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第三章

便利さは無くて初めて気づく。

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保健室に入るとセレナがベッドで眠っている姿が目に入った。

「セレナ、大丈夫なんですか?」

「ベッドに横になったらすんなり眠ってくれたよ。色々あって疲れたんだろう。」

そう言いきるとレミジオとアマデオは教室に戻っていった。

「疲れてるって、そんな感じじゃなかったけど……」

メアリーは心配そうにセレナの顔を覗き込む。
調べようとは思うが、悪魔のことをメアリーに聞いてみるか。

「ねぇ、メアリーは悪魔の存在って何か知ってる?」

「……悪魔は悪魔よね?色々国によって呼び方は違うようだけど。ジュリアもこの前巻き込まれて大変だったじゃない。」

「や、そうなんだけど、何て言うのかな。この国では悪魔は人を殺さないって言ってたのが気になって、何か知らないかなぁって。」

「人は殺さないでしょう、ほら、悪魔の囁きって言うでしょ?色々嫌なことを言ってくるみたいよ。」

「みたいよって事は誰か悪魔と会ったことある人を知ってるの?」

「噂話よ。よくあるホラー話の定番ね。」

「あぁ、そっか。」

「私はあまり信じてないけど……セレナがそうだと思ってるの?」

「うーん……可能性はあるんじゃないかなって。」

私も悪魔や幽霊は信じてはいなかったけど、実際あるのであれば否定しても始まらない。
まず、私がこうやって異世界にいる時点で非現実的なことは起こっているし。

「セイメイに聞いてみようかしら……?」

少し頬を赤らめながらメアリーが呟くように言う。
確かにセイメイなら適任だし、レミジオの牽制にも繋がり一石二鳥だ。何よりこのままセレナを放っておくわけにはいかない。

メアリーに手紙を書いて貰い、早馬で届けて貰うことにした。
手続きをし、保健室に戻るとセレナは目を覚ましていた。

「セレナ、起きたのね。大丈夫?」

「……私、どうしたのかしら?」

少しぼやっとしているが、正気には戻ったようだ。

「突然気を失って倒れたのよ。びっくりしちゃった。」

話すべきか悩んだが、メアリーと目で合図をし、屋上へ行ったことや悪魔の可能性は話さないようにした。

「あら、ごめんなさいね。迷惑かけてしまって……」

「ううん、迷惑だなんて。無事目が覚めて良かったよ。」

朝方の変なハイテンションでもない雰囲気だ。
本当に情緒が不安定で心配してしまう。
しばらく一人にしない方が良いだろうけど、どうしようかと考えていると、教室に戻ったと思っていたレミジオが戻ってきた。

「セレナ、目が覚めたんだね。」

「まぁ、レミジオまで……本当に迷惑かけてしまって……」

レミジオに会った記憶もないのだろうか、それともその前から?
起こった出来事というよりかは、自分が倒れてレミジオに来させてしまったことに迷惑をかけたというニュアンスが強い。

「僕は平気だよ。でも、セレナが良ければ少し学校を休んでも良いんじゃないかと思ってね。長期休暇もすぐだから成績にも君なら影響はないだろうしね。」

「ちょ、レミジオ、急にそんな……」

確かにセレナの家なら誰かしら使用人はいるだろうから、学校よりかは目はあるが、唐突じゃないか。

「先生にはセレナが望むなら問題ないって言われたよ。僕もセレナが心配なんだ。」

レミジオはセレナの手を握り、セレナが頷いて、セレナが自宅に帰るのが決まった。
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