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番外編 家族の記録
元公爵令嬢の決断
こんにちは。レティシアです。
私はマール公爵領の辺境の村でルリとしてリオと生活しております。
マール公爵領に引っ越してからもクロード殿下が時々訪問されます。
もう驚くのも気にするのもやめました。
転移陣を訪問したさまざまな場所に仕掛けられていることも、転移魔法で視察することを好まれることは知りたくなかったですわ。効率重視の殿下が時間の節約のため有効な手段と考えられるのは理解はできますが、納得してくださる方がどれほどいるかはわかりません。
まぁ殿下の御身を守ることは専門の方々に任せましょう。
時々エイベルが追いかけてきますが、いつも一足遅く、殿下はすでにいません。
私は今回は殿下にお話があります。
「やあレティ、リアム、ティア!!」
「クロ!!」
髪を黒く染め、クロと名乗る殿下にリアムが懐いてます。
庭で日向ぼっこをしていましたが、リアムが殿下に駆けていくと、殿下は両手を広げ抱き着くリアムを軽々と抱きあげました。
ティアは私の膝の上です。
「リアム、クロは母様とお話があるから、ティアとお庭で遊んでてくれますか?」
「クロ、母様のお話が終わったら遊んでくれる?」
「ああ。今日は時間があるから大丈夫だよ。これお土産だからティアと分けてね」
ティアがお土産につられて、立ち上がり殿下に近付いていきました。
二人は殿下がポケットから出した小袋を嬉しそうに笑って受け取っています。
殿下のポケットには色々な物が入っているのですが、拡張の魔法でもかけてあるんでしょうかね。
いえ、考えるのはやめましょう。これは知らなくていいことですわ。
「ティア、お土産だって!クロありがとう!!」
「ありがとう!!」
殿下が二人の頭を撫でてます。
「ありがとうございます。中でお茶にいたしませんか?」
「光栄だよ」
お土産を受け取った二人は手を繋いで駆けていきました。
私は立ち上がり、殿下がエスコートしようとする前に中に案内します。
「デイーネ、二人をお願いね」
「わかったわ」
デイーネに任せれば安心です。
お茶の用意をしていると、殿下が隣に立ちじっと見られています。
「座っていてくださいませ」
「私が運ぶよ」
毒を盛られないか警戒しているのではありませんよね?
機嫌の良さそうな金の瞳に警戒の色はないので、殿下のしたいようにしていただきましょう。
お茶の用意を終えて、向かい合って座り、お茶を注いだカップに口をつけてから、殿下にお渡しします。
「毒見はいらないよ。レティの淹れるお茶は特別だから。これはレティに」
微笑んだ殿下は優雅な仕草でお茶を飲み、小さな箱をテーブルに置きました。
殿下が箱を開けると中には、王宮のお茶会でよく見た蜂蜜たっぷりのクッキーが敷き詰められていました。
王宮のお茶会では、蜂蜜たっぷりのクッキーを食べると淑女の顔を保てなくなるので、手をつけることは、ほとんどありませんでした。
「ありがとうございます」
「昔から好きだよね。レティが話があるって初めてだね。妃になる気になった?きちんとプロポーズをさせてくれる?」
昔?今世は子供の頃に食べた記憶はありませんが。
クッキーのことはいいんです。
上機嫌な笑顔の殿下にはっきりと言わないといけません。
「お戯れを。それです!!ティアが覚えたのでやめてください」
「ティアは聡いね。私の妃になるって?」
「なりません。エイベルの妃になって寵愛を受けるって意気込んでますが、まだ幼い娘に現実は突きつけられませんわ。殿下のことも教えてません」
「エイベルがライバルか」
「そうではなく、妃の話はティア達にはしないでください。あの子達の教育の妨げになりますわ」
「ティア達がいなければいいの?」
「はい?」
殿下に手を握られ、嫌な予感がします。
「レティシア、私の妃になってくれないか?」
殿下の手をそっと振り解きます。
不敬罪で裁かれても構いませんわ。
「お戯れはいい加減になさいませ。カトリーヌお姉様がつれないからって私で遊ぶのやめてください」
「本気なんだけど」
殿下は嘘をついているお顔ではありません。
私を妃にしたい理由はなんでしょうか。
「殿下の後ろ盾はもう十分ですわ。レート公爵家とルーン公爵家は同派閥であり、私との婚姻に利はありません」
「そろそろ子供を産める側妃の話が出てるんだけど、私は君がいい」
慣例では正妃を迎え、しばらくしても後継を授からない時は側妃を迎えることが許されます。
その際の側妃の選定条件は健康で多産な家系の未婚の純潔な令嬢です。
特別な理由で寵姫を迎えたい場合は、正妃を迎えてからなら、いくつか抜け道があり可能ですが、正妃を迎える前は許されません。
今回は後継のためなら慣例が適用されるはずです。
「私はリオの妻でありリアムとティアの母ですので、側妃の選定条件を満たしていません」
「私は気にしないよ」
フラン王国貴族は純潔を重視し、王族に嫁ぐのは清らかな乙女しか許されません。
純潔が尊いとされますが、他国では純潔を嫌う殿方もいます。
もしかして、夫婦生活の経験のある手近な相手ですませたい?
