じゃあパパでいいよ。

吉井春樹

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06さみしい。

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「食べたくない!」

大好きなはずのバナナなのに、

なんだか御機嫌ナナメなムスメ。



「なんで食べたくないの?」

ときいてみても、だんまり。



「遊びたくない!」

お気に入りの人形たちを前に、

ふれることもせずに、じっと。




「なんで遊びたくないの?」

ときいてみても、やっぱり、だんまり。



しばらく、待っていると、

「・・・ママがいなくてさみしい」

お出かけしてママいないときに、

はじめて「さみしい」とムスメが言いました。



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嫌の根っこには、好きがある。必ず。

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大人になってから気づいたのですが、
僕自身、ものすごーく寂しがり屋です。

親にも友達にも誰に対しても、
「寂しい」だなんて言ったことは、
多分、一度もありませんでした。

僕みたいに、「寂しい」はずなのに、
「寂しい」にふたをしたままの人も、
多くいるのかもしれませんね。

そんな自分でもあったので、
「さみしい」と言ってもらえるのを
イヤじゃなく受けとれてしまいます。

もちろん、さみしく感じないことが
いちばんいいんだろうな、
という想いはありながらも、
「さみしい」と言ってもらえるくらい
ココロを許してくれたと嬉しくも感じます。


さみしさを感じないように満たしたいと願いながらも
さみしくなったらガマンしないでいてほしいし、
自分も素直に伝えつづけていきたいと思う今日です。

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