スライムスレイヤーZ! スライムに転生して俺Tueeeとかやってる馬鹿が影で支配する世界を僕はブチ壊す。

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第四話「巣食うモノ、狩るモノ」PART3

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「助太刀するぞ! そこだぁああああっ!」

 戒めを自力で解き、両手剣を構えたミリアだった!

 彼女は手にしたマントを投げつけながら、片手だけで大振りの大剣を逆袈裟に切り上げる! 
 さしものベルクリアも不意打ちの上、マントで視界を塞がれた結果、為す術もなくその一撃を食らうこととなった。

 ……硬い金属音を立てて、千切れかけていたベルクリアの左腕が宙を舞い、大きく姿勢を崩す!

 好機と見たサトルはその隙を逃さず、床に突き刺さっていたバリスタの槍を拾い上げると、天井近くまで飛び上がって全体重と全パワーを乗せた渾身の一撃をベルクリアの頭部めがけて叩き込む!

「グガァアアアアッ!」

 絶叫と共に頭部に槍を受けたベルクリアがめちゃくちゃに殴打するのに構わず、サトルはそのままベルクリアを蹴り倒すと、更にもうひと押しを加えて、槍を床に突き刺す!

 マントに包まれ、頭を床に縫い付けられたまま、デタラメに暴れ狂うベルクリア。
 恐らくコアに槍が刺さったか、槍の柄に塗られていた毒がコアに到達したらしかった……こうなれば、もう強化スライムも形無しだった。

 サトルは、少し離れながら無言で懐から小瓶を取り出し、その蓋を開け中身をぶち撒けると、続けて指先から小さな火の玉を打ち出す。

 たちまちマント諸共ベルクリアは業火に包まれる。
 炎はみるま床や天井に燃え移ると、辺りは一気に炎上し始める。

 物理攻撃に強い耐性を持つスライム共通の弱点、それは高熱だった……高熱にさらされると体組織が変質し、やがて沸騰して死ぬ。

 もっとも、そんな体液を沸騰させるほどの高熱……人間も耐えられる物ではないのだが……打撃や斬撃、刺突……いずれにも高い防御力を誇り、雷撃や低温にも耐性がある……そんな厄介な生物の唯一と言って弱点だった。

 こうなると、さすがにもう終わりだった……まさに生きながらの火葬だった。
 下手に生命力が強いぶん、長い時間火に炙られ地獄の責め苦を味わうことになるだろうが……サトルの知ったことではなかった。

「いや、ミリアさん助かったよ……助太刀に感謝する」

 そう言って、サトルも兜を脱ぐとマクミリアに笑いかける。

「……サトル殿、すまない……手枷がなかなか解けなかったんだ……無理やり手枷を外したせいで、左肩の関節が外れてしまったが……この程度、どってことないさ」

 力任せに手枷を破壊したらしく、左手首からも流血しており、酷い有様だった。
 余裕がなく、手助けもままならなかったが、無茶を承知で自力で縛めを解いて、助太刀してくれたのだ。
 ここは素直に感謝すべきだった。

「ありがとう……と言うか、せっかくマントあげたのにブン投げちゃったのか……なんか……ごめん」

 そう言って、サトルはミリアの方を見ないように目線を逸らす。

 ミリアは……大剣を抱えるようにして、身体を隠そうとはしているものの……衣服を剥ぎ取られた全裸状態な上に、その豊満な胸は隠そうとしても隠しきれるようなものではなく、まったく意味がなかった。

「……構わんさ、ああするのが一番確実だったのだ……と言うか、何よりも先に、ここから逃げた方がいいのではないか? 何を使ったのか知らんが、この燃え方……尋常では無いな」

 ベルクリアは火達磨になりながらもまだ息があって、ビクビクともがいているが、その周囲はもはや手がつけられないくらいに燃え上がっている。

 この町長宅が全焼するのも、もはや時間の問題だった。

「そうだね……こりゃ、ヤバイ……ごめん、外へ出れたらなんとかするから、今だけはその格好で我慢してくれ」

「気にするな! 騎士たるもの裸を見られて恥ずかしいなどと、女々しい事を言っていられるものか! どうせ貴様しか見ていないのだから、私は気にしない……いくぞ!」

 全裸にブーツと大剣を抱えただけという大胆な姿のまま、ミリアが駆け出すのを見て、サトルも苦笑しながら後を追う。

「こちらサトル……ミッションコンプリート……変異種のスライムは始末した! 総員撤収せよっ! 教会で合流しよう! 繰り返すっ! 最大の脅威は排除した! ……あとはもう雑魚だけだから、一度態勢を整えて掃討戦に移る! 奴らを根絶やしにするぞ……以上っ!」

