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第一章

ホラーじゃありません。

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あれから屋敷の中の雰囲気は暗かった。
みんな何やかんやで期待していたのだろう。

「まぁ何だ、ダメとわかってたことだろ。むしろ王子様が来てくださるなんて栄誉あることじゃないか。」

テューリお兄様も私のことを励まそうとする位だった。
まぁ私も勘違いしちゃった位だ、仕方あるまい。

セレナ様からもまた後日お話をしようと連絡がきた。

おそらくセレナ様は取り巻きのせいで性格が歪んでしまったのではないかと思う、多分だけど。

そして悔しい所ではあるが、私が今すべきはモブやリタ姉様への対応ではない。

本来のジュリアがどこまでこの状況に我慢してたのかはわからないが、ある程度は仕方ないのだろう。

下手に言い返したりして、本編の学校ライフに影響がある方が困る。

王子様とセレナ様の婚約の件も私が動かない方がスムーズにいったのかもしれない。

ぶつかったのが私じゃなくて、セレナ様という可能性もある。

モブがセレナ様に悪い影響を与えない程度に見守る位が丁度良いのかもしれない。

そうだ、私もモブなのだ。モブがどう動いたって、世界は変わらないし、変えられない。

流れに身を任せていく方がいいのかもしれない。
夢みた異世界転生みたいにセレナ様だって変えれるのか。

まぁ、本当に変えれなくてセレナ様がギャフンされても私に影響はないし。それこそ卒業後は逆にストーリーから外れるだろうから、自由に色々やるために今は適当にこの令嬢に甘んじていいのじゃないかな。

そんな将来は何をして稼ごうか等と考えてる内に眠ってしまった。


次の日の朝、起きても中々サラが来なかった。
珍しいこともあるもんだ、まぁ自分である程度の身支度は出来るから良いんだけど。

いつもの流れで食堂に行くも誰もいない。
そういえば、屋敷の中も妙に静かだ。

私が時間を見間違えて実は早朝とか。変な時間に寝ちゃったし。
そんなことを考えるも嫌な予感がしてしまう。

「だ、誰がいないのー?」

静かな廊下に話かけてみるも、誰も答えてくれない。
これではホラーではないか。ホラーは求めてませんよ。

憧れてた西洋のお屋敷も、人がいないと日が出てもホラーだ。
これはあれだ、一旦外に出よう。日本の昔話は外に出ても救いがない話もあるが、大体西洋のホラーなら屋敷の中で色々起こるからね。

いや、この世界はホラーじゃないけどね。念のためにね。

すると、玄関に向かう途中にある待合室の椅子に人が座っているが見えた。
あの後ろ姿はリタ姉様だ。こんな状況だとありがたく思えてくる。小走りで近づきながら声をかける。

「リタお姉様、何か待たれてるのですか?」

返事はない。いつも私がスルーしてるから仕返しなのか。
何もこんな時にスルーしなくてもいいじゃない。

「リタお姉……様……」

リタお姉様の正面に回ると、

明らかにお腹に………………って…………まみれて…………

明らかに瞳孔が開いてるリタ姉様と目があった。

初めて見た衝撃的なリタ姉様の姿をみて、私は意識を失った。
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