殿下の従兄であるリオと魔力の相性がいい私は殿下との魔力の相性がいい可能性も高いです。
魔力合わせや初夜の手ほどきなど手間を省きたいなら、手近な相手として私は最適ですが、非常識ですわ。
ルーンとレートは事業を広げる方向性が違い、同じ派閥なので権力争いは起こりにくいですが、レート公爵家よりルーン公爵家のほうが序列も資産力も高く、正妃より側妃の家のほうが強いのは波紋を呼び、正妃であるカトリーヌお姉様の立場を悪くします。私とカトリーヌお姉様が親しくても、波紋はどんどん広がっていく。
そして、私とカトリーヌお姉様が殿下の子供を宿せば、確実に臣下達が継承権争いを起こします。
平穏から程遠い、波乱しか見えない未来ですわ。
「臣下達が許しません。側妃は魔力があり、カトリーヌお姉様より明らかに家格の低いご令嬢が最適と殿下はわかってらっしゃるのでは?」
「レティとの子供をカトリーヌとの子にするのは?」
私はカトリーヌお姉様とも殿下とも似ていないから無理ですわ。
殿下は何を考えてますの?
カトリーヌお姉様が子を産めないと非難されるのを避けたいから?
でもあの高潔なカトリーヌお姉様がそんな殿下の守り方を受け入れるとは思いません。
「殿下、落ち着いてくださいませ。カトリーヌお姉様はそんなこと許しません」
「カトリーヌの了承は得ているよ」
嘘でしょ?
カトリーヌお姉様が認めるほど切羽詰まった状況ですの?
もしかしてお互い、恋ゆえの暴走ですの?
愛しい人の願いは叶えたい気持ちはよくわかります。
でも、申しわけありませんがお二人だけは恋に狂って、冷静に判断できないことを許される立場ではありません。
「ありえませんわ」
「本当だよ。レティ、私のこと嫌いじゃないよね?」
魔力のない設定でも私には高貴な血が流れています。魔力がない私と殿下の子供なら、子供には殿下の属性が遺伝します。ルーン公爵令嬢は行方不明で、身分を偽り生きている私は隠れて子供を産むには最適な駒ということでしょうか…?
恋に狂えば人の思考はおかしくなるので、殿下のお考えはわかりません。
かつての誰にも声が届かない冷たい部屋でのことが頭をよぎり、体が震えそうになります。
「臣下としては尊敬してますわ。クロも大事な友人です」
「私への想いはない?」
かすれた、ひどい声で話した私を殿下は探るような瞳の色で見つめています。
冷静にならないといけません。感情的になってはいけません。
令嬢の仮面を被らないといけないのに、うまく笑えません。
辛い時こそ笑顔で乗り切らないといけないと教育を受けてきましたのに。いつも助けてくれるリオの顔が脳裏に浮かびます。駄目です。今は甘える時ではありません。
「殿下の幸せをお祈りしていますわ。ですが私の心はリオだけです」
恋に狂っていても王太子夫妻に命じられるなら断れません。
断れば不敬罪になり、ルーン公爵家にもリオやリアム達にも迷惑がかかります。
臣下がどんなに反対しようと陛下と王太子夫妻の命であれば逆らえませんわ。
王族の命を断った者に、明るい未来はありません。
15歳で死ぬはずだった私がこんなに幸せに生きられただけでも奇跡ですわ。
多くを望んではいけません。
言わないといけない言葉はわかっています。
「もしも殿下が臣下として身を捧げよと命じるなら従います」
震えそうな唇はきちんと言葉を紡げました。他にも言わないといけない言葉や取るべき行動はわかっていますが、胸が痛い。
「殿下、いい加減にしてください。俺はシアを渡しません」
リオの声がしました。
幻聴?
