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第三十六話 生前の弟
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エイベルはルーン公爵夫人と訓練をしています。エイベルが倒れたら呼んでもらえるので、別室に案内されルーン公爵夫人の姉のマール公爵夫人とお茶をしています。
「ローゼの訓練はきついでしょ?」
「兄が情けなくてすみません。まずは歩いて帰宅することが目標です」
「あの子は人に教えるのが下手なのよね」
苦笑されるマール公爵夫人にとってルーン公爵夫人は手のかかる妹だそうです。
「師事させていただけるだけでも感謝してますわ」
「レティシア、私、息子ばかりでつまらないの。」
聞き覚えのある言葉です。娘を持たない夫人が恋など令嬢達が好きな話題に付き合ってほしいと願われるときに口にされる言葉です。苦手な話題ですが断ることはできないので穏やかな笑み浮かべます。
「私でお役に立つなら」
マール公爵夫人が楽しそうな顔をされました。
「ご婦人や令嬢達には内緒にするわ。貴方は自慢のお兄様のどこが好きなの?」
まさかマール公爵夫人が興味を持つとは思いませんでしたがよく聞かれることので簡単です。
「兄はまっすぐで努力家です。つい背中を追いかけたくなります。」
「エイベル様が好きなのね。好きな殿方を聞かれて兄を答える理由は?」
照れた顔を作ります。
「お恥ずかしいですわ」
「いいわ。聞かせて」
敵を作らない一番穏便な答えだからとは言えません。
この話題もよく聞かれるので答えは簡単です。夫人受けする答えも知ってます。
「兄は私が不安な時にいつも傍にいてくれます。頭を撫でられると安心して力が抜けるんです。小さい頃から頼りになる自慢の兄ですわ」
「あら?お兄様に夢中で好きな方ができるか心配ね」
私が兄を一番と公言しているので、これもよく言われる言葉です。でも、これは肯定してはいけません。兄を異性として見ていないとアピールしないと誤解を招き面倒なことになります。
「私なりに声をかけますがフラれてますわ」
「誰?ここだけの話よ」
ふふふと笑うマール公爵夫人もこの手の話題が好きなんですね。生前は知りませんでしたわ。
「フィル・カーソン様、ソート・グール様、サイラス・グランド様ですわ。三人とも優秀なので、婿入りはしていただけません。即答でお断りされてしまいましたわ」
サイラス様は最近は人気があるので、危険ですがフィルとソート様は令嬢に人気がないので、好きと公言しても問題ありません。見る目のない令嬢に趣味が悪いと失笑されるくらいです。私は二人は妻を大事にしてくれる理想の夫になると思います。今世のリオよりも確実に。
「どんなところに惹かれたの?」
「兄が信頼しています。学生達の面倒見がよく、頼りになります。兄夫婦を一緒に支えてくれそうな理想的な方でしたわ」
「他には?」
残念ながら他にはいませんでした。
「思いつきません。私はお父様の決めてくださった方で構いません」
「あら・・。うちの息子は学園でどんな風かしら?」
学園での様子はあまり知りません。
「令嬢達に慕われてます。いつも視線を集めてますわ。」
「レティシアも?」
安易なことを言って誤解をされたら困ります。
「私には眩しすぎて・・。マール様のお傍にいると令嬢達の視線に焼かれそうになります。」
「そんなにすごいの…。エイベル様のファンは大丈夫なの?」
「兄のファンは大人しい方が多いんです。ファンクラブの会長が良識あるご令嬢で助かってますわ。しっかり統制され兄の邪魔にならないように配慮されていることに感謝しています」
入学してすぐにエイベルのファンクラブに手を回しました。まさかエイベルが令嬢に追いかけられ、逃げているとは思いませんでした。あまりの情けなさにお腹を抱えて笑ったら睨まれました。
「レティシアも入会してるの?」
「いえ、ただ定期的に兄の話題を提供しお茶会に参加させていただいています。あまり兄に夢を持たせて、幻想を崩した令嬢に逆恨みされないようにだけは手を回してます」
