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2-03 道を阻むもの
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このビオス平原を襲う揺れは、肉体的にも精神的にも鍛練をしていない者を足止めするには、十分な威力だった。
「ッ!?」
急な揺れに、先を行くシンクは喉を鳴らすと、その場で走らせていた足を止めた。その揺れは、決意を固めたシンクの心を嘲笑うかのように突発的であった。
シンクとクルムの間にいたリッカも、突然の振動に足を進めることが出来ずにいた。その場に立ち尽くしながら、リッカは二人に交互に視線を移す。
そして、何度か視線を移す内に、リッカの脳裏にある一つの考えが瞬間浮かんだ。
――この揺れは一過性のものなのだろうか。
その考えが過ぎると同時、リッカは下手な動きをせず、揺れが収まるのを待つために姿勢を低くしようと――、
「――クの近くへ!」
そのリッカの安逸な選択に喝を入れるように、突如ビオス平原に大きな声が響き渡る。リッカはその声にハッとすると、声の聞こえる方に顔を向けた。
そこには何か声を張り上げているクルムがいる。声だけでなく、クルムは腕全体を使って、必死にリッカの後方を示していた。その仕草は、余裕がなく、秒を争うように焦っているようだ。
リッカはすぐにクルムの意図を察すると、振動を恐れることなく、前に進んだ。勿論、実際のリッカの体は、左右に揺れてバランスを保つことは難しかったのだが、気に留める余裕はなかった。
なぜなら――、シンクが一歩ずつ確実に、揺れに耐えながら前へと進んでいるのだ。
リッカは自分の判断の鈍さに歯を噛み締めると同時に、つま先に力を込める。
ビオス平原は見渡す限り、何もない場所だ。平原が果てしなく広がっている。
だから、何か異常が発生した時、すぐにその事態を目視し、対応することも可能だ。この揺れによって、都心部のように何かが崩れ落ちる心配もない。
しかし、それでもシンク一人だけで先を行くのは、あまりにも危険すぎた。
瓦解に巻き込まれる危険がないからといっても、揺れは揺れだ。地割れが起こるという可能性を完全に否定することは出来ない。万が一、この揺れのせいで地割れが発生し、クルムとリッカとシンク、三人が離れ離れになった場合、シンクは再び一人になってしまうだろう。
そうなったら、一人で生きる術を知らないシンクは、また心を塞ぎ込んでしまうかもしれない。
その最悪の状況を考えてしまうと、
――それだけは……っ!
リッカは起こり得る最悪の事態を否定するように、必死の思いでビオス平原を駆け抜けた。
ゆっくりと歩くシンクに、リッカは距離を詰めていく。
しかし、手を伸ばせば触れられるという距離のところで、ビオス平原を襲う揺れは無情にも大きくなってしまった。
リッカはその振動に、思わず足を止める。シンクも揺れによって体のバランスを崩してしまったが、すぐに立て直して前へ進もうとしていた。すぐ後ろにいるリッカの存在を、まるで気付いていないようだった。
また遠くなるシンクの背中を見て、リッカは、
「シンク!」
名前を呼ぶと同時に、左腕を伸ばしてシンクの右手を掴んだ。振り向いたシンクは止められることを予想だにしていなかったのか、目を見開いてリッカのことを見つめる。
シンクの瞳に映るリッカは、動悸を抑えられずに肩で息をしていた。
「原因不明の揺れが起きてるの。先を急ぐのも分かるけど、今はここで立ち止ま――」
「……リッカ」
リッカが話している途中だった。
シンクは話を遮るように、一度だけリッカの名前を呼ぶと、興味がないと示すように前へと視線を移した。そして、そのまま先の見えない前方を力強く睨み、踏み出そうとした。その姿は、意地になって無茶をする子供そのままだった。
「……ッ!?」