でもこの抱き寄せられる腕の安心感は本物ですわ。
だめです。ほっとしている場合ではありません。
「リオ、不敬」
「シア、黙って」
「殿下お許しください。私は」
リオの手に口をふさがれます。力が強くて離れません。
「息は鼻でもできるだろう。殿下はこんな顔をシアにさせるために来られたんですか?権力で手に入れ、シアの心を殺して、側に置いて満足されるんですか?」
「ごめん。レティ。権力を使うつもりはないよ。今日はこれで。リアムに謝っておいて。また来るよ」
リオの手が離れたので、深く頭を下げます。
リオの言葉は不敬です。殿下の一言で今の私達の首など簡単に飛びます。
「殿下、リオが申し訳ありません。どうかお慈悲を」
「マールを罰したりしないから安心して。またね」
殿下は嘘はつきません。
リオが罪に問われないならよかったですわ。
これ以上殿下の機嫌を損なわないように、無理矢理口角を上げて淑女の笑顔を作ります。
「はい。お気をつけて、おかえりください」
殿下が去っていきました。
安心したら体が震え、足の力が抜けた腰をリオの腕が支え、強い力で抱きしめられました。
一番安心できる場所に甘えたくてもいけません。
やっぱり逃げては駄目でした。
「りお、殿下本気、ルーン公爵令嬢の務め、」
「殿下はそんなことしないよ」
「不敬罪」
「シア、落ち着いて」
やはり私の血が必要なのでしょうか。
私は殿下の婚約者になるのは運命なのでしょうか…。
「でも、カトリーヌお姉様も了承なさって、後継者は作らないと、臣下として、」
「絶対にシアにそんなことはさせないから」
リオやルーン、マールにも迷惑がかかります。もしかしたらリアム達も。
リオに支えられなくても立てるように体に力を入れます。
「俺から離れないで。シアが国のために犠牲になるなんて許さない。もう絶対に離さないって言っただろ?」
「一緒にいたい。でも私のわがままで、やっぱりだめなのかな」
我慢していた涙が堪えきれず溢れ出ました。
泣いている場合ではありませんのに、涙をリオの指で拭われます。
両頬に添えられたリオの手に自分の手を重ねます。
かつて恋しくて堪らなかったこの温もりを離したくない。
「シア、俺が守るよ。俺はシアがいないと生きていけない。リアム達にもシアが必要だ。わかった。この国を出よう」
リオの言葉に胸の痛みが和らいでいきます。リオの言葉に頷きたいです。でも…。
「ルーン公爵家に迷惑が」
「ルーン公爵家の心配はいらない。叔父上もエドワードも優秀だ。ルーンは王家が相手でも後れをとったりしない。シアが姿を消した時もルーンは真っ先に動き、ルーンにとって優位に進めた。叔父上もエドワードもいつもシアの味方だ。俺は叔父上がシアの幸せを望んでいるのをよく知っている。無理にシアを王家に嫁がせるなら、ルーンは反乱も辞さないだろう。特にエドワードと叔母上は」
お母様はわかりませんが、今のエディなら否定できません。
お父様もエディに敵わないことがあります。
反乱は困ります。私が姿を消しても、エディ達が穏便に収めてくれる気がしてきました。
「一人で姿を消そうとか二度とするなよ」
「でもまだ幼い二人には」
「俺が守るよ。シアも強くなったし、フウタとディーネもいる。俺だってあの頃より強くなった。シアが一人でいなくなるなんて許さない」
「リオ?」
「約束しただろ。王妃になりそうなら一緒に逃げようって」
「いいのでしょうか?また逃げて」
「シア以外にも令嬢はたくさんいる。未婚、純潔、多産な血統、純血、混血、殿下は選びたい放題だ。シアがいなくても国は滅びない。もしも、たった一人の存在が国の命運を握る国があるなら滅びたほうがいい」
殿下達が恋に狂っておかしくなっているなら、距離を置いたほうがいいかもしてません。
「殿下の妃候補はたくさんいるけど、俺の妻とリアムとティアの母親はシア一人だけだ。俺にもリアムとティアにもシアが必要だ。もしも殿下が不敬罪で罰するなら、俺は無罪を勝ち取る自信もある。貴族に戻りたいなら慌ただしいが安定した生活を送らせられるよ。シアの望む穏便な逃亡生活の実現も簡単だ。エドワード達がうるさいから、また気が向いたら帰ってこよう。シアの世界名物食べ尽くしの旅もまだ途中だったろ?」
ニヤリと笑ったリオに涙を舐め取られました。
「くすぐったいです。ディーネの真似はやめてください。覚えていましたの?」
悪戯に成功したリアムとそっくりな顔でリオが笑っています。本当によく似てます。
「涙止まったな。泣いてるシアを愛でるのも魅力的だけど、後でな。シアの願いは全部覚えているし、叶えるよ」
リオの笑顔は不思議です。なぜかリオと一緒ならなんとかなる気がします。
「リオの許容範囲内で?」
「そう。ようやく覚えられたか。俺が傍にいることは大前提。ここにいると邪魔が入るし、俺達だけの生活が恋しい。リアム達の見聞を広めるいい機会かもしれないな」
ふざけているリオの言葉が嬉しいです。
いいのでしょうか。傍にいたいです。離れたくありません。
リオが大丈夫と言っていますが、もしリオが裁かれるならルーン公爵令嬢として首を差し出します。私が脅したことにして、許してもらいましょう。首ではなく、身を差し出せと言われれば覚悟を決めましょう。
