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第三章

机に伏せて寝ると型がつく。

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教室に着くもセレナの姿はなかった。
探しに行こうとするが授業が始まり、セレナは体調を崩して早退したと言われた。

授業が終わり、急いでセレナの寮の部屋に向かった。

「セレナ、大丈夫?」

ドアをノックして返事を待つ。少しして、セレナがドアを開けてセレナが顔を出す。
泣いていたようで、目が赤くなっていた。

「大丈夫よ。」

「そんな顔には見えないけど、ちょっと話せる?」

部屋を開けて迎え入れてくれた。中に入るとセレナから口を開いてくれた。

「レミジオに対して、あんな態度を取るつもりはなかったのよ。」

「存在無視してたもんね……」

話を聞くと、予想通りレミジオがモテてのヤキモチからの行動だったらしい。
こちらに来ていた留学生は積極的でレミジオに対して「輝いてる人」とみんな夢中になってたようだ。

「私なんて、堕ちてるって言われましたけどね。」

「えぇ、ジュリアまでそんな侮辱をされていたの!」

「ジュリアまでって、まさかセレナも言われたの?」

「私ではないのだけど、事件の事を先生から伝えられた時に、留学生の方達がニーナのことを堕ちてたと……」

「えっと、こっち側にはヒミコっていう視える人がいたんだけど……そんな人がいたってこと……?」

「詳しくはわからないけど……それで私が怒って注意したらレミジオは文化の違いだからと……でもニーナが不憫で……」

なるほど、単なるヤキモチだけでなく、ニーナへの気持ちもあったのか。

しかしレミジオも真っ直ぐな性格だから、セレナの言うとおり留学生がニーナを侮辱するようなことを言ってたら怒りそうな気もする。

またレミジオの方にも話を聞いてみようと思い、今日はセレナの話に付き合うことにした。



次の日、早めに教室に行くとレミジオがすでに来ていた。早く来てるのは知っていたが、一番に来ていたようで他にはまだ誰も来ていない。

「おはよう、ジュリア」

「おはよう、早いね。」

「あぁ、普段からあまり寝る習慣がなくてね。今日は特に、花を変えてあげようと思ってね。」

ニーナの机には花が飾ってあった。どうやらレミジオが置いてくれてたようだ。

「ありがとう、ニーナも喜んでるよ。」

「そうだといいな……アルベルトも、気づいてやれなかったしね。」

「……それはレミジオの責任じゃないよ。」

「……」

レミジオが何か言おうとしたが、ドアが開くのを見て口を閉じてしまった。

「おはよー。あれ、ジュリア珍しく早いじゃん。」

「ジュリオこそ、いつも遅刻ギリギリの癖に今日に限って早いのね。」

「いやー、ジュリアがフラれるのが見れる気がしてね。」

ジュリオを無視してレミジオに話の続きを聞きたかったが、授業の準備をする為に教室から出ていってしまった。

「……で、レミジオから何か聞けたの?」

「え?」

「ジュリアもレミジオと話をしようとして、早く来たんだろ?まさか本当に告白でもしてたとか。」

「そんな訳ないでしょ。話って言ってもアルベルトとニーナに申し訳ないなって感じの話でジュリオが来たから、何も重要なことは話してないよ。」

「そっか……じゃ、俺はちょっと寝るから授業始まったら起こしてよ。」

そういうとジュリオは机に伏せて眠ってしまった。

「え、早く来たのに寝るの。」

「だって誰かのせいでレミジオと話出来なかったからねー。」

自分だったらもっと話出来てたってか。
授業が始まっても起こさずに放置することにした。

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