令嬢の妄想は恐ろしいのです。時々軌道修正しないと面倒なことになります。エイベルは押しの強い令嬢は苦手なので、迫られて女嫌いになったら大変なのでしっかり手を回してます。
ノックの音にマール公爵夫人が入室許可を出し、生前の弟が綺麗な礼をして入室してきました。エディではなくエドワード様の綺麗な所作はいつの世も変わりません。年下ですがエイベルよりも洗練されています。ビアード公爵家のような生ぬるい教育はルーンでは考えられないので当然ですわね。
「ご挨拶をさせてください。ルーン公爵家嫡男のエドワード・ルーンです。」
「お上手ですわ。失礼しました。ビアード公爵家長女レティシア・ビアードと申します。」
生前の癖がでました。生前の弟ですが今は違います。見ず知らずの令嬢に褒められて頭を撫でられたら警戒しますわ。伸ばしそうになった手を不自然に、見えないようにそっとお茶に手を伸ばしごまかしました。気をつけないといけません。
「エドワード、お勉強は?」
「終わりました。伯母上にご挨拶をと」
「しっかりしてるわ。せっかくだから、レティシアに遊んでもらう?」
「え?」
エドワード様の目が冷たく、表情の固い弟は初めてです。いつもの愛らしいもしくは爽やかな笑みはどこにいきましたの?もしかして緊張してるんでしょうか…。まだ9歳の子供ですものね。私の弟は緊張とは無縁でしたが目の前のエドワード様は違うんですね。マール公爵夫人に笑いかけられ、これは遊ばせてあげてってことですわね。緊張が解けるように優しく微笑みかけます。
「エドワード様、お散歩しませんか?」
「そうね。行ってらっしゃい。」
戸惑うエディではなくエドワード様の手を取り庭園を目指します。
「休憩も大事ですわ。ルーンのお勉強は厳しいと聞きますわ」
生前の弟の好きだった庭園の椅子に座ります。庭園まで案内してくれた執事は離れて行きました。きっと呼べばすぐ反応する場所に控えていると思います。
「今日は風が気持ちが良いですね。エドワード様、私は将来は婿を取るので貴方の婚約者候補になりません。同派閥として、ルーン公爵家のお力になれるように頑張ります。ですから力を抜いてくださいませ。たまにはお休みしてください」
ルーンの特徴の青い瞳に冷たい視線で探られるように見られているのに、慣れません。
無害な令嬢をアピールしたんでしたが失敗でしょうか・・?家に利がないからお付き合いしたくないということですか?
「ビアード嬢は」
「レティシアで構いませんわ。姉様でも構いませんわ」
「姉様?」
「はい。公式の場所でなければお好きにお呼びくださいませ。」
「僕を知ってるんですか?」
「もちろん。努力家で聡明で誇り高いエディは私にとって大事な、ごめんなさい間違えました。エドワード様は立派なルーン公爵嫡男ですわ」
不審な目で見つめられます。だめです。生前の記憶と混ざって混乱します。私、エディに会う心の準備はしてませんでしたわ。昼間は勉強に追われてるのでエドワードは顔を出さないと油断してましたわ。ここで動揺したら余計に疑われます。令嬢モードの笑みを浮かべ、丁度よい言い訳を口にしましょう。9歳の少年に話術で負けるわけにはいきません。
「私にとって弟のような子と似てますの。失礼をお許しください。ルーン公爵家のお勉強は厳しいときいています。私は貴方が努力していることも、聡明なことも誇り高く優雅なルーン公爵家の嫡男として誰よりもふさわしいことを知ってます。でも頑張り屋さんなので、時々は子供らしく、お休みしてほしいと思います。」
ますます不審な目で見られてます。まずいですわ。
「お、お話をしますわ。古語のお勉強はもう始まってるかしら?ルーンの歴史をお話しますわ」
古語でルーンの歴史を話しはじめます。私は生前はルーン公爵令嬢だったのでルーンの歴史は得意です。ぼんやりしながらお話できます。まずいですわ。エディに警戒されてますわ。生前の幼い弟は寂しかりやの甘えん坊でしたわ。夢中で話していると肩に重みが…。