でも許されるなら、それまでは傍にいるのを許してください。
「リオがいなくなったら伯母様達が寂しがりますわ」
「シアとリアム達がいない方が寂しがりそうだけどな。今回はたまには手紙を出そうか。セリアに映像魔石をいくつか貰っていくか」
「わかりました。ティアが付いてきてくれますかね?」
「俺よりエイベルの方が好きな現実を受け入れられない。ティアは好奇心旺盛だから冒険を喜ぶんじゃないか?」
殿下を追いかけてきたエイベルをティアが見つけて抱きついてましたものね。
殿下はすでに王宮に帰られていましたが。リオがコテンパンにした、ボロボロのエイベルもティアには格好よく映ったようで、恋は盲目ですわね。
でも確かに昔なら倒れて動かなかったのに、回復薬を飲んで立ち上がり、二人に捕まる前に逃げた素早さはまさしく風使いでしたわ。
「近衛騎士試験に一発で合格できるほどエイベルも立派になりましたもの」
「シアまでエイベルなの?」
「エイベルの成長は認めますが私の特別はリオだけですわ」
「あざとい」
リオの顔が近付き唇が重なりました。冷たかった体はいつの間にか温かくなり、震えも止まっています。
力を入れなくても、立っていられます。
私にはやっぱりリオだけですわ。
もしものことは頭の片隅に置いておきましょう。
リオの瞳が甘くなりましたが、胸を押してリオの腕から抜け出します。
「シア!?」
リアム達のところに行きましょう。
方針が決まりましたので、甘い声で呼ばれても振り向きません。
「母様、クロは?」
「急用で帰りました」
「遊びたかったのに!!」
拗ねてるリアムとディーネと遊んでいるティアに笑いかけます。
「リアム、ティア、冒険しませんか?」
「冒険?」
「色んな国に行って綺麗なものを見て、美味しいものを食べますの」
リアムとティアの目が大きくなり、キラキラと輝きました。
「父様は?」
「一緒ですよ」
「エイベルも?」
「エイベルは一緒に行けません。素敵なレディになってエイベルを魅了しませんか?」
「うん、ティア、頑張る。エイベルのちょうあいもらうの」
「皆に行ってきますのお手紙を書きましょう。お手伝いしてくれますか?」
「「うん!」」
私も支度をしましょう。
皆にお手紙を書き終え、セリアを訪ねました。
「珍しい、うん、出かけるのね。これ持ってって、冒険に役立つ自信作よ。使い方は見ればわかるわ」
パチンとウィンクするセリア。
「わかりませんよ。大事な説明を省かないでくださいませ」
セリアがマジック袋に色んな道具を詰めています。
セリアの作品は物騒な道具も多いので、きちんと説明を聞かないと危険です。
「俺が確認するよ」
リオが道具を見ながら、セリアに質問しているので任せましょう。
「リアムとティアにはこれをあげるわ」
セリアが新しいローブと色違いのポシェットを二人に渡していますが、危険物はありませんよね!?
「新しいローブ!!セリアありがとう!!」
「いっぱい入ってるね。ありがとう」
「今回はローブもポシェットも伸縮自在よ。大きくなっても着られるわよ」
「可愛い!!いっぱい着るね!!」
セリアにローブをもらったティアがニコニコと着替えています。
私にはティアが着ているローブとの違いがわかりませんが、そのローブに着替える意味はありますか?
「レティの分もあるわ。身長はもう伸びなさそうだけど、新作だから感想聞かせて」
「ありがとうございます。お手紙を書きますね」
「これあげるわ」
セリアに渡された小さな袋の中には大量の映像魔石がありました。
「お代はいらないから、私とエドワード様とロキに最低月に1個は映像魔石でメッセージを送ってね。成長記録を見逃したくないわ。魔石は私が補充できるようになっているから、いくらでもあげるから遠慮なく使って」
「お金払いますし、補充はいりません。月に1個はちょっと…」
「たぶん追いかけてくるんじゃないかしら」
「シア、受け取ったほうがいい物だから、甘えようか。たぶん」
苦笑するリオの様子にセリアとエディ達とで取引がすでに行われている気がしましたが、これ以上は考えるのはやめましょう。世の中は知らない方がいいことに満ちていますから。
「できるだけ頑張ります。うん。ですから、ロキ達には危ないから来ないでってセリアは絶対に言ってくれませんね。追いかけてこないなら、きちんと定期報告するって伝えてくださいませ」
セリアに見送られ、ロキやステラが追いかけてこないように手紙は出国後に届くように手配しました。
久々の冒険が楽しみですわ。
行程は最高クラスの冒険者のリオに任せましょう。
きっとリアムとティアの目が輝くような計画を立てくれますわ。
村での生活はお友達やエディ達が会いに来てくれたので寂しくはないですが、不自由はかけていましたものね。
リアム達に乗馬を教えておいてよかったですわ。砂漠越えはまだ難しいので砂の国はまたいつか行きましょう。
殿下、ごめんなさい。
生前のレティシアは殿下に差し上げますので、今世は自由にさせてください。
お力になれないことは心苦しいですが殿下とカトリーヌお姉様の幸せを願っております。
