無礼ですが、目を瞑りましょう。
敵意を示すご令嬢に礼をします。
「ご挨拶がおくれて申しわけありません。ビアード公爵家レティシア・ビアードと申します。兄がお世話になっております」
「ビアード公爵令嬢!?」
「貴方は確か・・」
「深窓の・・」
「あの噂の」
蔑む視線にエイベルの眉間に皺が一瞬寄りました。子供とはいえもう少し言葉を選んで下さい。蔑む言葉は美しくありません。ただ礼儀のお勉強が足りませんとは言えません。今世は令嬢に嫌われないように頑張るので、言葉を選ばないといけません。
「妹は、」
余計なことを言おうとするエイベルの腕を令嬢達に見えないようにつねり微笑みかけます。令嬢の会話に殿方が口を挟めば余計に荒れます。
「お兄様、ご心配ありがとうございます。私は休んでおりますので、美しいご令嬢達と踊ってきてくださいませ。お美しいご令嬢を前にどなたからお誘いすべきか困ってしまうお気持ちもよくわかりますが」
よわよわしく微笑むとエイベルと踊りたい令嬢達の譲り合いがはじまりました。
「ビアード様、妹君は私達がお相手致しますわ」
誰から踊るか決まったようですわね。エイベルに笑顔で圧力をかけて踊りに行かせました。ここでダンスに行かずに私の側にいられると余計に不満を生みますので頑張ってきてください。
「素敵な兄君をお持ちでうらやましいですわ」
「ありがとうございます。」
向けられていた敵意の視線は和らぎました。
妹に甘い兄なら、私を敵に回さず懐柔するほうが得策ですもの。
令嬢達がエイベルに興味津々なのでお話します。令嬢達の反応を見るとエイベルの情報は貴重なようです。
エイベルとの記憶はあまりないですが話題はいくつか用意してきました。
敵意の視線から生前のクロード様の婚約者だった頃に向けられた視線に変わりました。令嬢達は婚約者のいない弟のエドワードや幼馴染のエイベルに興味津々でした。二人に近づくために必死で情報を集めてました。仲を取り持って欲しそうでしたが、気づかないフリをしていました。令嬢達の恋にお付き合いするほど暇ではなかったので。
クロード殿下がダンスホールに降りられたのでお伝えすると令嬢達が散っていきました。残念ながらエイベルはダンスから解放されないようです。人気があると大変ですわね。嫡男に生まれなくて良かったですわ。ようやく壁の花になれますわ。
「レティシア様」
フィル様に声を掛けられました。
ダンスのお約束を忘れてましたわ。緊張して頬を染めるフィル様に初々しく差し伸べられた手を取り微笑みかけます。
「お綺麗です。見惚れてしまいました」
「ありがとうございます」
緊張で頬の赤いフィル様と踊りますが、弓は得意なのにダンスは不得手みたいです。私の足を踏まないように気をつけているのが分かって笑みが溢れました。一生懸命踊るフィル様と視線を合わせ笑いかけます。
さりげなくリードをしながらダンスします。段々フィル様の緊張も解れていつもの明るい笑みが見れましたわ。
楽しい時間のお礼を伝えて礼をして離れました。
その後も知り合いにダンスを申し込まれ5曲ほど踊りました。皆様、踊りは下手ですが一生懸命リードしようとする姿が可愛らしく笑みが溢れました。こんなに楽しい社交デビューは初めてですわ。
踊り疲れたので、人混みを抜けて当初の予定通り壁の花を目指しましょう。
見覚えのある髪色に足を止めました。
記憶よりも幼いですが二度目の人生の大事なお友達のステラ・グレイ伯爵令嬢を見つけました。
ステラは魔力をもたない伯爵令嬢でした。魔力のない貴族をバカにする愚かな貴族が多いんです。嫌な記憶を思い出しましたわ。せっかくステラに会えたならお友達になりましょう。
グラスを持ってぽつんと一人でたたずむステラに差し出します。驚いているステラに優しく微笑みかけます。ステラは気が弱いので怯えさせてはいけません。
「良ければ、お付き合いいただけませんか?踊り疲れてしまいましたの」
「私でよろしいのでしょうか?」
「貴方が良いんです。」
戸惑うステラに笑顔で強引に誘いバルコニーに移動しました。
「初めまして。レティシア・ビアードです」
「ビアード様!?申しわけありません。ステラ・グレイと申します。ビアード様、私は」
眉を下げて気まずそうな顔のステラに優しい笑みを浮かべます。
「ごめんなさい。事情は知ってます。私は自分の勘を信じてます。私は貴方とはお友達になりたいです。」
