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第三章
効率って多少は考えないとね。
しおりを挟む結果、私は先に隣国へ行く方のグループになった。
予想に反してメアリーとは同じグループだ。
これはセレナとメアリーのシーンは回避出来たということだろうか。
ショタ先生から隣国での注意事項等の説明があり、グループごとに隣国の勉強と自国の説明をまとめることになった。
「では、こちらのグループは隣国の特徴をまとめていこうかしら。」
メアリーの指示の元に文化や歴史などを調べる人の振り分けが行われた。
「私は食文化についてか。」
ネットがあればパパッと調べれたのだが、ここでは図書館や人に聞くしか調べる手段はない。
図書館に向かおうとするとニーナに話しかけられた。
「ジュリア、一緒に調べない?二人で調べた方が効率が良いだろうし……」
私は昔からこの二人で調べたら効率がいい理論がよくわかっていない。二人で別のものを調べるのだから結局同じ時間がかかるのではないのか。
「あー、ごめん。私は一人で十分かな。」
「そっか……わかった。」
ニーナを含めモブ三人組は中等部の時以来、あまりセレナに呼ばれてないらしい。
その辺りからも小説とは違う未来だと思うので少し安心はしていた。
なのでニーナには悪いが、あまり関わりたくないのもあった。
図書館でまずは隣国についての本から探す。
というか、図書館自体入ったのは初めてだ。
テストの時から思っていたが、この国は挿し絵の文化すらない。隣国の食べ物について記載のある本は見つけれたが、絵も写真もないので全く想像がつかない。
「魚を焼かずに切る。稲のものをあえたのにのせる。ってお寿司っぽい気もするけれど……」
小説の作者が考えてた隣国のイメージが日本ならあり得るのか?
食べ物に関しては、知ってる人とかを探した方が早いかなぁ。
「わー、可愛い!」
「これが本に書いてる服?」
「……読んだままだから、あってるかはわからないけど。」
盛り上がってる声が聞こえてきたので覗きに行くと、アルベルトとクラスの女の子達が喋っていた。
「アルベルトって本当に絵が上手よね。」
「なんなら私も書いて欲しいなぁ。」
おぉー、さすがアルベルト。人気があるんだなぁ。
「……人は書かない。」
「たまには良いと思うけど。」
「そうそう、息抜きにさ!」
絡む女の子達にアルベルトが文句を言おうとしてたが、つい先に私が入ってしまった。
「うわっこの絵のデザインすごいね。ドレスとはまた違った感じで可愛いー。」
「え、何、急に。」
「やー、食文化調べてたんだけど、文字からじゃピンと来なくてね。良ければアルベルトに絵で書いて貰えないかなー、なんて。」
「はぁ、アルベルトが書くわけないでしょ。」
「ジュリアだっけ?セレナとメアリーと仲が良いからって自分も何かあるって勘違いしてない?」
ううむ、一難去ってまた一難。他のクラスメイトにこんな煽りを受けるとは思ってなかったのでびっくりだ。
面倒になり、アルベルトに謝ろうとすると逆にアルベルトが立ち上がり、無言で立ち去って行った。
「うーわ、あんたのせいでアルベルト怒ったじゃない。」
「本当に、いい感じだったのに最悪。」
女の子にもディスられてしまった。
アルベルトを追って二人も去っていった。
あんまり無駄に顔を突っ込みすぎるのもよくないなと思いつつ、再び食文化について調べようと元の本棚に戻ることにした。
あらかた料理をメモしてわかったこと。これはやはり日本食が中心ということ。
寿司、肉じゃが、団子……等、説明はややこしいがそれは材料の違いでそう見えてる部分もあるのかもしれない。
隣国では久々に日本食が食べれると思うと、やはり懐かしく嬉しく思えた。
まぁ例え戻れたとしても戻る気はないけどね。こういう料理とか懐かしいものは懐かしい。
アルベルトが書いてた服の絵も少し違ったが着物に似ていたデザインだったし、隣国は日本風なのだろう。
ちょっと故郷に帰る気分で、交換留学が楽しみになった。
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