スライムスレイヤーZ! スライムに転生して俺Tueeeとかやってる馬鹿が影で支配する世界を僕はブチ壊す。

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第七話「宰相フランネル」PART1

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 ーー宰相フランネルは、その日の政務を終え、部下たちを下がらせると、厳かな手つきで水晶球を机の上に置く。
 
 水晶球から空間にいくつもの文書や資料が投影され、フランネル自身にも触手のようなものが接続されていく。
 これはフランネルが独自に構築した情報処理システムだった。
 
 これには、各地の端末要員がインプットした膨大な情報が、集積されるようになっていた。
 
 フランネルは自らの手でその情報の取捨選択を行っていく……これがフランネルの日課だった。
 
 並の人間ではとても処理しきれない程の莫大な情報量なのだが、フランネルは何百匹ものスライムの神経節を束ねた一種のバイオコンピュータのような補助脳を構築しており、その助けを借りることでそれを実現できていた。
 
 もちろん、スライムをこよなく愛するガズマイヤーには伏せてあるが、知られると何かと面倒だから秘密にしているだけで、必要だったから作った……それだけの事だった。
 
 この補助脳構築のため、犠牲になった何百匹ものスライムの事など初めから眼中にすら無かった。
 
 世界各地に散らばる小型種のボールスライムの集めた視覚聴覚情報は膨大な数になる……下等生物そのもののボールスライムの情報は9割9分が無意味な情報なのだが、中には有用な情報もある。
 
 当初このスライムによる監視網は、ガズマイヤーが統括していたのだが、規模が増えるに連れて指数関数的に増えた情報量はあっさりと個人の情報処理キャパシティをオーバーし、ガズマイヤーもその運用を早々に投げ出してしまった。
 
 けれども、フランネルはその有用性に着目し、ガズマイヤーを経由しないように、監視網の仕組みそのものを作り変えてしまった。
 まず、統率者となるスライムを設定し、そのまた上に統率者を置くと言った組織化されたピラミッド形式の情報網を作り上げ、統率者ごとに設定した選定基準を元に情報を機械的にふるい分けさせるようにした。
 
 試行錯誤の末、万全とは言い難いものの、概ねフランネルも満足する世界規模の情報網が構築できたのだった。
 
 それ故に、フランネルのところまで上がってくる情報は、厳選に厳選を重ねたものなのだが……それでも膨大な量になった。
 
 フランネルは無言で、各地に放った部下や監視網を統括しているスライム共からの定期報告や各種情報を纏めていく。

 集積された情報は可視情報化されて、フランネルの補助脳に蓄積されていく……フランネルはその情報を分析、解釈し対応を練り上げる。

 スライム共や部下の力は一切借りない……いや、フランネルにそのようなものは不要だった。
 
 全体的な情勢としては、不穏なのは獣人王国バランティの跡地とその周辺地域に集中していた。
 
 バランティの国土だった地域は、現状獣人共を殲滅し、空白地となっているのだが……統治者が居ない事をいいことに、盗賊団が領地運営まがいのことを始めたり、獣人共がいつの間にか集まって小国が出来ていたり、支配下にある国々も末端までは制御が行き届かず勝手に軍勢を進駐させあって、問題になったりと……。
 
 もはや、年中無休で何かしら問題が起きている……そんな無法地帯となってしまっていた。
 
 帝国軍を進駐させ、帝国民を移民させ、完全に領土化する手もあったのだが、帝国本土よりも広い広大に過ぎる国土と周辺国との利害調整などもあり、領土化出来たのは一部の国境地帯周辺にとどまり、結局断念せざるを得なかったのだ。
 
 フランネルとしては、初めからこうなるのが目に見えていた。
 だからこそ……バランティの殲滅戦争を思い留まるように再三説得したのだが……。

 獣人はスライム化した人間を容易く看破してしまう……それ故、ガズマイヤーは獣人を必要以上に危険視、地上からの絶滅を望み……その無謀な試みは案の定失敗した……。
 
 彼自身、獣人王を討ち取り、敵国民を皆殺しにすればいいと単純に考えていたようだったが、そんなに簡単に済む話ではなかった。
 
 もちろん、相当数の獣人を殺し、奴隷に落としたものも数多くいたのだが。
 相当数が森や山岳地域へと逃げ込み、もしくは周辺国へ分散、潜伏し帝国への反抗を続けていた。
 
 共存や恭順などはもはや論外……その程度には獣人共の感情は帝国への怨嗟に満ちていた。
 
 これはむしろ、当然の結果……地上からの絶滅を目論み絶滅戦争を仕掛けたのは帝国側なのだ……相手も当然ながら帝国を地上から消すか、自分たちが絶滅するか……とことんまで争うつもりなのだろう。
 
 ガズマイヤー直卒による獣人達の残党狩りも何度となく行われたのだが……バランティアの深淵の如く深い森や峻険な山々を含む広大な国土に阻まれて、その試みはことごとく失敗していた。
 
 焦土化して、田畑に塩をまいたりしたのも失敗で、草木も生えない不毛の土地での現地調達など論外の状況となり、長蛇の列となった補給線を獣人のゲリラに狙われたりといいようにやられ……。
 森林地帯や山岳地帯では、むしろ獣人の本領が発揮され、人間はもちろん、スライム化した者ですら次々屠られてしまう始末だった。

 挙句の果てに、獣人共に罠にかけられて、炎龍の怒りを買い、一個師団が壊滅、ガズマイヤー本人も焼き殺されかけ……命からがら逃げ帰る羽目になった。

 そんな死地からでも生還してきた辺り、さすがと言うべきだったが……ガズマイヤーはそれっきり前線に出ると言い出さなくなり、討伐軍すら出さなくなった。

 要は……すっかり恐れを成してしまったと言う訳だった。
 
 その結果が広大な無法地帯の誕生と言う訳なのだから、全く持って始末に負えなかった。

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