英雄の弾丸

葉泉 大和

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5-19 新しく

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「……」

 クルムと一緒に旅を始めてから胸に秘めていた想いを、パルマの口を通してクルムにぴしゃりと言い当てられてしまった。
 どうやらクルムにはリッカの思考が丸見えだったようだ。

「それで、もしリッカちゃんからボクにお願いするようなことがあれば、応じて欲しいとも言い残していたのさ」
「――それって!」
「てなわけで」

 目を光らせるリッカの前に、パルマの手が差し出された。けれど、言葉少なだったパルマの意図を、興奮していたリッカは察することが出来なかった。足りない頭で必死に考えた結果、リッカの辿り着いた答えは、金銭の要求だった。クルムの場合は関係性が良かったからお金を取ることはしなかったが、リッカの場合はまた別なのだろうか。

 狼狽するリッカを前に、悪戯が成功した子供のような純粋な笑みを浮かべると、

「エインセル、貸して」

 パルマは答えを口にした。金銭の要求ではなかったことに安堵するものの、エインセルを渡すことが、悪魔と戦う術にどのように繋がるのかはまだリッカの中では紐づいていなかった。

 だから、リッカは「エインセル、ですか?」とオウム返しのように問いかけた。

「うん。世界政府にはバレないように、リッカちゃんのエインセルをバージョンアップしてあげる。そしたら、終の夜が使っているバロールみたいに、悪魔のことを視認することが出来るようになると思うよ」
「そんな機能が追加出来るんですか?」
「もっちろん」

 リッカは懐からエインセルを取り出すと、差し出されたパルマの手の上に置いた。すると、パルマは獲物を前にした動物のように、真剣な表情を見せた。博士としての血が騒ぎ出したのだろう。

 そして、パルマは白衣の内側に隠していた工具を取り出し、真剣な表情から一転、今度は喜々とした表情でリッカのエインセルをいじり始めた。時折、鼻歌まで交える始末だ。

 リッカはパルマの器量の大きさに、改めて感謝の念を抱いた。しかし、それと同時にリッカの心の中で抱いた感情は、

「でも、せっかくクルムが戻って来るまで休める時間なのに、私のために……」
「アッハッハ、エインセルに悪魔のことを確認できる機能をつけるなんて、クルムくんを待つ間の暇つぶし程度に出来るよ。根本の内容は、バロールで成立している訳だし」

 パルマは事もなげに、リッカの気配りを一笑に付した。パルマが本当に開発や研究を好んでいることが、よく分かる。

「むしろ、何もしないより、適度な開発をしていた方が気分転換になるというものさ。けど、面倒なのは、誰にも気付かれないように、システムを入れることの方かなぁ」

 リッカはパルマの言うことを理解できず、言葉を継げなかった。どうして秘密裏に機能を加える必要があるのだろうか。

「だって、変にエインセルをいじったことが世界政府にバレた時に、一番困るのはリッカちゃんだろう?」

 余程リッカの表情に疑問を抱いていることが出ていたのだろう、パルマは手を止めることなく、説明をしていく。

「ボクの勝手な憶測だから間違っていたら指摘してくれていいけど、世界政府のやり方にそぐわないと、面倒くさいことになるんじゃないかい?」
「……ぁ、確かに」

 世界政府は規律を重んじる組織だ。リッカは大陸支部という部署に所属しているため、トレゾール大陸内でなら比較的自由に行動出来るが、それでも守るべき規則は存在する。違反行為をしてしまったならば、お咎めは避けられない。

 規律を厳守しているからこそ、世界政府がダオレイス中の人の間で、信頼に足るべき存在だと認められている。人々も規律も守る世界政府だからこそ、リッカも憧れ、実際に身を置いたのだ。ただ世界政府という身になって初めて、内部ではここまで規律が多いのかと改めて思い知らされ、リッカは動揺を隠せなかった。
 だからこそ、それが改良であれ改悪であれ、隊員一人ひとりに付与される機密事項が詰まった世界政府専用のエインセルの仕組みを変更したことがバレたと考えると、恐ろしいものだった。

 リッカの気付かないところまで容易に気が付いてしまうパルマに、改めて頭の回転の速さを痛感させられてしまう。

「だろう? それに、このエインセルには、中の情報や今いる位置を、定期的に世界政府に送るような仕組みになっていると見た。だ、か、ら、エインセルの奥の奥に、一見普通のシステムと同じように見せかけてバージョンアップしてあげれば――」