旅先から多産のアイテムでも贈りましょうかね。検問にひっかかり届かないのでやめたほうがいいですね。
私はマール公爵領の辺境の村でルリとしてリオと生活しております。
マール公爵領に引っ越してからもクロード殿下が時々訪問されます。
もう驚くのも気にするのもやめました。
転移陣を訪問したさまざまな場所に仕掛けられていることも、転移魔法で視察することを好まれることは知りたくなかったですわ。効率重視の殿下が時間の節約のため有効な手段と考えられるのは理解はできますが、納得してくださる方がどれほどいるかはわかりません。
まぁ殿下の御身を守ることは専門の方々に任せましょう。
時々エイベルが追いかけてきますが、いつも一足遅く、殿下はすでにいません。
私は今回は殿下にお話があります。
「やあレティ、リアム、ティア!!」
「クロ!!」
髪を黒く染め、クロと名乗る殿下にリアムが懐いてます。
庭で日向ぼっこをしていましたが、リアムが殿下に駆けていくと、殿下は両手を広げ抱き着くリアムを軽々と抱きあげました。
ティアは私の膝の上です。
「リアム、クロは母様とお話があるから、ティアとお庭で遊んでてくれますか?」
「クロ、母様のお話が終わったら遊んでくれる?」
「ああ。今日は時間があるから大丈夫だよ。これお土産だからティアと分けてね」
ティアがお土産につられて、立ち上がり殿下に近付いていきました。
二人は殿下がポケットから出した小袋を嬉しそうに笑って受け取っています。
殿下のポケットには色々な物が入っているのですが、拡張の魔法でもかけてあるんでしょうかね。
いえ、考えるのはやめましょう。これは知らなくていいことですわ。
「ティア、お土産だって!クロありがとう!!」
「ありがとう!!」
殿下が二人の頭を撫でてます。
「ありがとうございます。中でお茶にいたしませんか?」
「光栄だよ」
お土産を受け取った二人は手を繋いで駆けていきました。
私は立ち上がり、殿下がエスコートしようとする前に中に案内します。
「デイーネ、二人をお願いね」
「わかったわ」
デイーネに任せれば安心です。
お茶の用意をしていると、殿下が隣に立ちじっと見られています。
「座っていてくださいませ」
「私が運ぶよ」
毒を盛られないか警戒しているのではありませんよね?
機嫌の良さそうな金の瞳に警戒の色はないので、殿下のしたいようにしていただきましょう。
お茶の用意を終えて、向かい合って座り、お茶を注いだカップに口をつけてから、殿下にお渡しします。
「毒見はいらないよ。レティの淹れるお茶は特別だから。これはレティに」
微笑んだ殿下は優雅な仕草でお茶を飲み、小さな箱をテーブルに置きました。
殿下が箱を開けると中には、王宮のお茶会でよく見た蜂蜜たっぷりのクッキーが敷き詰められていました。
王宮のお茶会では、蜂蜜たっぷりのクッキーを食べると淑女の顔を保てなくなるので、手をつけることは、ほとんどありませんでした。
「ありがとうございます」
「昔から好きだよね。レティが話があるって初めてだね。妃になる気になった?きちんとプロポーズをさせてくれる?」
昔?今世は子供の頃に食べた記憶はありませんが。
クッキーのことはいいんです。
上機嫌な笑顔の殿下にはっきりと言わないといけません。
「お戯れを。それです!!ティアが覚えたのでやめてください」
「ティアは聡いね。私の妃になるって?」
「なりません。エイベルの妃になって寵愛を受けるって意気込んでますが、まだ幼い娘に現実は突きつけられませんわ。殿下のことも教えてません」
「エイベルがライバルか」
「そうではなく、妃の話はティア達にはしないでください。あの子達の教育の妨げになりますわ」
「ティア達がいなければいいの?」
「はい?」
殿下に手を握られ、嫌な予感がします。
「レティシア、私の妃になってくれないか?」
殿下の手をそっと振り解きます。
不敬罪で裁かれても構いませんわ。
「お戯れはいい加減になさいませ。カトリーヌお姉様がつれないからって私で遊ぶのやめてください」
「本気なんだけど」
殿下は嘘をついているお顔ではありません。
私を妃にしたい理由はなんでしょうか。
「殿下の後ろ盾はもう十分ですわ。レート公爵家とルーン公爵家は同派閥であり、私との婚姻に利はありません」
「そろそろ子供を産める側妃の話が出てるんだけど、私は君がいい」
慣例では正妃を迎え、しばらくしても後継を授からない時は側妃を迎えることが許されます。
その際の側妃の選定条件は健康で多産な家系の未婚の純潔な令嬢です。
特別な理由で寵姫を迎えたい場合は、正妃を迎えてからなら、いくつか抜け道があり可能ですが、正妃を迎える前は許されません。
今回は後継のためなら慣例が適用されるはずです。
「私はリオの妻でありリアムとティアの母ですので、側妃の選定条件を満たしていません」
「私は気にしないよ」
フラン王国貴族は純潔を重視し、王族に嫁ぐのは清らかな乙女しか許されません。
純潔が尊いとされますが、他国では純潔を嫌う殿方もいます。
もしかして、夫婦生活の経験のある手近な相手ですませたい?
