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第十二話 情操教育
第二王子のレオ様はエイベルの部屋に頻繁に訪ねるようになりました。最近は毒味もせずにお茶とお菓子を口にする姿は心配になります。毒をいれたりしませんが大事な御身を大事にしてほしいです。
「レティシア、最近母上の体調が優れない」
優秀な治癒魔導士である宰相のルーン公爵が動かないのは理由があるんでしょうか・・。
私は王宮に行くわけにはいきません。関わりのないサラ様に面会が許されるかも怪しいです。
純度の高い水の魔石を作り治癒魔法を付与します。暗い声のレオ様に差し出します。
「レオ様、どうぞ。サラ様なら使い方をご存知です。治癒魔法を付与してあります。魔力の相性が悪ければ使わないでください」
レオ様が魔石をじっと見て、しばらくすると手に取りました。
エイベルが言いたいことがありそうな顔をしていますが首を横に振ります。余計な口出しはいけません。王家の問題に関わってはいけません。レオ様が望まない限りは口に出す権利はありません。
元気のないレオ様に学園での他愛もない話をします。
レオ様はあまり話さず静かに聞きながら時々笑います。私は情操教育ができているか不安になって参りました。レオ様は自分の立場を理解されているので人目がある場所では話しかけてきません。今世のレオ様は警戒心が強いようです。
「レオ様、もし視察候補にうちがあれば是非お越しください。歓迎致しますわ」
「兄上でなくて、いいのか?」
「個人的にはレオ様のほうが気楽ですわ。ビアード領を案内しますわ。お時間があれば狩りにいきましょう。捌きたてのお肉は美味しいですよ。視察は煩わしくても中々楽しいですよ。」
レオ様はクロード殿下に劣等感があります。もしも殺伐とした王宮での日々を送っているのなら、一時でも気の抜ける時間を作って差し上げたいですわ。
ノックの音がしたのでエイベルが部屋から出て行きました。
「レティシアは気楽だな」
「平等の学園ですもの。自由に過ごさせていただきます。レオ様はやりたいことはありますか?」
「特に」
「そうですか・・・。」
手詰まりです。
やはり生前のレオ様のお友達件教育係のラウルが必要でしょうか。今のレオ様は安全かはわかりません。それに平民のラウルがレオ様と関わると嫌がらせを受けてつらい立場になるかもしれません。今の私では守ってあげられません。レオ様の顔をじっと眺めていると閃きましたわ。
「レオ様、お菓子を作りましょう」
「は?」
「立ってください。こちらです」
エイベルの部屋には調理器具や材料を常備しています。
材料をボウルに入れていきます。足りない物はエイベルの侍従に頼んで厨房に取りにいってもらいました。
「レオ様、これを混ぜてください。」
戸惑うレオ様に笑顔で圧力をかけます。
「時々、なにも考えたくない時に料理するんです。夢中になると頭が空っぽになりますので。」
頭を空っぽにするには料理か討伐が一番です。
混ぜ終わったものを型に流し込みオーブンで焼きます。レオ様とお茶を飲みながら焼き上がりを待ちます。オーブンから焼き上がったマドレーヌを出して、毒味を終えたものを差し出します。
「熱いので、気をつけてください」
冷ましたものも美味しいですが焼き立ては格別です。私のお友達直伝のマドレーヌは優しい味がします。
レオ様が熱さに驚き目を見張って食べている様子に笑ってしまいます。
「王宮のお料理とは比べ物になりません。でも暖かい料理は優しい味がして好きなんです」
レオ様にじっと見つめられます。
「他にも作れるのか?」
「はい。上手ではありませんが、食べられる物が出来上がります」
レオ様が笑いました。今世のレオ様の笑いのツボはわかりません。
「また一緒に料理してもいいか?」
「はい。歓迎しますわ。あらかじめ材料を用意しますので、予定を決めてもいいですか?」
「ああ。母上にもお渡ししたい」
「こんな簡素なものを・・・」
「構わない」
初めての料理を好きな人に食べてもらいたい気持ちはよくわかります。レオ様が願うならご用意しましょう。
「わかりました。いくつか包みますわ。レオ様、私のことは内緒にしてください。お父様達に王子殿下に料理を手伝わせ、簡素なものを食べさせたと知られれば怒られてしまいます」