 そう言いながら、パルマは軽々しくエインセルをいじっていく。パルマの手つきは慣れたもので、リッカとシンクはパルマが今何をしているのか全く分からなかった。

 そして、瞬く間に――、

「ほい、完成」
「え、わ、早っ」

 軽く放り投げられたエインセルを、リッカは慌てて受け取る。リッカの手に戻って来たエインセルは、本当にパルマは何かしたのかと疑ってしまいたくなるほど、以前の形態と変わっていなかった。

 あまりにも迅速かつ丁寧な職人技だった。

「アッハッハ、ボクを誰だと思っているんだい。天才博士パルマ・ティーフォだよ?」

 普通なら鼻に触る言い方だが、パルマの場合はすんなりと受け入れてしまう。

 リッカは確かめるようにエインセルを軽く触ってみた。しかし、今まで使っていた時と同じような感じで、どこから悪魔を視認する機能を起動させるかは分からなかった。まさしくパルマの言葉通り、エインセルの奥深くに機能を隠したのが窺える。

「ふっふーん。隠しコマンドで起動させることが出来るんだ。エインセル本体の右のボタンと左のボタンを同時に押しながら数回振れば――、ほら、出て来る」

 パルマが指示した通りにエインセルを操作すると、エインセルの画面に探知機のようなものが表示された。

「一応説明をするとね、今中心に黒点があるだろう。それがリッカちゃんの現在地を示しているんだ。そして、半径一キロ以内に悪魔人が近づくと、赤い点の表示が新たに付くようになる。あと説明すべきところと言えば、自分の位置を示す黒点に触れるところで、広範囲から目の前の景色を映し出す画面に変化するんだけど」

 リッカはパルマの指示通りに黒点に触れると、言葉通りエインセルをかざしたところが画面に映し出されるようになった。

「この機能で人の姿を捉えると、仮に悪魔がいる場合、どれだけ悪魔による影響を受けているのかが分かるようになる。試しに、ボクにエインセルを向けてごらん」

 当然ながら、エインセルにパルマを映しても何も変わりがない。同様にシンクの姿を捉えるが、表記は変化しなかった。

「ま、ここは実戦で確かめてってところかな。ちなみに、元の画面に戻るには、同じ操作を繰り返せば大丈夫さ」

 リッカが左右のボタンを押しながらエインセルを振ると、見慣れた画面に戻った。
 言葉通り瞬く間に、パルマはリッカの要望通りの機能をエインセルに追加してしまった。リッカは今手に触れているエインセルが、まったく別物になってしまったような感覚を抱いた。

「ありがとうございます」
「礼には及ばんさ。あとは武器の方か……」

 頭を下げたリッカだったが、パルマは当然のことのように受け止め、もう一つの依頼にすぐさま考えを巡らせた。

「一般の武器だと悪魔には通用しないからなぁ。魔技を防ぐことも出来ないし……。ちなみに、リッカちゃんはどんな武器を主流にしているんだい?」
「私は鞭を使ってます」
「だったら、前にちょろっと作った対悪魔用の鞭が、倉庫に眠っているはず」

 パルマは手招きをすると、扉を出て奥の部屋へと進んでいった。リッカとシンクはパルマに置いていかれないように後に従う。
 パルマに連れていかれた部屋は、色々な道具が所狭しと床や棚に散乱としていた。この場に並べられている道具は、リッカもシンクも、全て目にしたことがないものだった。これら全てが、パルマ一人で作り上げたものだという結論に至るには、そう時間を要することはなかった。

 未知の道具の主人は、乱雑に扱いながら、目当てのものを探していく。多くの道具によって無法地帯になっているため仕方のないことだが、先ほどパルマがエインセルを改良するよりも、鞭を見つけ出すことの方が時間を要していた。
 鞭の姿かたちも分からないリッカとシンクは、パルマが探している姿を、黙って見ているしかなかった。

「お、あったあった。これだ!」

 ようやく目当ての鞭を見つけ出すことに成功したパルマは、嬉しそうに声を上げる。埃を被っている道具も多かったのだろう、パルマの顔や服はこの部屋に入るよりも少しだけ汚れてしまっていた。

「どうだい? この鞭なら、リッカちゃんに適してるんじゃないかな?」

 一切自分の身なりを気にしないパルマから鞭を受け取ったリッカは、品定めするように鞭へと五感を注ぐ。
 手触りも今使っているものと大差ない。初めて触れるはずの鞭なのに、まるで今までもずっと使い続けていたような安心感があった。それだけじゃない。鞭からは聖なる気のようなものが感じられ、リッカの内側が奮い立つような感覚があった。