先に進むため足を踏み出したシンクだったが、その想い虚しく体はついてこなかった。否、リッカに右手を握られているため、体を動かすことが出来なかった。
「は、な、せ……っ! 俺は、地震なんかで、立ち止まれない……っ!」
絞り出すようにシンクは反抗の声を漏らすも、リッカの手は弱まらない。
シンクは意地でも前に進もうとする。リッカは意地でも留まらせようとする。
これでは先ほどと逆だった。言葉のまま、シンクは周りを見れていない。
「シンク」
だから、リッカは心に届けるようにシンクの名前を優しく呼んだ。先ほどと違うリッカの透き通るような声音に、シンクの体が一瞬震える。
「挑戦と無謀は全然違うよ」
リッカははっきりと言い切る。
「シンクの心意気は立派だけど、状況はしっかり把握しないとダメ。もし、私の目の前でシンクに何かあったら……。……ううん、考えるのも嫌だ」
リッカは真っ直ぐシンクの背中を見つめながら、告げた。
その言葉を聞いたシンクは、思い悩むように足を止めた。そして、一度だけ前を睨み付けると、空いている左手で頭を掻き、地面を見つめた。シンクの体の緊張が解かれていくのを、手を通して感じる。
俯くシンクの表情がどうなっているのか、リッカには分からなかった。仕方なく足を止めたのか、リッカの想いが伝わって足を止めたのか、表情で読み取ることは出来ない。
けれど、今は立ち止まってくれたこと――、そのことにリッカはホッと胸を撫で下ろした。
「シンク! リッカさん!」
その時、リッカとシンクの後方からクルムが声を掛けてきた。クルムは揺れに合わせて体の重心をずらすことで、決して速くはないが、難なくビオス平原を走っている。
そして、クルムはリッカとシンクの近くに立つと、
「二人とも無事でよかったです」
と心からの安堵の笑みを見せたのだった。
「クルムも何事もなくて本当によかった」
リッカも惜しみなく、笑みを向けた。クルムとシンクに無事合流できたことに加え、変わらない揺れに慣れてしまったこともあって、リッカの心に余裕が生じる。
しかし、クルムは安堵したのも束の間、すぐに気を引き締める表情へと切り替えた。
「それにしても、この揺れは――」
「――ってか、いつまで手ぇ握ってるんだよ!」
先ほどまでいた位置を見つめながら口を開こうしたクルムだったが、今まで黙っていたシンクに言葉が遮られてしまった。
急な声に、クルムとリッカは驚き、シンクに視線を移す。
揺れのせいか、別の要因か、シンクの体は震えていた。
「ああ、もう、俺が悪かった。もう勝手に先に行かないから、はーなーせー!」
必死の抵抗か、シンクは言葉に合わせてリッカに掴まれている右手を大きく揺らした。リッカの左腕も、シンクの動きにつられて縦に揺れる。
シンクの声のトーンは反省しているように聞こえなかった。しかし、シンクが紡ぐ言葉からは反省の意が伝わってくる。
自分勝手な判断でクルムとリッカに余計な心配を掛けてしまったことを、シンクは二人の表情を見て悟った。穴があったら入ってしまいたいほど痛切に分かってしまった。
だから、自らの無知の行ないが生んだ罰――リッカに手を握られるという生き恥から、シンクは一刻も早く離れたかった。いつまでも子供のお守りのように手を握られているということは、分かってしまったら耐えられないことなのである。
その想いを察したリッカは、シンクの目線までしゃがむと、
「ダメー」
と、笑みを見せながら、いつもの声音でシンクに告げた。その言葉にシンクの手を振る動きは大きくなる。
「なんでだー!」
「いつこの揺れが治まるか分からないんだから、まだ離さ……な……い……」
そのまま続けて言葉を紡ぐ内に、リッカは自分の発言の違和感に気付く。
まだビオス平原は揺れ続けている。いつの間にか、揺れていることに慣れつつあるリッカがいた。
それが、異常だ。
普通の地震だったら、治まってもおかしくはないほどの時間は経過している。
――この揺れは自然に起こっているものなのか?
