スライムスレイヤーZ! スライムに転生して俺Tueeeとかやってる馬鹿が影で支配する世界を僕はブチ壊す。

MITT

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閑話「とあるエルフの恋心」

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 そんな訳で……ひとつ仕事を完遂して……私達は無事生還する事が出来た。

 ミリアさん達は報酬として、本当に金貨20枚をポーンとくれた……銀貨換算だと200枚分……宿屋一泊ご飯付きで銀貨一枚でお釣りが来るのを考えると、破格の報酬なんだけど……。
 
 ……ルークはあっちこっち骨折、ファトリもお腹に風穴空くくらいの重傷……どっちも即死してても不思議じゃない状態だった……そんなハイリスクな仕事なんだから、これくらいの見返りはもらっといて損はないよね?
 
 それに死にかけたと言っても、二人共、レインちゃんの冗談みたいに強力な回復魔術で、一見なんともない位には回復はしてる。

 ただ、死にかけたのは事実なので、大事を取って、数日は安静にしてろと言う事で、私達は聖光教会の所有する飛行艇で体のいい軟禁状態になっていた。
 
 私は……と言うと、一人だけ無傷だったので、暇を持て余してる。
 
 軟禁状態と言っても、飛行艇内をブラ付いていても、別にお咎めなし。
 さっきもレインちゃんに捕まって、サトル様の素晴らしさについて延々聞かされて、彼女お手製のクッキーとかもらってしまった。
 
 まぁ、お客さんどころか、すっかり仲間扱い……みたいな感じなんだけど……まぁ、いいか。 

 そもそも、今いるところは雲の上……上空1000mくらいの高さらしい。
 逃げよう思っても、空でも飛べない限り無理な相談。
 甲板の縁から下を見ても真っ暗……空の方が月や星の瞬きでむしろ明るく見えるくらいだった。

 ……意味もなく首から下げたペンダントの青い水晶を弄ぶ。

 いつから持ってたか、もう忘れちゃったけど……肌身離さず身につけている私のお守りのようなものだ。

「うーん、どうしたもんかね」

 思わず、甲板で独りごちていると、隣にくるくる巻き毛のお兄さんがやってくる。
 
「やぁ……こんばんわ……君も風に当たりに来たってとこかい?」

 ……この人、確かサトルとか言う女神の使徒様とか言われてる人だった。
 結構、ハンサムな上に優しそうな笑顔に思わずドキッとしてしてしまう。
 
「あ、はい……えっと、サトル様でしたっけ?」

「様とか勘弁して欲しいな……エルフのサレナさんだよね……すまないね……引き止めてしまって」

「いえいえ……ファトリ、それにルークを助けてもらったんですから……むしろ、感謝してます……あのレインちゃんって娘……凄いですね……私なんて、血を止めるのが精一杯だったのに……」

「うん、彼女は教会でもトップクラスらしいからね……本人が言うには、体が半分になってても即死してなければ助けられるって言ってた……冗談みたいな話だけど、ホントらしい」

 そう言って、サトルさんが笑うと私もつられて笑う。

「ああ、それ聞きましたよ……クッキー割りながら、そんな話するんだもん……正直、参りましたね……クッキーは美味しかったけど」

「……ああ……レインらしいな……でも、あの娘……お菓子作りは美味いんだけど、料理は壊滅的なんだ……意味が解らない」

 ……ホント、意味が解らないんだけど……それ。
 やる事なんて、そう極端には違わないはずなんだけど……そんな風に思いながらも、聞きそびれたことがあった事を思い出す。
 
「で……結局、なんだったんです……あれ? それに、なんか知ってる相手みたいな感じでしたけど」

 そんな風に軽く言ってから、私は少し後悔する……サトルさんがびっくりするくらいの殺気を一瞬放ちながら、鋭い目つきになったのを私は見逃さなかった。

「……知ってる相手か……確かにそうだけど、むしろ、仇だな……。あれもスライムの一種なんだ……とても、そうは見えなかったと思うけどね」

 今見せた殺気がウソのように微笑みながら、サトルさんが応える。

 ……あれがスライム? 冷気を操るスライムなんて聞いたこともない。
 あの触手の動きなんて、一瞬影が見えたと思ったら、ファトリがやられてたような有様で、見切るとかどう見ても無理。
 ルークもたまたま盾と鎧で勢いを削げただけで、相当やばかったらしいし……。

 私が無傷で済んだのは、ミリアさんが私の盾になる位置にたまたま立ってたから……要するに、運が良かったって、ただそれだけ。

 まぁ……この人やミリアさんは、あれを見切ってたみたいだけど。
 冒険者だったら、間違いなくAクラス……いや、下手すればSクラス級かもしれなかった。

 一応、人に成り変わるスライムについては、色々資料や記録映像を見せてもらったのだけど。
 まだ実感がわかなかった……偶然、艇内で会ったエルマと言う旧知のエルフから話を聞かなかったら、今でも信じてなかったと思う。
 