恐る恐る隣を見ると寝てました。気が抜けて笑ってしまいました。そっと体を倒して膝の上に頭をのせてゆっくり撫でます。寝ているならいいでしょう。
「お疲れ様。今日も頑張りましたね。」
ルーン公爵家の教育方針に褒めるはありません。ルーンではわかりやすい愛情で甘やかしてくれる方もいません。でもマール公爵家、特にリオがエディを甘やかしてくれてるかな。リオは身内に物凄く甘く優しいですから。
無表情なのに可愛い寝顔はかわりません。
この庭園も懐かしいです。庭師のベン達は元気でしょうか。侍女が探しに来たので、人差し指を口元に当てて静かにするように命じます。今日は暖かいので風邪を引いたりしませんわ。
「ん?」
起きたようですね。
「おはようございます。秘密にしますので、無礼を怒られたりしませんわ」
心配させないように、優しく微笑みかけます。
「すみません」
「エドワード様のおかげで休憩できましたわ。付き合ってくださりありがとうございます」
エドワード様がゆっくり起き上がりました。侍女に気付いて手を繋いでマール公爵夫人のもとに戻りました。エイベルの訓練は終わったので、礼をして帰りました。エイベルは水魔法で浮かせております。いつになったら歩いて帰れるようになるんでしょうか。
***
エイベルのルーン公爵夫人との訓練のときは、エドワード様と過ごす機会が増えました。エドワード様は私のお話に相づちをうつだけなんですが、楽しいんでしょうか…。
今世のエドワード・ルーン様はよくわかりません。比べてはいけませんが常に無表情なお顔が心配でたまりません。最初の弟はしっかり者でしたが表情豊かでしたわ。姉上と呼ばれ得意げに課題を見せにきた顔は可愛かったですわ。二度目の人生は甘えん坊で私にくっついて離れないのも可愛かった。
エディ、姉様は貴方の幸せを願ってます。今世は女性嫌いにならないでください。きっと他人の私の前だけ無表情で、身内のまえでは甘えん坊になってることを祈りましょう。
マール公爵家の皆様、どうか不器用な生前の両親に代り私の弟をよろしくお願いしますと心の中で祈りを捧げました。
「ローゼの訓練はきついでしょ?」
「兄が情けなくてすみません。まずは歩いて帰宅することが目標です」
「あの子は人に教えるのが下手なのよね」
苦笑されるマール公爵夫人にとってルーン公爵夫人は手のかかる妹だそうです。
「師事させていただけるだけでも感謝してますわ」
「レティシア、私、息子ばかりでつまらないの。」
聞き覚えのある言葉です。娘を持たない夫人が恋など令嬢達が好きな話題に付き合ってほしいと願われるときに口にされる言葉です。苦手な話題ですが断ることはできないので穏やかな笑み浮かべます。
「私でお役に立つなら」
マール公爵夫人が楽しそうな顔をされました。
「ご婦人や令嬢達には内緒にするわ。貴方は自慢のお兄様のどこが好きなの?」
まさかマール公爵夫人が興味を持つとは思いませんでしたがよく聞かれることので簡単です。
「兄はまっすぐで努力家です。つい背中を追いかけたくなります。」
「エイベル様が好きなのね。好きな殿方を聞かれて兄を答える理由は?」
照れた顔を作ります。
「お恥ずかしいですわ」
「いいわ。聞かせて」
敵を作らない一番穏便な答えだからとは言えません。
この話題もよく聞かれるので答えは簡単です。夫人受けする答えも知ってます。
「兄は私が不安な時にいつも傍にいてくれます。頭を撫でられると安心して力が抜けるんです。小さい頃から頼りになる自慢の兄ですわ」
「あら?お兄様に夢中で好きな方ができるか心配ね」
私が兄を一番と公言しているので、これもよく言われる言葉です。でも、これは肯定してはいけません。兄を異性として見ていないとアピールしないと誤解を招き面倒なことになります。
「私なりに声をかけますがフラれてますわ」
「誰?ここだけの話よ」
ふふふと笑うマール公爵夫人もこの手の話題が好きなんですね。生前は知りませんでしたわ。
「フィル・カーソン様、ソート・グール様、サイラス・グランド様ですわ。三人とも優秀なので、婿入りはしていただけません。即答でお断りされてしまいましたわ」
