スライムスレイヤーZ! スライムに転生して俺Tueeeとかやってる馬鹿が影で支配する世界を僕はブチ壊す。

MITT

文字の大きさ
10 / 29

第四話「巣食うモノ、狩るモノ」PART2

しおりを挟む
「ふむ……存外、冷静なようだが……殺意が漏れ出しているぞ……少しは楽しませてくれそうじゃないか! 来るがいい……小僧! 貴様の本気を見せてみろっ!」

「……舐めるなぁああああっ!」

 サトルは長めのショートソードを抜くと立て続けの連撃を加える。
 ベルクリアは折れた剣を使って、その連撃を巧みにさばいていく。

 ナイフの刺さっていたところからは湯気が出ているのだが、浅かったらしく全く堪えている様子がない。
 その鱗状の装甲も伊達ではなく、サトルの渾身の一撃すらも素手で受け止められてしまう!

「……こんな甘い太刀筋では私には届かんぞ? どれ、お手本をみせてやろう! 剣とはこう振るうのだっ!」

 一瞬で間合いを詰めると、恐ろしく鋭い太刀筋で襲いかかるベルクリア!

 ……逆にサトルが圧倒され始め、防戦一方になる!

「どうした! どうした! 威勢が良かった割には大したことないな……パワーもスピードもなかなかのものだが、技のキレがないっ! この程度で我らに戦いを挑もうなど片腹痛いわ! そらっ! 隙だらけだっ!」

 サトルの剣が弾かれて、宙を舞い……サトルも思わず、膝をつく。

「やれやれ……さすがに手強いな……こりゃ僕一人じゃ無理だな」

 どう見てもピンチ……のはずなのだが、サトルにはどこか余裕があった。
 剣を拾いに行くでもなく、新たな装備を構えるでもなく、どこか泰然とした様子で無防備に膝まづいていた。

「何だ貴様……もう諦めるのか? 拍子抜けもいいところではないか!」

 ベルクリアは、折れた刀を捨てるとサトルの剣を拾い上げて、突きつける。

「いやいや、諦めるとか論外だよ? と言うか、無警戒に敵の武器を拾い上げるとか、何かあるとか思わないのかい? 何やら達人気取りのようだけど、所詮はスライム……浅はかなものだな」

「な、なにっ! おのれっ! 罠かっ!」

 そう言って、サトルの剣を投げ捨て、後退し距離を取るベルクリア……実はハッタリなのだが、サトルとしてはベルクリアの位置が重要だった。

「こちら……レイン、やっと射線が通りました! 撃ち方ー! 始めーッ!」

 サトルの兜に内蔵された通信具にレイン声が飛び込んて来た。

「罠……そうだね。まさに罠だな……あっさりかかってくれて助かったよ!」

 ……ベルクリアは本人も気付かぬうちに、窓を背にしたところへ誘導されていた……その背後には一際大きな鐘楼が見えた!

 鐘楼の中で爆発音と共に白煙が立ち上る! 一拍置いて、2m近い長槍が床に突き刺さり、窓を背にしたベルクリアにも同じものがドカドカと突き刺さる!

 1発は逸れて、2発はベルクリアを完全に射抜き、もう一発が肩口をかすめる。

 並の人間なら、一撃で即死する致命傷なのだが……戦闘用スライムは床に縫い付けられながらも立っていた。

「ぐはっ! な、なんだこれは……この威力……た、対人用ではないな……まさか攻城兵器かっ! そんなものを持ち込んでいたのか! おのれっ! なんて奴らだっ! ……だがっ! この程度では屈せぬっ!」

 ベルクリアは自らに突き刺さった槍を引き抜くと、鐘楼へ投げ返す!
 槍が鐘楼の壁に突き刺さると、その部分が大きく崩れる。

 大きな箱型の物が崩落に巻き込まれて、地面へと落下していくと、小さな人影が崩れかけた窓の奥でピョコピョコと引っ込むのが見える……。

 火薬式バリスタ……本来、攻城用に用いるような兵器なのだが……支援部隊のアメリアが、喜々として自ら開発した試作品を持ち出してきて、なし崩し的に実戦投入となった。

 槍の柄には、後方へ向かって細かい棘が生えていて、対スライム用の毒が塗られている。
 ……動けば動くほど、体組織が破壊されて行く上に、床や地面に縫い付けてしまえば、逃れることもかなわない……。
 並のスライムなら、この時点でどうする事も出来ない、実に悪辣な兵器だった。

 ちなみに、この火薬式バリスタ……実は基底部の強度不足で一発撃つと底が吹き飛んで使い物にならなくなる問題があって放置されていたのだけど、現代兵器の知識も持つサトルの助言で、基底部に粘土を詰め込むことで、威力は落ちるものの反動がほとんど起きない使い勝手の良い兵器となった。

 その上、レイン達の使った据え置きタイプは4本束ねることで連続発射を可能としており、極めて強力な兵器となっていた。
 サトル達はこれを、変異スライム戦の切り札として使う事にしたのだった。

 サトルがスライムたちの注意を引いて、窓際へ誘導……レインとアメリアが射手として、バリスタによる狙撃で仕留める……それが本来の作戦プランだったのだが。

 ベルクリアは想定以上の化物だった……。

「おいおい……バリスタの直撃まともに食らって、死なないのか……対スライム毒ももっと研究、強化しないと駄目だな。お前らのような強化体にはほとんど効果ない……うん、貴重な実戦データだな」

 槍を二本も受けても、遠く離れた鐘楼まで槍を飛ばす膂力……そして、未だ衰えぬその戦闘力。
 さしものサトルも焦りは隠せなかった。

「くはは……そうでもないぞ……結構、効いたぞ……我が装甲を貫くとはな……しかも、傷が一向に治らん……まったく、恐ろしいものを作り出したものだな……人間も侮れん」

 そう言って、もう一本の突き刺さった槍を素手でへし折るとゆっくりと抜いていく……肩口に当たったものは肩周りをゴッソリえぐっており、左腕の自由をほぼ奪っていた。

 レイン達は恐らく無事だと思われたが、これ以上の支援は期待出来そうもなかった。

(竜化して一気にケリを付けるべきか……いや、この街にはまだまだスライムが多数残っている。こいつを倒して、終わりという訳にはいかないかもしれない)

 ……サトルとしても判断に迷うところだった。

「どうした? もう手札が尽きたのか……他愛もないな! 戦いはまだまだ、これからだろうっ!」

 手持ちの装備を見直してみる……ナイフはあの装甲には効果が薄い……ショートソードは位置的に回収は難しい。

 何より、剣に関してはベルクリアは、達人レベル……素体にされた隊長自身、元々剣の達人だったのかもしれない。

 基本的に、炎龍人の身体能力頼みで剣の素人のサトルでは、まともにやりあったのでは分が悪いのは明らかだった。

 バリスタ狙撃で、ダメージを与え、片腕を封じた今なら、力押しで行けるかもしれないが……。
 その構えに隙はなく……迂闊に手を出すと、危ういと言うことを本能レベルで理解する。

 そんな風に攻めかねて迷っていると、サトルの視界の端で素早く影が動いたっ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...