もし、自然現象でなければ、一体ビオス平原に何が起こっているのだろうか。
「……」
深く考え込み始めたリッカは、いつの間にか自分でも気付かない内にシンクの手を離していた。手が離されたことに対して、何の気なしに喜べるほど何も分かっていないシンクではなかった。シンクは怪訝する表情で、リッカのことを見つめる。
「やはり、この揺れは……少々長すぎますよね」
合流してからも警戒を怠ることはなかったクルムは、リッカの頭の中に同調するように言った。
「……うん。それに、今まで気付かなかったんだけど……だんだんと揺れが大きく――、いや、近づいて来てる……?」
そう言う表現を使って自分自身で言語化すると、リッカの中に更なる謎が芽生えてくる。
近づくということは、この揺れを起こす根源が移動しているということだ。
しかし、この揺れ方は、地震とは違う。かと言って、このビオス平原で揺れを起こす生物がいるという事例は聞いたことがない。
「近づく? ……何が」
リッカの言葉に疑問を抱いたシンクが、リッカとクルムのことを見つめながら問いかけた時だった。
「……来ます!」
神経を研ぎ澄ましていたクルムが、今まで歩いて来た道を指しながら声を張った。その声に反応して、リッカとシンクもクルムの指の先を見つめる。
振動の正体を一気に解決する答えが、自ら後方に現れていた。
まず目に入るのは、砂塵嵐だった。先ほどまで何事もなく通って来たはずの道が、今は辺りを覆い隠してしまうほどの砂埃を舞い散らせていた。
更に耳に響くのは、一切の乱れが生じていない統率の取れたリズムだ。美しく整われた音は、どこか半機械的な印象を与える。
それが、ビオス平原に似つかなくて不気味だった。
「い、一体あれはなんなんだ!?」
「……まだ分かりません。恐らくこちらから何も起こさない限り、危害を加えられることはないとは思いますが、避ける準備はしておきましょう」
突然の予期せぬ来訪に、クルムとリッカ、そしてシンクは極限まで集中し、警戒態勢を取った。
砂塵嵐は方角を変えることなく、着々とクルム達の方に近づいて来る。砂塵に目を凝らしていくと、ようやくビオス平原を襲っている揺れの正体に気付いた。
「っ! う、馬……!?」
驚きのあまり、シンクは声を漏らす。
砂塵が巻き起こる中心には、馬がいた。しかも、ただの馬ではない。戦にも対応できるよう備えられた軍馬だ。そして、当然ではあるが、馬の上には鎧を纏った人が跨っている。
武装するその姿は、今にも争いを起こしてしまうのではないかと不安に駆られるほど、物騒であった。
「――嘘、でしょ……。こんなの……、世界政府にも匹敵する数だよ」
リッカは額に汗を流しながら、呟く。
馬の後ろには、二匹の馬がいた。加えて、その陰に隠れるようにも馬が走っている。そして、砂塵に覆われてしまっているが、その後方にも更に多くの馬がいることが窺える。
その全貌は分からず、馬の総数を知ることは叶わない。
まさに、軍隊と呼ぶのが相応しいだろう。
目の前のあまりの場違いな光景に、リッカとシンクは気圧されてしまった。
「――リッカさん、シンク!」
そんな中、クルムが二人の名前を力強く呼んだ。リッカとシンクは、ずっと意識を奪われていた軍隊から、目の前にいるクルムに視線を移す。
クルムの黄色い双眸は、光を失っていなかった。
「これ以上留まるのは危険です! 距離を取りましょう!」
クルムの言葉にそれぞれ反応を示すと、真っ直ぐビオス平原を横断する馬たちから少しでも離れようと足を前に出した。
しかし、馬が一歩一歩踏み出すことで起こる振動によって、なかなか思い切り走ることが出来ない。
クルム達が走れないからと言って、馬たちは速度を落とすことはなかった。
当然の話ではあるが、馬よりも人の方が出せる速さは遅い。それなのに、全力で走ることさえ叶わないのだから、クルム達と馬との距離は縮まるしかなかった。
この馬の大群に巻き込まれてしまったら、怪我どころの話では済まなくなる。
一刻も早く、少しでも遠く、眼前に迫る脅威から逃れなければならないのに、ますます距離を詰められる恐怖が、クルムとリッカ、そしてシンクを襲う。
だが、その心配も杞憂に終わった。