サイラス様は最近は人気があるので、危険ですがフィルとソート様は令嬢に人気がないので、好きと公言しても問題ありません。見る目のない令嬢に趣味が悪いと失笑されるくらいです。私は二人は妻を大事にしてくれる理想の夫になると思います。今世のリオよりも確実に。
「どんなところに惹かれたの?」
「兄が信頼しています。学生達の面倒見がよく、頼りになります。兄夫婦を一緒に支えてくれそうな理想的な方でしたわ」
「他には?」
残念ながら他にはいませんでした。
「思いつきません。私はお父様の決めてくださった方で構いません」
「あら・・。うちの息子は学園でどんな風かしら?」
学園での様子はあまり知りません。
「令嬢達に慕われてます。いつも視線を集めてますわ。」
「レティシアも?」
安易なことを言って誤解をされたら困ります。
「私には眩しすぎて・・。マール様のお傍にいると令嬢達の視線に焼かれそうになります。」
「そんなにすごいの…。エイベル様のファンは大丈夫なの?」
「兄のファンは大人しい方が多いんです。ファンクラブの会長が良識あるご令嬢で助かってますわ。しっかり統制され兄の邪魔にならないように配慮されていることに感謝しています」
入学してすぐにエイベルのファンクラブに手を回しました。まさかエイベルが令嬢に追いかけられ、逃げているとは思いませんでした。あまりの情けなさにお腹を抱えて笑ったら睨まれました。
「レティシアも入会してるの?」
「いえ、ただ定期的に兄の話題を提供しお茶会に参加させていただいています。あまり兄に夢を持たせて、幻想を崩した令嬢に逆恨みされないようにだけは手を回してます」
令嬢の妄想は恐ろしいのです。時々軌道修正しないと面倒なことになります。エイベルは押しの強い令嬢は苦手なので、迫られて女嫌いになったら大変なのでしっかり手を回してます。
ノックの音にマール公爵夫人が入室許可を出し、生前の弟が綺麗な礼をして入室してきました。エディではなくエドワード様の綺麗な所作はいつの世も変わりません。年下ですがエイベルよりも洗練されています。ビアード公爵家のような生ぬるい教育はルーンでは考えられないので当然ですわね。
「ご挨拶をさせてください。ルーン公爵家嫡男のエドワード・ルーンです。」
「お上手ですわ。失礼しました。ビアード公爵家長女レティシア・ビアードと申します。」
生前の癖がでました。生前の弟ですが今は違います。見ず知らずの令嬢に褒められて頭を撫でられたら警戒しますわ。伸ばしそうになった手を不自然に、見えないようにそっとお茶に手を伸ばしごまかしました。気をつけないといけません。
「エドワード、お勉強は?」
「終わりました。伯母上にご挨拶をと」
「しっかりしてるわ。せっかくだから、レティシアに遊んでもらう?」
「え?」
エドワード様の目が冷たく、表情の固い弟は初めてです。いつもの愛らしいもしくは爽やかな笑みはどこにいきましたの?もしかして緊張してるんでしょうか…。まだ9歳の子供ですものね。私の弟は緊張とは無縁でしたが目の前のエドワード様は違うんですね。マール公爵夫人に笑いかけられ、これは遊ばせてあげてってことですわね。緊張が解けるように優しく微笑みかけます。
「エドワード様、お散歩しませんか?」
「そうね。行ってらっしゃい。」
戸惑うエディではなくエドワード様の手を取り庭園を目指します。
「休憩も大事ですわ。ルーンのお勉強は厳しいと聞きますわ」
生前の弟の好きだった庭園の椅子に座ります。庭園まで案内してくれた執事は離れて行きました。きっと呼べばすぐ反応する場所に控えていると思います。
「今日は風が気持ちが良いですね。エドワード様、私は将来は婿を取るので貴方の婚約者候補になりません。同派閥として、ルーン公爵家のお力になれるように頑張ります。ですから力を抜いてくださいませ。たまにはお休みしてください」
ルーンの特徴の青い瞳に冷たい視線で探られるように見られているのに、慣れません。
無害な令嬢をアピールしたんでしたが失敗でしょうか・・?家に利がないからお付き合いしたくないということですか?