殿下の従兄であるリオと魔力の相性がいい私は殿下との魔力の相性がいい可能性も高いです。
魔力合わせや初夜の手ほどきなど手間を省きたいなら、手近な相手として私は最適ですが、非常識ですわ。
ルーンとレートは事業を広げる方向性が違い、同じ派閥なので権力争いは起こりにくいですが、レート公爵家よりルーン公爵家のほうが序列も資産力も高く、正妃より側妃の家のほうが強いのは波紋を呼び、正妃であるカトリーヌお姉様の立場を悪くします。私とカトリーヌお姉様が親しくても、波紋はどんどん広がっていく。
そして、私とカトリーヌお姉様が殿下の子供を宿せば、確実に臣下達が継承権争いを起こします。
平穏から程遠い、波乱しか見えない未来ですわ。
「臣下達が許しません。側妃は魔力があり、カトリーヌお姉様より明らかに家格の低いご令嬢が最適と殿下はわかってらっしゃるのでは?」
「レティとの子供をカトリーヌとの子にするのは?」
私はカトリーヌお姉様とも殿下とも似ていないから無理ですわ。
殿下は何を考えてますの?
カトリーヌお姉様が子を産めないと非難されるのを避けたいから?
でもあの高潔なカトリーヌお姉様がそんな殿下の守り方を受け入れるとは思いません。
「殿下、落ち着いてくださいませ。カトリーヌお姉様はそんなこと許しません」
「カトリーヌの了承は得ているよ」
嘘でしょ?
カトリーヌお姉様が認めるほど切羽詰まった状況ですの?
もしかしてお互い、恋ゆえの暴走ですの?
愛しい人の願いは叶えたい気持ちはよくわかります。
でも、申しわけありませんがお二人だけは恋に狂って、冷静に判断できないことを許される立場ではありません。
「ありえませんわ」
「本当だよ。レティ、私のこと嫌いじゃないよね?」
魔力のない設定でも私には高貴な血が流れています。魔力がない私と殿下の子供なら、子供には殿下の属性が遺伝します。ルーン公爵令嬢は行方不明で、身分を偽り生きている私は隠れて子供を産むには最適な駒ということでしょうか…?
恋に狂えば人の思考はおかしくなるので、殿下のお考えはわかりません。
かつての誰にも声が届かない冷たい部屋でのことが頭をよぎり、体が震えそうになります。
「臣下としては尊敬してますわ。クロも大事な友人です」
「私への想いはない?」
かすれた、ひどい声で話した私を殿下は探るような瞳の色で見つめています。
冷静にならないといけません。感情的になってはいけません。
令嬢の仮面を被らないといけないのに、うまく笑えません。
辛い時こそ笑顔で乗り切らないといけないと教育を受けてきましたのに。いつも助けてくれるリオの顔が脳裏に浮かびます。駄目です。今は甘える時ではありません。
「殿下の幸せをお祈りしていますわ。ですが私の心はリオだけです」
恋に狂っていても王太子夫妻に命じられるなら断れません。
断れば不敬罪になり、ルーン公爵家にもリオやリアム達にも迷惑がかかります。
臣下がどんなに反対しようと陛下と王太子夫妻の命であれば逆らえませんわ。
王族の命を断った者に、明るい未来はありません。
15歳で死ぬはずだった私がこんなに幸せに生きられただけでも奇跡ですわ。
多くを望んではいけません。
言わないといけない言葉はわかっています。
「もしも殿下が臣下として身を捧げよと命じるなら従います」
震えそうな唇はきちんと言葉を紡げました。他にも言わないといけない言葉や取るべき行動はわかっていますが、胸が痛い。
「殿下、いい加減にしてください。俺はシアを渡しません」
リオの声がしました。
幻聴?