相手側もクルムの存在に気が付いたのか、先頭を走る馬の上にいる人物が右手を上げ、何か甲高い笛のような音を鳴らした。その音を合図にして、馬に跨る集団は少しだけ蛇行し始めた。
「……大丈夫、なのか?」
「……そうだね。これで彼らに巻き込まれる危険はなくなったはず――」
彼らに敵意がなかったことに、リッカとシンクは胸を撫で下ろす。
しかし、クルムだけはまだ完全に安心することは出来なかった。
押し寄せる馬の大群と、自分たちの足元を見比べて――、
「ッ。……失礼します」
クルムは急に両手を広げてシンクとリッカを抱え込むと、足に力を入れ、地面に飛び込んだ。そして、そのままクルムは二人の頭を低く押さえる。
「きゃっ! な、なにっ!?」
リッカが驚きの声を上げたと同時だった。
馬に乗った軍隊がクルム達の真横を通り過ぎていった。クルム達の体二つ分の距離すれすれを馬たちは駆け抜けていく。クルムが確認し、計算していなければ、間違いなく三人は踏みつけられていただろう。
異常な数の足音が、耳元で響く。それに呼応するようにビオス平原も揺れる。そして、極めつけには、馬たちによって生じている砂塵により、視界も悪くなっていく。
今三人が出来ることは、馬に体が巻き込まれることがないように、可能な限り身を縮こませることだけだった。
しかし、クルムは最悪だとも言えるこんな状況の中でも、何か情報を得ようと周囲に意識を張っていた。
「……あれは――」
真横を通り過ぎる馬たちの流れが途絶えることがない中、クルムは更なる異様な光景を目にする。
ビオス平原を渡る、数えることが出来ない馬の大群に跨る多くの人。その中央に、丁重に、厳重に扱われる駕籠のようなものがあった。いや、駕籠と呼ぶにはあまりにも綺麗で、大きく、まさに王室を移動できるように改良させたような印象を与える。
そして、見た目通り、その扱われ方は別格だった。
王室の周りに配置されている馬は、他の馬よりも一回りも体が大きく、その馬を操縦している人物も屈強な体つきをしていた。その中には、まるで金銀財宝と同等の価値を持つものがあると容易に想像することが出来る。
時間と言う概念から解放されたかのように、永遠にも感じられる刹那の間、クルムはこの場にはあまりにも相応しくない異質な王室から目を離すことが出来なかった。
――その理由は、ただ王室が豪華な造りをしていたからだけではない。
「……ッ」
王室の窓から、何者かが外の様子を――否、クルム達のことを眺めていたのだ。
残念ながら、その人物の表情まで見ることは叶わない。しかし、その人物が放つ存在感は、遠く離れていても分かる。きっと生まれながらにして、普通の人間とは違う扱いを受け、普通の人間には考えられない人生を生きてきたのだろう。
その者が放つ威圧に、思わずクルムは息を呑む。
クルムとその者の距離は遠く離れており、お互いの顔も分からない。
それなのに、この一瞬の邂逅は、まるで運命に導かれるように、在って然るべき出会いにさえ感じられる。
少なくとも、クルムの直感はそう告げていた。
「――」
しかし、相手はクルムのことを見定めたのか、ふと興を削がれたかのように視線を外した。クルム達に向けて放たれていた威圧も、同時に消える。
そうしたことで、全ての動きが止まったかのように思われた時間も、元のように動き出す。
クルムが目を奪われていた王室は、あっという間の速度で遠くに走り去ると、小さくなり、やがて完全に見えなくなってしまった。
その後も続けて、馬たちがビオス平原を横断し――、そして、最後の馬がクルム達の横をようやく通り過ぎる。
最後の馬が姿も見えなくなるくらいに離れていくと、先ほどの振動も、音も、砂塵も、まるで全てが夢のようだと錯覚してしまうほど、ビオス平原は閑散とし始めた。
クルムは二人の頭から手を離し、ゆっくりと立ち上がった。
「はぁはぁ」
静かになったビオス平原に、荒々しい呼吸だけが響く。
津波のように押し寄せる馬から解放されたリッカとシンクは肩で息をしながら、軍隊が去っていた方向を見つめた。
「な、何だったんだよ、あれ……」
「……まさか」
リッカは青ざめた顔をして、小さく首を横に振った。予想外のあり得ない事態を目の当たりにしているようだ。
世界三大勢力と呼ばれる世界政府に匹敵する集団など数が知れている。
「リッカさんの想像の答え合わせをしましょう」