「ビアード嬢は」
「レティシアで構いませんわ。姉様でも構いませんわ」
「姉様?」
「はい。公式の場所でなければお好きにお呼びくださいませ。」
「僕を知ってるんですか?」
「もちろん。努力家で聡明で誇り高いエディは私にとって大事な、ごめんなさい間違えました。エドワード様は立派なルーン公爵嫡男ですわ」
不審な目で見つめられます。だめです。生前の記憶と混ざって混乱します。私、エディに会う心の準備はしてませんでしたわ。昼間は勉強に追われてるのでエドワードは顔を出さないと油断してましたわ。ここで動揺したら余計に疑われます。令嬢モードの笑みを浮かべ、丁度よい言い訳を口にしましょう。9歳の少年に話術で負けるわけにはいきません。
「私にとって弟のような子と似てますの。失礼をお許しください。ルーン公爵家のお勉強は厳しいときいています。私は貴方が努力していることも、聡明なことも誇り高く優雅なルーン公爵家の嫡男として誰よりもふさわしいことを知ってます。でも頑張り屋さんなので、時々は子供らしく、お休みしてほしいと思います。」
ますます不審な目で見られてます。まずいですわ。
「お、お話をしますわ。古語のお勉強はもう始まってるかしら?ルーンの歴史をお話しますわ」
古語でルーンの歴史を話しはじめます。私は生前はルーン公爵令嬢だったのでルーンの歴史は得意です。ぼんやりしながらお話できます。まずいですわ。エディに警戒されてますわ。生前の幼い弟は寂しかりやの甘えん坊でしたわ。夢中で話していると肩に重みが…。
恐る恐る隣を見ると寝てました。気が抜けて笑ってしまいました。そっと体を倒して膝の上に頭をのせてゆっくり撫でます。寝ているならいいでしょう。
「お疲れ様。今日も頑張りましたね。」
ルーン公爵家の教育方針に褒めるはありません。ルーンではわかりやすい愛情で甘やかしてくれる方もいません。でもマール公爵家、特にリオがエディを甘やかしてくれてるかな。リオは身内に物凄く甘く優しいですから。
無表情なのに可愛い寝顔はかわりません。
この庭園も懐かしいです。庭師のベン達は元気でしょうか。侍女が探しに来たので、人差し指を口元に当てて静かにするように命じます。今日は暖かいので風邪を引いたりしませんわ。
「ん?」
起きたようですね。
「おはようございます。秘密にしますので、無礼を怒られたりしませんわ」
心配させないように、優しく微笑みかけます。
「すみません」
「エドワード様のおかげで休憩できましたわ。付き合ってくださりありがとうございます」
エドワード様がゆっくり起き上がりました。侍女に気付いて手を繋いでマール公爵夫人のもとに戻りました。エイベルの訓練は終わったので、礼をして帰りました。エイベルは水魔法で浮かせております。いつになったら歩いて帰れるようになるんでしょうか。
***
エイベルのルーン公爵夫人との訓練のときは、エドワード様と過ごす機会が増えました。エドワード様は私のお話に相づちをうつだけなんですが、楽しいんでしょうか…。
今世のエドワード・ルーン様はよくわかりません。比べてはいけませんが常に無表情なお顔が心配でたまりません。最初の弟はしっかり者でしたが表情豊かでしたわ。姉上と呼ばれ得意げに課題を見せにきた顔は可愛かったですわ。二度目の人生は甘えん坊で私にくっついて離れないのも可愛かった。
エディ、姉様は貴方の幸せを願ってます。今世は女性嫌いにならないでください。きっと他人の私の前だけ無表情で、身内のまえでは甘えん坊になってることを祈りましょう。
マール公爵家の皆様、どうか不器用な生前の両親に代り私の弟をよろしくお願いしますと心の中で祈りを捧げました。
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