でもこの抱き寄せられる腕の安心感は本物ですわ。
だめです。ほっとしている場合ではありません。
「リオ、不敬」
「シア、黙って」
「殿下お許しください。私は」
リオの手に口をふさがれます。力が強くて離れません。
「息は鼻でもできるだろう。殿下はこんな顔をシアにさせるために来られたんですか?権力で手に入れ、シアの心を殺して、側に置いて満足されるんですか?」
「ごめん。レティ。権力を使うつもりはないよ。今日はこれで。リアムに謝っておいて。また来るよ」
リオの手が離れたので、深く頭を下げます。
リオの言葉は不敬です。殿下の一言で今の私達の首など簡単に飛びます。
「殿下、リオが申し訳ありません。どうかお慈悲を」
「マールを罰したりしないから安心して。またね」
殿下は嘘はつきません。
リオが罪に問われないならよかったですわ。
これ以上殿下の機嫌を損なわないように、無理矢理口角を上げて淑女の笑顔を作ります。
「はい。お気をつけて、おかえりください」
殿下が去っていきました。
安心したら体が震え、足の力が抜けた腰をリオの腕が支え、強い力で抱きしめられました。
一番安心できる場所に甘えたくてもいけません。
やっぱり逃げては駄目でした。
「りお、殿下本気、ルーン公爵令嬢の務め、」
「殿下はそんなことしないよ」
「不敬罪」
「シア、落ち着いて」
やはり私の血が必要なのでしょうか。
私は殿下の婚約者になるのは運命なのでしょうか…。
「でも、カトリーヌお姉様も了承なさって、後継者は作らないと、臣下として、」
「絶対にシアにそんなことはさせないから」
リオやルーン、マールにも迷惑がかかります。もしかしたらリアム達も。
リオに支えられなくても立てるように体に力を入れます。
「俺から離れないで。シアが国のために犠牲になるなんて許さない。もう絶対に離さないって言っただろ?」
「一緒にいたい。でも私のわがままで、やっぱりだめなのかな」
我慢していた涙が堪えきれず溢れ出ました。
泣いている場合ではありませんのに、涙をリオの指で拭われます。
両頬に添えられたリオの手に自分の手を重ねます。
かつて恋しくて堪らなかったこの温もりを離したくない。
「シア、俺が守るよ。俺はシアがいないと生きていけない。リアム達にもシアが必要だ。わかった。この国を出よう」
リオの言葉に胸の痛みが和らいでいきます。リオの言葉に頷きたいです。でも…。
「ルーン公爵家に迷惑が」
「ルーン公爵家の心配はいらない。叔父上もエドワードも優秀だ。ルーンは王家が相手でも後れをとったりしない。シアが姿を消した時もルーンは真っ先に動き、ルーンにとって優位に進めた。叔父上もエドワードもいつもシアの味方だ。俺は叔父上がシアの幸せを望んでいるのをよく知っている。無理にシアを王家に嫁がせるなら、ルーンは反乱も辞さないだろう。特にエドワードと叔母上は」
お母様はわかりませんが、今のエディなら否定できません。
お父様もエディに敵わないことがあります。
反乱は困ります。私が姿を消しても、エディ達が穏便に収めてくれる気がしてきました。
「一人で姿を消そうとか二度とするなよ」
「でもまだ幼い二人には」
「俺が守るよ。シアも強くなったし、フウタとディーネもいる。俺だってあの頃より強くなった。シアが一人でいなくなるなんて許さない」
「リオ?」
「約束しただろ。王妃になりそうなら一緒に逃げようって」
「いいのでしょうか?また逃げて」
「シア以外にも令嬢はたくさんいる。未婚、純潔、多産な血統、純血、混血、殿下は選びたい放題だ。シアがいなくても国は滅びない。もしも、たった一人の存在が国の命運を握る国があるなら滅びたほうがいい」
殿下達が恋に狂っておかしくなっているなら、距離を置いたほうがいいかもしてません。
「殿下の妃候補はたくさんいるけど、俺の妻とリアムとティアの母親はシア一人だけだ。俺にもリアムとティアにもシアが必要だ。もしも殿下が不敬罪で罰するなら、俺は無罪を勝ち取る自信もある。貴族に戻りたいなら慌ただしいが安定した生活を送らせられるよ。シアの望む穏便な逃亡生活の実現も簡単だ。エドワード達がうるさいから、また気が向いたら帰ってこよう。シアの世界名物食べ尽くしの旅もまだ途中だったろ?」
ニヤリと笑ったリオに涙を舐め取られました。
「くすぐったいです。ディーネの真似はやめてください。覚えていましたの?」
悪戯に成功したリアムとそっくりな顔でリオが笑っています。本当によく似てます。
「涙止まったな。泣いてるシアを愛でるのも魅力的だけど、後でな。シアの願いは全部覚えているし、叶えるよ」
リオの笑顔は不思議です。なぜかリオと一緒ならなんとかなる気がします。
「リオの許容範囲内で?」
「そう。ようやく覚えられたか。俺が傍にいることは大前提。ここにいると邪魔が入るし、俺達だけの生活が恋しい。リアム達の見聞を広めるいい機会かもしれないな」
ふざけているリオの言葉が嬉しいです。
いいのでしょうか。傍にいたいです。離れたくありません。
リオが大丈夫と言っていますが、もしリオが裁かれるならルーン公爵令嬢として首を差し出します。私が脅したことにして、許してもらいましょう。首ではなく、身を差し出せと言われれば覚悟を決めましょう。
でも許されるなら、それまでは傍にいるのを許してください。