「わかっている。深窓のご令嬢だろう?」
「からかわないでくださいませ。王宮でのお呼ばれは緊張しすぎて具合が悪くなってしまうんです。」
「そうは見えない。」
「内緒にしてくださいませ。」
「わかっている。お前にも事情があるんだろう」
「ありがとうございます」
それから生徒会のない週末の放課後はエイベルの部屋でレオ様と料理をする日課ができました。もちろんサラ様の分も作りますよ。作り過ぎたらステラやフィルにおすそ分けしてます。毎週エイベルの部屋に通っているのにレオ様がエイベルと親しいと知られてないのは驚きです。
***
私は個人で任された生徒会の仕事はいつもエイベルの部屋でしています。
「レティシア、お前わかっているのか?王家と関わりたくないんだろう」
書類から顔を上げると、心配そうな顔をむけられました。監禁回避のために情操教育中とは言えませんよね…。もう一つの理由を話しましょう。
「王家と関わる気はありません。レオ様とは友人として関わっているだけです。レオ様は深い事情を抱えておいでです。聞く気もありませんが、学園でくらいは気が抜けてもいいのかなって。クロード殿下の周りには人がたくさんいます。一人は寂しいです。」
「お人好しが」
「私は頼りになる兄を持って幸せです」
苦笑しているエイベルの机に重なっている書類を手に取ります。書類仕事の苦手なエイベルのために終わらせてあげましょう。
「レティシア、婿入り希望で有能でお前の気に入る奴ができれば連れて来いよ」
自分で婿候補を探すように言われるとは思いませんでしたわ。私は当主の命令に従うので選ぶつもりはありません。
エイベルが探す気があるなら協力しますが。
「ビアード公爵家として必要な方を選んでください。私はお父様達の命令に従います。婚約者が出来ても、時々で良いので私と遊んでくださいね。お兄様」
「俺は母上の命に従う」
「もしお兄様が好きな方ができたら私に先に紹介してください。お母様の説得を手伝ってあげますわ」
さて冗談はここまでにして、手をすすめましょう。
生徒会は忙しいです。エイベルが休養日に全く帰ってこなかった理由がわかりました。
学園の休養日は訓練と仕事にあててたんですね。果たして、うまくいっているかはわかりませんが今世は生前よりも平穏なことがありがたいですわ。
「レティシア、最近母上の体調が優れない」
優秀な治癒魔導士である宰相のルーン公爵が動かないのは理由があるんでしょうか・・。
私は王宮に行くわけにはいきません。関わりのないサラ様に面会が許されるかも怪しいです。
純度の高い水の魔石を作り治癒魔法を付与します。暗い声のレオ様に差し出します。
「レオ様、どうぞ。サラ様なら使い方をご存知です。治癒魔法を付与してあります。魔力の相性が悪ければ使わないでください」
レオ様が魔石をじっと見て、しばらくすると手に取りました。
エイベルが言いたいことがありそうな顔をしていますが首を横に振ります。余計な口出しはいけません。王家の問題に関わってはいけません。レオ様が望まない限りは口に出す権利はありません。
元気のないレオ様に学園での他愛もない話をします。
レオ様はあまり話さず静かに聞きながら時々笑います。私は情操教育ができているか不安になって参りました。レオ様は自分の立場を理解されているので人目がある場所では話しかけてきません。今世のレオ様は警戒心が強いようです。
「レオ様、もし視察候補にうちがあれば是非お越しください。歓迎致しますわ」
「兄上でなくて、いいのか?」
「個人的にはレオ様のほうが気楽ですわ。ビアード領を案内しますわ。お時間があれば狩りにいきましょう。捌きたてのお肉は美味しいですよ。視察は煩わしくても中々楽しいですよ。」
レオ様はクロード殿下に劣等感があります。もしも殺伐とした王宮での日々を送っているのなら、一時でも気の抜ける時間を作って差し上げたいですわ。
ノックの音がしたのでエイベルが部屋から出て行きました。
「レティシアは気楽だな」
「平等の学園ですもの。自由に過ごさせていただきます。レオ様はやりたいことはありますか?」
「特に」
「そうですか・・・。」
手詰まりです。