クルムはそう言い残すと、軍隊が去った方角に向かって歩き出した。クルムが何を言わんとしているのかは分からなかったが、リッカとシンクはクルムの行動に口を挟むことなく、その背中を追う。
そして、歩く道の先、誰かが倒れていることを目にした。
恐らく、先ほどの集団から離脱してしまったのだろう。鎧を着ており、その腰には武器となる短剣が納められていた。倒れている人物の近くには、心配そうに見守っている馬がいる。
「ッ! ……やっぱり」
リッカは更に倒れている人物に近づくことで、先ほど通り過ぎた集団が何者なのだったのか、納得がいった。
彼が着る鎧に光り輝く太陽のようなシンボルが刻印されていた。その刻印の持つ意味を知らない者は、このダオレイスの中には誰一人存在しない。
だから、それこそ世界政府であるリッカ・ヴェントがその刻印を見間違えるはずがないのだ。
その鎧に刻まれている太陽はまさに――、
「シエル教団」
――世界三大勢力の一つとされるシエル教団を象徴するための刻印だった。
「ッ!?」
急な揺れに、先を行くシンクは喉を鳴らすと、その場で走らせていた足を止めた。その揺れは、決意を固めたシンクの心を嘲笑うかのように突発的であった。
シンクとクルムの間にいたリッカも、突然の振動に足を進めることが出来ずにいた。その場に立ち尽くしながら、リッカは二人に交互に視線を移す。
そして、何度か視線を移す内に、リッカの脳裏にある一つの考えが瞬間浮かんだ。
――この揺れは一過性のものなのだろうか。
その考えが過ぎると同時、リッカは下手な動きをせず、揺れが収まるのを待つために姿勢を低くしようと――、
「――クの近くへ!」
そのリッカの安逸な選択に喝を入れるように、突如ビオス平原に大きな声が響き渡る。リッカはその声にハッとすると、声の聞こえる方に顔を向けた。
そこには何か声を張り上げているクルムがいる。声だけでなく、クルムは腕全体を使って、必死にリッカの後方を示していた。その仕草は、余裕がなく、秒を争うように焦っているようだ。
リッカはすぐにクルムの意図を察すると、振動を恐れることなく、前に進んだ。勿論、実際のリッカの体は、左右に揺れてバランスを保つことは難しかったのだが、気に留める余裕はなかった。
なぜなら――、シンクが一歩ずつ確実に、揺れに耐えながら前へと進んでいるのだ。
リッカは自分の判断の鈍さに歯を噛み締めると同時に、つま先に力を込める。
ビオス平原は見渡す限り、何もない場所だ。平原が果てしなく広がっている。
だから、何か異常が発生した時、すぐにその事態を目視し、対応することも可能だ。この揺れによって、都心部のように何かが崩れ落ちる心配もない。
しかし、それでもシンク一人だけで先を行くのは、あまりにも危険すぎた。
瓦解に巻き込まれる危険がないからといっても、揺れは揺れだ。地割れが起こるという可能性を完全に否定することは出来ない。万が一、この揺れのせいで地割れが発生し、クルムとリッカとシンク、三人が離れ離れになった場合、シンクは再び一人になってしまうだろう。
そうなったら、一人で生きる術を知らないシンクは、また心を塞ぎ込んでしまうかもしれない。
その最悪の状況を考えてしまうと、
――それだけは……っ!
リッカは起こり得る最悪の事態を否定するように、必死の思いでビオス平原を駆け抜けた。
ゆっくりと歩くシンクに、リッカは距離を詰めていく。
しかし、手を伸ばせば触れられるという距離のところで、ビオス平原を襲う揺れは無情にも大きくなってしまった。
リッカはその振動に、思わず足を止める。シンクも揺れによって体のバランスを崩してしまったが、すぐに立て直して前へ進もうとしていた。すぐ後ろにいるリッカの存在を、まるで気付いていないようだった。
また遠くなるシンクの背中を見て、リッカは、
「シンク!」
名前を呼ぶと同時に、左腕を伸ばしてシンクの右手を掴んだ。振り向いたシンクは止められることを予想だにしていなかったのか、目を見開いてリッカのことを見つめる。
シンクの瞳に映るリッカは、動悸を抑えられずに肩で息をしていた。
「原因不明の揺れが起きてるの。先を急ぐのも分かるけど、今はここで立ち止ま――」
「……リッカ」
リッカが話している途中だった。