「リオがいなくなったら伯母様達が寂しがりますわ」
「シアとリアム達がいない方が寂しがりそうだけどな。今回はたまには手紙を出そうか。セリアに映像魔石をいくつか貰っていくか」
「わかりました。ティアが付いてきてくれますかね?」
「俺よりエイベルの方が好きな現実を受け入れられない。ティアは好奇心旺盛だから冒険を喜ぶんじゃないか?」
殿下を追いかけてきたエイベルをティアが見つけて抱きついてましたものね。
殿下はすでに王宮に帰られていましたが。リオがコテンパンにした、ボロボロのエイベルもティアには格好よく映ったようで、恋は盲目ですわね。
でも確かに昔なら倒れて動かなかったのに、回復薬を飲んで立ち上がり、二人に捕まる前に逃げた素早さはまさしく風使いでしたわ。
「近衛騎士試験に一発で合格できるほどエイベルも立派になりましたもの」
「シアまでエイベルなの?」
「エイベルの成長は認めますが私の特別はリオだけですわ」
「あざとい」
リオの顔が近付き唇が重なりました。冷たかった体はいつの間にか温かくなり、震えも止まっています。
力を入れなくても、立っていられます。
私にはやっぱりリオだけですわ。
もしものことは頭の片隅に置いておきましょう。
リオの瞳が甘くなりましたが、胸を押してリオの腕から抜け出します。
「シア!?」
リアム達のところに行きましょう。
方針が決まりましたので、甘い声で呼ばれても振り向きません。
「母様、クロは?」
「急用で帰りました」
「遊びたかったのに!!」
拗ねてるリアムとディーネと遊んでいるティアに笑いかけます。
「リアム、ティア、冒険しませんか?」
「冒険?」
「色んな国に行って綺麗なものを見て、美味しいものを食べますの」
リアムとティアの目が大きくなり、キラキラと輝きました。
「父様は?」
「一緒ですよ」
「エイベルも?」
「エイベルは一緒に行けません。素敵なレディになってエイベルを魅了しませんか?」
「うん、ティア、頑張る。エイベルのちょうあいもらうの」
「皆に行ってきますのお手紙を書きましょう。お手伝いしてくれますか?」
「「うん!」」
私も支度をしましょう。
皆にお手紙を書き終え、セリアを訪ねました。
「珍しい、うん、出かけるのね。これ持ってって、冒険に役立つ自信作よ。使い方は見ればわかるわ」
パチンとウィンクするセリア。
「わかりませんよ。大事な説明を省かないでくださいませ」
セリアがマジック袋に色んな道具を詰めています。
セリアの作品は物騒な道具も多いので、きちんと説明を聞かないと危険です。
「俺が確認するよ」
リオが道具を見ながら、セリアに質問しているので任せましょう。
「リアムとティアにはこれをあげるわ」
セリアが新しいローブと色違いのポシェットを二人に渡していますが、危険物はありませんよね!?
「新しいローブ!!セリアありがとう!!」
「いっぱい入ってるね。ありがとう」
「今回はローブもポシェットも伸縮自在よ。大きくなっても着られるわよ」
「可愛い!!いっぱい着るね!!」
セリアにローブをもらったティアがニコニコと着替えています。
私にはティアが着ているローブとの違いがわかりませんが、そのローブに着替える意味はありますか?
「レティの分もあるわ。身長はもう伸びなさそうだけど、新作だから感想聞かせて」
「ありがとうございます。お手紙を書きますね」
「これあげるわ」
セリアに渡された小さな袋の中には大量の映像魔石がありました。
「お代はいらないから、私とエドワード様とロキに最低月に1個は映像魔石でメッセージを送ってね。成長記録を見逃したくないわ。魔石は私が補充できるようになっているから、いくらでもあげるから遠慮なく使って」
「お金払いますし、補充はいりません。月に1個はちょっと…」
「たぶん追いかけてくるんじゃないかしら」
「シア、受け取ったほうがいい物だから、甘えようか。たぶん」
苦笑するリオの様子にセリアとエディ達とで取引がすでに行われている気がしましたが、これ以上は考えるのはやめましょう。世の中は知らない方がいいことに満ちていますから。
「できるだけ頑張ります。うん。ですから、ロキ達には危ないから来ないでってセリアは絶対に言ってくれませんね。追いかけてこないなら、きちんと定期報告するって伝えてくださいませ」
セリアに見送られ、ロキやステラが追いかけてこないように手紙は出国後に届くように手配しました。
久々の冒険が楽しみですわ。
行程は最高クラスの冒険者のリオに任せましょう。
きっとリアムとティアの目が輝くような計画を立てくれますわ。
村での生活はお友達やエディ達が会いに来てくれたので寂しくはないですが、不自由はかけていましたものね。
リアム達に乗馬を教えておいてよかったですわ。砂漠越えはまだ難しいので砂の国はまたいつか行きましょう。
殿下、ごめんなさい。
生前のレティシアは殿下に差し上げますので、今世は自由にさせてください。
お力になれないことは心苦しいですが殿下とカトリーヌお姉様の幸せを願っております。
旅先から多産のアイテムでも贈りましょうかね。検問にひっかかり届かないのでやめたほうがいいですね。
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