ステラに戸惑った顔で見つめられてます。不審者に思われないように慎重にいかないといけません。
昔のステラの話を思い出します。無属性と言われて家族しか味方がいなかった悲しい時間のことを。
「私は魔力なんて、あれば便利としか考えてません。貴族に必要なのは矜持と誇りです。一人で逃げずにここに立ってる貴方は恥ずべきことなどありません。レティシアで構いませんわ」
「レティシア様、私は・・」
黙り込むステラはすでにマートン様に捨てられて傷だらけかもしれません。ステラは昔はマートン侯爵令嬢の取り巻きの一人でした。ただ魔力がないとわかった途端に切り捨てられたそうです。
「私は水属性です。ビアード公爵家のまがいものですって」
目を大きく開けて驚いた顔で見られてます。私の噂は知らないんですね。せっかくなので利用しましょう。わかりにくい、貴族らしい言葉を使うのはやめましょう。
「ステラと呼んでもいいかしら?こんな言葉はずるいと思います。それでも私は貴方のお友達になりたいです。貴族社会の弾かれ者同士、見返してやりませんか?」
「私に価値などありません」
マートン様、いずれ仕返ししますわ。
ステラを傷つけたことは許しません。誰であろうとこんなに可愛いステラを価値がないなんて言う方は許しませんわ。
優しい笑みを浮かべます。
「貴方は将来素敵なご令嬢になりますわ。私の初めてのお友達はステラがいいです。私は絶対にステラを大好きになる自信がありますわ。駄目かしら?」
手を差し出すとゆっくりと握り返されます。
「よろしくお願いします」
顔をあげたステラの笑顔の可愛さに見惚れてぼんやりしてしまいました。我に返ってステラに怪しまれないようにっこり笑ってごまかしました。
「ありがとうございます。せっかくなので、見返しにいきましょうか」
きょとんとする可愛いステラの手を取り、エイベルを探します。エイベルを見つけて手を振ると近づいてきました。ステラの手を離して、ステラが手に持つグラスを取り上げます。隣に来たエイベルの耳にささやきます。
「お兄様、私のお友達のステラです。見返したい相手がいるのでダンスに誘ってください。できればお兄様のお友達ともダンスをさせてあげてください。高貴な方がいいですわ」
エイベルが苦笑してステラに手を差し出しダンスを申し込みました。戸惑うステラに微笑みかけて、そっと背中を押します。エイベルはビアード公爵家嫡男なので令嬢に人気があります。マートン様達はエイベルとは派閥が違い踊れないので羨ましいはずですわ。無事に踊り出した二人を見ながらグラスの中身を飲み干します。グラスを返して壁の花になるために、移動しました。
グラスを差し出され、視線をあげるとリオでした。
私はリオと関わりたくありません。リオといると令嬢の視線が痛いんです。ここで断るのも目立ちます。先ほど、飲んだばかりですが、令嬢モードの笑みを浮かべて受け取ります。
「ありがとうございます。」
「おめでとう。」
「ありがとうございます。マール様、ご令嬢達に熱心に見つめられてますわ。私のことはお気遣いなく」
「気にしないで。ダンスに誘いたいけど、もう疲れてるだろう?」
私が気にします。遠回しに離れてくださいっていっても通じませんのね・・。笑みを浮かべるリオといる所為で令嬢達の視線が怖いです。ダンスもしないのに共にいる理由はありません。リオと関わってもビアードとして利はないので逃げましょう。
「お気遣いありがとうございます。私はお父様のもとに戻りますわ」
陛下の傍から離れたビアード公爵を見つけたので、礼をして立ち去ろうとする手を取られました。
「俺の事、避けてない?」
「気のせいですわ。失礼します」
探られるように見られて怖いです。今世のリオは調子が狂ってしまいます。
笑顔で手を振り解いて、ビアード公爵のもとに急ぎました。国王陛下から離れたビアード公爵と一緒に挨拶まわりをしました。
踊り疲れているステラを回収して、無事に社交デビューは終わりました。クロード殿下の目に止まらなくて良かったですわ。3度目にして初めてクロード殿下と踊らない社交デビューをおえましたわ。ステラと友達になれましたし、幸先良好ですわ。
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