 手にしている鞭で悪魔人と対峙する姿を、リッカは頭の中に易々と描くことが出来た。

「……すごく、良いです」
「それは何よりだ。この鞭を使えば、悪魔人とも戦えるようになるはずだよ」

 しかし、その後、パルマは言葉を止め、神妙な表情を作った。

「だけど、一つだけ気を付けておくれ。この鞭は悪魔の力を無効化させる訳ではないんだ。ようやく対等に渡り合えるようにするだけ、謂わばハンデを失くすだけさ」
「分かりました。それでも十分に助かります。パルマさん、ありがとうございます」

 リッカは頭を下げて、パルマに礼を言った。パルマは自慢げに鼻を鳴らす。

「パルマ! 俺も武器欲しい!」

 そして、リッカが武器を手にしたところを目にしたシンクが、パルマに期待の眼差しを注ぎながら要望を口にした。
 その眼差しを一身に浴びたパルマは微苦笑を浮かべて、悩ましそうに腕を組んだ。

「うーん、シンクくんのことは特にクルムくんから聞いていないんだけどなぁ。じゃあ、護身用にあれ上げるよ」

 そう言って、パルマは再び何かを探し始めた。そして、今回は迷う素振りもなく、すぐに探し物を見つけ当て、「はい、どうぞ」とシンクの手に渡した。

 パルマから手渡されたもの。それは――、

「なんだよ、ただの短剣じゃねぇか」

 シンクは自分の手に軽く収まってしまう短剣を見て、あからさまに肩を落とした。もっと良い武器を期待していたのに、これじゃ子供の玩具みたいなものだ。

「俺にもちゃんとした武器をくれよ! 俺も守られてばかりじゃ嫌なんだよ!」
「おいおい、シンクくん。この短剣を馬鹿にしないでくれたまえよ」

 まさに子供の如く駄々をこねるシンクの手から、パルマは短剣を回収すると、

「これには複数の機能が隠されてるんだぞ。手始めに――、ほい」
「うぉ!」

 シンクが持っても小さく見えた短剣は、パルマが扱うとシンクの背丈と変わらないくらいの大剣へと変化した。「ほっ、ほっ、ほっ」とパルマが言う度、剣の形は短くなったり大きくなったりする。その度、シンクの瞳はキラキラと光った。

 リッカも初めてパルマと出会った時に、腕時計が大きく変化するのを見ていなければ、シンクと同じような反応を示していただろう。

「アッハッハ、いい反応だねぇ。まるで手品師になったような気分だよ」
「す、すげぇ! 一体どうやってるんだ?」
「ふふーん、ボクの研究の賜物の秘密を知りたいかい? でも、今のシンクくんには教えなーい」

 パルマはそう言うと、短剣のままシンクに渡した。「なっ」とシンクは不満に溢れた声を上げる。

 パルマはシンクと同じ視線までかがむと、「いいかい」と指を一つ立てた。

「武器を持つことは、命を失うこともあるってことだ。シンクくん、君はまだ幼いんだよ。その歳から戦場に赴くような真似はしなくてもいいんだ。だから、クルムくんもシンクくんのことは口にしなかったんだろうね」
「そうだけどよ……」

 パルマの言葉に、いつもならハッキリと言うシンクが言い淀んだのは、パルマの言葉の重みを分かっているからだ。

 今までクルムが悪魔人と戦う姿を見て、クルムは常に怪我をしながらギリギリの状態で戦っていた。だから、戦いとは常に命の危険に身を置く事だと、言葉にしなくても痛いほどにシンクは分かっていた。

 クルムのような実力者でさえも窮地に立たされるというのに、幼いシンクは言わずもがなだろう。しかし、それでも先ほどリッカが言ったように、シンクも黙って眺めているだけは嫌だったのだ。

 相反する気持ちを抱えながら拳を握り締めるシンクを見て、パルマはふっと微笑みを零すと、

「まぁ、その短剣でも十分に自分自身を守ることが出来るよ。クルムくんもリッカちゃんも――、シンクくんを守ってくれる人がいないという緊急事態に、その短剣を使うといいさ。使い方は、あとでこっそりクルムくんとリッカちゃんに教えておくからね」

 窘めるような言い方に、シンクは渋々ながら頷いた。自分の言葉がしっかりとシンクに届いた手応えを感じると、話は終了とばかりに、パルマは「よし」と膝を伸ばした。

「さぁて、とりあえず客間に戻ろうじゃないか。こんな埃だらけの部屋に留まる必要はないからね」

 いつもの楽観的な明るい声音で言うと、パルマは軽い足取りで部屋を後にした。リッカとシンクはパルマから譲り受けた武器を強く握り締め、一歩を踏み出した。
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