シンクは話を遮るように、一度だけリッカの名前を呼ぶと、興味がないと示すように前へと視線を移した。そして、そのまま先の見えない前方を力強く睨み、踏み出そうとした。その姿は、意地になって無茶をする子供そのままだった。
「……ッ!?」
先に進むため足を踏み出したシンクだったが、その想い虚しく体はついてこなかった。否、リッカに右手を握られているため、体を動かすことが出来なかった。
「は、な、せ……っ! 俺は、地震なんかで、立ち止まれない……っ!」
絞り出すようにシンクは反抗の声を漏らすも、リッカの手は弱まらない。
シンクは意地でも前に進もうとする。リッカは意地でも留まらせようとする。
これでは先ほどと逆だった。言葉のまま、シンクは周りを見れていない。
「シンク」
だから、リッカは心に届けるようにシンクの名前を優しく呼んだ。先ほどと違うリッカの透き通るような声音に、シンクの体が一瞬震える。
「挑戦と無謀は全然違うよ」
リッカははっきりと言い切る。
「シンクの心意気は立派だけど、状況はしっかり把握しないとダメ。もし、私の目の前でシンクに何かあったら……。……ううん、考えるのも嫌だ」
リッカは真っ直ぐシンクの背中を見つめながら、告げた。
その言葉を聞いたシンクは、思い悩むように足を止めた。そして、一度だけ前を睨み付けると、空いている左手で頭を掻き、地面を見つめた。シンクの体の緊張が解かれていくのを、手を通して感じる。
俯くシンクの表情がどうなっているのか、リッカには分からなかった。仕方なく足を止めたのか、リッカの想いが伝わって足を止めたのか、表情で読み取ることは出来ない。
けれど、今は立ち止まってくれたこと――、そのことにリッカはホッと胸を撫で下ろした。
「シンク! リッカさん!」
その時、リッカとシンクの後方からクルムが声を掛けてきた。クルムは揺れに合わせて体の重心をずらすことで、決して速くはないが、難なくビオス平原を走っている。
そして、クルムはリッカとシンクの近くに立つと、
「二人とも無事でよかったです」
と心からの安堵の笑みを見せたのだった。
「クルムも何事もなくて本当によかった」
リッカも惜しみなく、笑みを向けた。クルムとシンクに無事合流できたことに加え、変わらない揺れに慣れてしまったこともあって、リッカの心に余裕が生じる。
しかし、クルムは安堵したのも束の間、すぐに気を引き締める表情へと切り替えた。
「それにしても、この揺れは――」
「――ってか、いつまで手ぇ握ってるんだよ!」
先ほどまでいた位置を見つめながら口を開こうしたクルムだったが、今まで黙っていたシンクに言葉が遮られてしまった。
急な声に、クルムとリッカは驚き、シンクに視線を移す。
揺れのせいか、別の要因か、シンクの体は震えていた。
「ああ、もう、俺が悪かった。もう勝手に先に行かないから、はーなーせー!」
必死の抵抗か、シンクは言葉に合わせてリッカに掴まれている右手を大きく揺らした。リッカの左腕も、シンクの動きにつられて縦に揺れる。
シンクの声のトーンは反省しているように聞こえなかった。しかし、シンクが紡ぐ言葉からは反省の意が伝わってくる。
自分勝手な判断でクルムとリッカに余計な心配を掛けてしまったことを、シンクは二人の表情を見て悟った。穴があったら入ってしまいたいほど痛切に分かってしまった。
だから、自らの無知の行ないが生んだ罰――リッカに手を握られるという生き恥から、シンクは一刻も早く離れたかった。いつまでも子供のお守りのように手を握られているということは、分かってしまったら耐えられないことなのである。
その想いを察したリッカは、シンクの目線までしゃがむと、
「ダメー」
と、笑みを見せながら、いつもの声音でシンクに告げた。その言葉にシンクの手を振る動きは大きくなる。
「なんでだー!」
「いつこの揺れが治まるか分からないんだから、まだ離さ……な……い……」
そのまま続けて言葉を紡ぐ内に、リッカは自分の発言の違和感に気付く。
まだビオス平原は揺れ続けている。いつの間にか、揺れていることに慣れつつあるリッカがいた。
それが、異常だ。
普通の地震だったら、治まってもおかしくはないほどの時間は経過している。
――この揺れは自然に起こっているものなのか?