 エルマは……最近見かけないからちょっと心配はしてたんだけど。
 彼女の所属していたパーティは、彼女を残して全滅していた……と言うより、彼女以外の全員がスライム……そう言うことだった。

 彼女も、私達と同じように、ミリアさん達にダンジョンに誘(いざな)われた結果。
 他のパーティメンバー全員がスライム人間だったと判明してしまったのだ。
 
 結局、彼女の仲間達は、全員このサトル様によって正体を暴かれて、その場で駆除されたと言う話だった。
 
 ……エルマはと言うと、むしろ積極的にスライム狩りをすると意気込んでいて、すっかり聖光教会の協力者の一人となっていた。
 
 私達についても、サトル様達からは今後も協力して欲しいと打診されてはいるのだけど。
 正直、迷う所ではあった……と言うか、一介の冒険者が首を突っ込んでいいことだとは、とても思えなかった。
 
「……仇討ち……ですか……エルマも似たような事、言ってたわね」

 とりあえず、無難に返しておいた。
 
 エルマの場合は……大体想像付く……仲間のなんとかって人間の騎士様にえらく熱を上げていて、それなりに上手く行っていたようで、こっちが恥ずかしくなるようなのろけ話をよく聞かされていたのを覚えている。
 
 けど、好きな人がいつのまにか化物に成り代わっていたなんて……そんな事になったら、多分世界が崩壊する。
 
 ……と、そこまで考えて、サトル様の仇が何なのかに思い当たる。
 
 あの時交わしていた断片的な会話も合わせて考えると……身内か恋人か。
 ……あの白い騎士が仇だったのかもしれない。
 
 大好きだった人の姿をした化物と殺し合う……まったくもって、やりきれない話だった。
 ちらりと横目でサトル様を見ると、ちょうどこっちを見つめていたようで、目が合ってニコリと微笑まれる。
 
 ……うっ、なんかドキッとした。
 
「きょ、協力してあげたっていいわよ……ルークとファトリを助けてくれた事だってあるしっ!」

 さっきまで迷ってたんだけど、思わずそんな事を口走っていた。
 まるで、自分の言葉じゃないみたいな……そんな感じだった。

「二人のことを恩に着せるつもりはないよ……むしろ、当たり前の事だしね……助けられてよかったよ」

「それじゃ、私の気が済まないって言ってるの……私だって、冒険者の端くれだし……あんな化け物どもに世の中が支配されてるとか納得できる訳ないじゃない! まぁ、私……エルフだから、世界情勢とか知ったこっちゃないけど。
 それに……そんな身の上話聞かされて、ハイそうですか……って済ませられる訳ないでしょ!」

 と言うか……私が森から出た理由のひとつ……恥ずかしながら、実はいい男探し……だったりする。
 
 同族の男は皆、根暗で弱っちいのばっかなのだ……でも、なかなかこれだってのが居なかった。
 ルークは……良い奴なんだけど……ピンと来ない……まぁ、お友達止まりかなー。
 
 その点、サトル様はかなりの優良物件……聖光教会からはほとんど生き神様扱いだし、性格も温厚で見た目もイケメン……恋人だかを殺されて仇討ちとか、なんか思わず私もグッと来たし、そう言うのを慰めるとかって、乙女心にキュンと来るラブロマンスの典型じゃない?
 
 なにより、女神様の使徒様……そんなのにお近づきになれるなんて、むしろ大チャンスじゃないか!
 
「ありがとう……なら、今後、色々お願いすることになるかもしれないから、よろしく頼むよ!」

 私なりに色々考えていると、サトル様はそう言って、手を差し出してくる。
 私は、両手で彼の手を握るととびっきりの笑顔を浮かべてやった。
 
「ま、任せなさいっ! 私……ちっこいけど、雷撃魔法に癒やしの精霊術……結構、色々出来るから絶対役に立つと思うわ……だから、今後共よろしくねっ!」

 気楽な冒険者稼業も今日までだ……明日から私は女神様の使徒様の忠実なる下僕……と行きたいところだけど、いいとこお手伝いさんから始めましょうって感じかな。
 
 でも、そうなると私もゆくゆくは、使徒様の配下の一人として、後世に名を残すことになるかもしれない……。
 歴代の使徒様は、皆……様々な形で歴史にその偉業を残し、その仲間達も同じように歴史に名を残していた……、
 偉大なる先達達と同じ場所に立つ……そんな風に考えると、自然とワクワクしてくる。

 ルークやファトリに黙って、私だけ決めちゃったけど……二人も一緒にやってくれるかな?
 まぁ、軽く死んでたところを助けられちゃった訳だし、断る理由もないだろう! そう思っとこう!

 冒険者エルフ……サレナ・L・ラファール……頑張りますっ!
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