やはり生前のレオ様のお友達件教育係のラウルが必要でしょうか。今のレオ様は安全かはわかりません。それに平民のラウルがレオ様と関わると嫌がらせを受けてつらい立場になるかもしれません。今の私では守ってあげられません。レオ様の顔をじっと眺めていると閃きましたわ。
「レオ様、お菓子を作りましょう」
「は?」
「立ってください。こちらです」
エイベルの部屋には調理器具や材料を常備しています。
材料をボウルに入れていきます。足りない物はエイベルの侍従に頼んで厨房に取りにいってもらいました。
「レオ様、これを混ぜてください。」
戸惑うレオ様に笑顔で圧力をかけます。
「時々、なにも考えたくない時に料理するんです。夢中になると頭が空っぽになりますので。」
頭を空っぽにするには料理か討伐が一番です。
混ぜ終わったものを型に流し込みオーブンで焼きます。レオ様とお茶を飲みながら焼き上がりを待ちます。オーブンから焼き上がったマドレーヌを出して、毒味を終えたものを差し出します。
「熱いので、気をつけてください」
冷ましたものも美味しいですが焼き立ては格別です。私のお友達直伝のマドレーヌは優しい味がします。
レオ様が熱さに驚き目を見張って食べている様子に笑ってしまいます。
「王宮のお料理とは比べ物になりません。でも暖かい料理は優しい味がして好きなんです」
レオ様にじっと見つめられます。
「他にも作れるのか?」
「はい。上手ではありませんが、食べられる物が出来上がります」
レオ様が笑いました。今世のレオ様の笑いのツボはわかりません。
「また一緒に料理してもいいか?」
「はい。歓迎しますわ。あらかじめ材料を用意しますので、予定を決めてもいいですか?」
「ああ。母上にもお渡ししたい」
「こんな簡素なものを・・・」
「構わない」
初めての料理を好きな人に食べてもらいたい気持ちはよくわかります。レオ様が願うならご用意しましょう。
「わかりました。いくつか包みますわ。レオ様、私のことは内緒にしてください。お父様達に王子殿下に料理を手伝わせ、簡素なものを食べさせたと知られれば怒られてしまいます」
「わかっている。深窓のご令嬢だろう?」
「からかわないでくださいませ。王宮でのお呼ばれは緊張しすぎて具合が悪くなってしまうんです。」
「そうは見えない。」
「内緒にしてくださいませ。」
「わかっている。お前にも事情があるんだろう」
「ありがとうございます」
それから生徒会のない週末の放課後はエイベルの部屋でレオ様と料理をする日課ができました。もちろんサラ様の分も作りますよ。作り過ぎたらステラやフィルにおすそ分けしてます。毎週エイベルの部屋に通っているのにレオ様がエイベルと親しいと知られてないのは驚きです。
***
私は個人で任された生徒会の仕事はいつもエイベルの部屋でしています。
「レティシア、お前わかっているのか?王家と関わりたくないんだろう」
書類から顔を上げると、心配そうな顔をむけられました。監禁回避のために情操教育中とは言えませんよね…。もう一つの理由を話しましょう。
「王家と関わる気はありません。レオ様とは友人として関わっているだけです。レオ様は深い事情を抱えておいでです。聞く気もありませんが、学園でくらいは気が抜けてもいいのかなって。クロード殿下の周りには人がたくさんいます。一人は寂しいです。」
「お人好しが」
「私は頼りになる兄を持って幸せです」
苦笑しているエイベルの机に重なっている書類を手に取ります。書類仕事の苦手なエイベルのために終わらせてあげましょう。
「レティシア、婿入り希望で有能でお前の気に入る奴ができれば連れて来いよ」
自分で婿候補を探すように言われるとは思いませんでしたわ。私は当主の命令に従うので選ぶつもりはありません。
エイベルが探す気があるなら協力しますが。
「ビアード公爵家として必要な方を選んでください。私はお父様達の命令に従います。婚約者が出来ても、時々で良いので私と遊んでくださいね。お兄様」
「俺は母上の命に従う」
「もしお兄様が好きな方ができたら私に先に紹介してください。お母様の説得を手伝ってあげますわ」
さて冗談はここまでにして、手をすすめましょう。
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