もし、自然現象でなければ、一体ビオス平原に何が起こっているのだろうか。
「……」
深く考え込み始めたリッカは、いつの間にか自分でも気付かない内にシンクの手を離していた。手が離されたことに対して、何の気なしに喜べるほど何も分かっていないシンクではなかった。シンクは怪訝する表情で、リッカのことを見つめる。
「やはり、この揺れは……少々長すぎますよね」
合流してからも警戒を怠ることはなかったクルムは、リッカの頭の中に同調するように言った。
「……うん。それに、今まで気付かなかったんだけど……だんだんと揺れが大きく――、いや、近づいて来てる……?」
そう言う表現を使って自分自身で言語化すると、リッカの中に更なる謎が芽生えてくる。
近づくということは、この揺れを起こす根源が移動しているということだ。
しかし、この揺れ方は、地震とは違う。かと言って、このビオス平原で揺れを起こす生物がいるという事例は聞いたことがない。
「近づく? ……何が」
リッカの言葉に疑問を抱いたシンクが、リッカとクルムのことを見つめながら問いかけた時だった。
「……来ます!」
神経を研ぎ澄ましていたクルムが、今まで歩いて来た道を指しながら声を張った。その声に反応して、リッカとシンクもクルムの指の先を見つめる。
振動の正体を一気に解決する答えが、自ら後方に現れていた。
まず目に入るのは、砂塵嵐だった。先ほどまで何事もなく通って来たはずの道が、今は辺りを覆い隠してしまうほどの砂埃を舞い散らせていた。
更に耳に響くのは、一切の乱れが生じていない統率の取れたリズムだ。美しく整われた音は、どこか半機械的な印象を与える。
それが、ビオス平原に似つかなくて不気味だった。
「い、一体あれはなんなんだ!?」
「……まだ分かりません。恐らくこちらから何も起こさない限り、危害を加えられることはないとは思いますが、避ける準備はしておきましょう」
突然の予期せぬ来訪に、クルムとリッカ、そしてシンクは極限まで集中し、警戒態勢を取った。
砂塵嵐は方角を変えることなく、着々とクルム達の方に近づいて来る。砂塵に目を凝らしていくと、ようやくビオス平原を襲っている揺れの正体に気付いた。
「っ! う、馬……!?」
驚きのあまり、シンクは声を漏らす。
砂塵が巻き起こる中心には、馬がいた。しかも、ただの馬ではない。戦にも対応できるよう備えられた軍馬だ。そして、当然ではあるが、馬の上には鎧を纏った人が跨っている。
武装するその姿は、今にも争いを起こしてしまうのではないかと不安に駆られるほど、物騒であった。
「――嘘、でしょ……。こんなの……、世界政府にも匹敵する数だよ」
リッカは額に汗を流しながら、呟く。
馬の後ろには、二匹の馬がいた。加えて、その陰に隠れるようにも馬が走っている。そして、砂塵に覆われてしまっているが、その後方にも更に多くの馬がいることが窺える。
その全貌は分からず、馬の総数を知ることは叶わない。
まさに、軍隊と呼ぶのが相応しいだろう。
目の前のあまりの場違いな光景に、リッカとシンクは気圧されてしまった。
「――リッカさん、シンク!」
そんな中、クルムが二人の名前を力強く呼んだ。リッカとシンクは、ずっと意識を奪われていた軍隊から、目の前にいるクルムに視線を移す。
クルムの黄色い双眸は、光を失っていなかった。
「これ以上留まるのは危険です! 距離を取りましょう!」
クルムの言葉にそれぞれ反応を示すと、真っ直ぐビオス平原を横断する馬たちから少しでも離れようと足を前に出した。
しかし、馬が一歩一歩踏み出すことで起こる振動によって、なかなか思い切り走ることが出来ない。
クルム達が走れないからと言って、馬たちは速度を落とすことはなかった。
当然の話ではあるが、馬よりも人の方が出せる速さは遅い。それなのに、全力で走ることさえ叶わないのだから、クルム達と馬との距離は縮まるしかなかった。
この馬の大群に巻き込まれてしまったら、怪我どころの話では済まなくなる。
一刻も早く、少しでも遠く、眼前に迫る脅威から逃れなければならないのに、ますます距離を詰められる恐怖が、クルムとリッカ、そしてシンクを襲う。
だが、その心配も杞憂に終わった。
相手側もクルムの存在に気が付いたのか、先頭を走る馬の上にいる人物が右手を上げ、何か甲高い笛のような音を鳴らした。その音を合図にして、馬に跨る集団は少しだけ蛇行し始めた。
「……大丈夫、なのか?」
「……そうだね。これで彼らに巻き込まれる危険はなくなったはず――」