 かくして……サトル達の戦いは終わった。
 そして、これを機に国境の街、オルタンシアからスライムは駆逐される事となる。

 これは、大きな視点から見れば、酷くささやかな勝利だったのだけど。

 スライムの蔓延るこの世界にとっては、すでにスライムに浸透された都市からスライムが完全に駆逐されたのは前代未聞だった。

 この事はとても大きな波紋となる。

 その波紋は至る所に波及し、様々な事柄に波及することになる。

 そして、これはそんな波紋により、もっとも影響を受ける立場にあったもう一方の当事者たちの一場面。

 ーーリ・デジャス・ネウロ帝国。
 今や世界最大の強国となった大帝国。

 この国は、長い歴史を持つ大国の一つではあったのだが……他の列強の台頭に伴い埋没した国となっていた。

 けれども、近年他の列強の衰退、滅亡に伴い、反比例するように歴史の舞台へ浮上してきて、今や随一と言って良い勢力を誇る世界最強国家となっていた。

 ここは、帝国の帝都ネウリア。
 皇帝が住まう帝城ロンドハールの玉座の間。

「……おいおいおい、どういう事よ……オルメキアの浸透計画が破綻したって……ふざけんじゃねぇよ。責任者出せや……聞いてんのかクソがッ!」

 悪趣味な豪奢な衣装に身を包み、寝台に寝そべりながら、その報告を聞いた帝王ガズマイヤーは、目の前で跪く帝国宰相フランネルへ手にした黄金の盃を叩きつけた。

「も、申し訳ありません……第一段階の国境オルタンシアへの浸透計画は順調だったのですが、思わぬ邪魔が入りました。計画責任者だったガスターフ、更に戦闘用レベル3スライムのベルクリアも敵との交戦の末、討ち取られたため、責任者はどちらも死亡という事になります」

「はぁ? ベルクリアってベースに結構な剣豪使った上に、俺様直々に改造した指折りの強化スライムよ? あれが人間に討ち取られるとかありえねぇんだけどさ! なんかの間違いじゃねーの?」

「はぁ……ですが、オルタンシアに浸透していた同志400名も尽く討ち取られ……愛玩種に至るまで、陛下の眷属は完全に駆逐された模様です……もはや、私にもどうなっているのかさっぱり解りません。おまけに、オルメキア国内で一斉にスライムの排除行動が始まり、浸透させた擬態種も愛玩種も揃って壊滅し、もはや監視網も機能していない有様でございます……」

「おいおいおいっ! ざっけんなよっ! 俺の擬態スライムは余程の事でもない限り、バレねぇはずだぞ? しかも、愛玩種まで駆逐って……この愛らしい生き物を虐殺したってのかよ! どうやって!」

「密偵の報告を統合すると、愛玩種スライム用の餌に毒物を混入して流通させたり、ばら撒くと言う手を使ったようですな……スライムを研究して、ピンポイントに狙い撃ちしたと言う事なのでしょうが……明らかに組織的なやり口ですな……それも相当に大規模な……オルメキア一国にしては、手際が良すぎます」

 フランネルの言葉に、それまで怒りの感情を露わにしていたガズマイヤーは、傍らに居た7色のマーブル模様の愛玩スライムを抱きしめると、涙を流し始める。

「このコ達の餌に……ど、毒を混ぜた……だ……と? なんだそりゃ! ヒデェ! ヒドすぎんだろぉ……なんで、そんな残虐な事が出来るんだ! ああっ……皆、さぞ苦しかっただろうに、怖かっただろうに……毒殺なんて、人間のやる事じゃねぇよ! 許せねぇ……許せねぇよなっ!」

 ガズマイヤーの言葉に応えるように、7色スライムがピョンピョンと撥ねながら、ピキーと言うような鳴き声を上げる。

「よし、プルトンちゃん、君の言いたいことは解った! 皆の敵を取らないといけないよね。そうだ……もうめんどくせぇから、あの国潰そう。前々からあの国は要職を魔術師やらエルフ共で固めてて、思ったように浸透出来ねぇし、何かと言うとゴチャゴチャとウザかったからな……ちょっと帝王の本気ってモンを見せてやる! フランネル! まずは軍を集めろ……オルメキアの歴史に終止符を打ってやるのだ! オルタンシアとか言う街は真っ先に侵攻して住民を一人残らず、ブチ殺しだ! ケダモノ王国のバランティアの二の舞いにしてやろる……まずは散っていった同胞の供養のために、住人共の首を俺が一人ひとり引っこ抜いてやる! いやぁ……楽しみだ……カーカッカッ!」

 泣いたと思ったら、怒り狂い、笑う……この男の支離滅裂な感情表現……もはや常軌を逸していた。

 ……この男こそが女神の過ち……帝王ガズマイヤーだった。
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