彼らに敵意がなかったことに、リッカとシンクは胸を撫で下ろす。
しかし、クルムだけはまだ完全に安心することは出来なかった。
押し寄せる馬の大群と、自分たちの足元を見比べて――、
「ッ。……失礼します」
クルムは急に両手を広げてシンクとリッカを抱え込むと、足に力を入れ、地面に飛び込んだ。そして、そのままクルムは二人の頭を低く押さえる。
「きゃっ! な、なにっ!?」
リッカが驚きの声を上げたと同時だった。
馬に乗った軍隊がクルム達の真横を通り過ぎていった。クルム達の体二つ分の距離すれすれを馬たちは駆け抜けていく。クルムが確認し、計算していなければ、間違いなく三人は踏みつけられていただろう。
異常な数の足音が、耳元で響く。それに呼応するようにビオス平原も揺れる。そして、極めつけには、馬たちによって生じている砂塵により、視界も悪くなっていく。
今三人が出来ることは、馬に体が巻き込まれることがないように、可能な限り身を縮こませることだけだった。
しかし、クルムは最悪だとも言えるこんな状況の中でも、何か情報を得ようと周囲に意識を張っていた。
「……あれは――」
真横を通り過ぎる馬たちの流れが途絶えることがない中、クルムは更なる異様な光景を目にする。
ビオス平原を渡る、数えることが出来ない馬の大群に跨る多くの人。その中央に、丁重に、厳重に扱われる駕籠のようなものがあった。いや、駕籠と呼ぶにはあまりにも綺麗で、大きく、まさに王室を移動できるように改良させたような印象を与える。
そして、見た目通り、その扱われ方は別格だった。
王室の周りに配置されている馬は、他の馬よりも一回りも体が大きく、その馬を操縦している人物も屈強な体つきをしていた。その中には、まるで金銀財宝と同等の価値を持つものがあると容易に想像することが出来る。
時間と言う概念から解放されたかのように、永遠にも感じられる刹那の間、クルムはこの場にはあまりにも相応しくない異質な王室から目を離すことが出来なかった。
――その理由は、ただ王室が豪華な造りをしていたからだけではない。
「……ッ」
王室の窓から、何者かが外の様子を――否、クルム達のことを眺めていたのだ。
残念ながら、その人物の表情まで見ることは叶わない。しかし、その人物が放つ存在感は、遠く離れていても分かる。きっと生まれながらにして、普通の人間とは違う扱いを受け、普通の人間には考えられない人生を生きてきたのだろう。
その者が放つ威圧に、思わずクルムは息を呑む。
クルムとその者の距離は遠く離れており、お互いの顔も分からない。
それなのに、この一瞬の邂逅は、まるで運命に導かれるように、在って然るべき出会いにさえ感じられる。
少なくとも、クルムの直感はそう告げていた。
「――」
しかし、相手はクルムのことを見定めたのか、ふと興を削がれたかのように視線を外した。クルム達に向けて放たれていた威圧も、同時に消える。
そうしたことで、全ての動きが止まったかのように思われた時間も、元のように動き出す。
クルムが目を奪われていた王室は、あっという間の速度で遠くに走り去ると、小さくなり、やがて完全に見えなくなってしまった。
その後も続けて、馬たちがビオス平原を横断し――、そして、最後の馬がクルム達の横をようやく通り過ぎる。
最後の馬が姿も見えなくなるくらいに離れていくと、先ほどの振動も、音も、砂塵も、まるで全てが夢のようだと錯覚してしまうほど、ビオス平原は閑散とし始めた。
クルムは二人の頭から手を離し、ゆっくりと立ち上がった。
「はぁはぁ」
静かになったビオス平原に、荒々しい呼吸だけが響く。
津波のように押し寄せる馬から解放されたリッカとシンクは肩で息をしながら、軍隊が去っていた方向を見つめた。
「な、何だったんだよ、あれ……」
「……まさか」
リッカは青ざめた顔をして、小さく首を横に振った。予想外のあり得ない事態を目の当たりにしているようだ。
世界三大勢力と呼ばれる世界政府に匹敵する集団など数が知れている。
「リッカさんの想像の答え合わせをしましょう」
クルムはそう言い残すと、軍隊が去った方角に向かって歩き出した。クルムが何を言わんとしているのかは分からなかったが、リッカとシンクはクルムの行動に口を挟むことなく、その背中を追う。
そして、歩く道の先、誰かが倒れていることを目にした。
恐らく、先ほどの集団から離脱してしまったのだろう。鎧を着ており、その腰には武器となる短剣が納められていた。倒れている人物の近くには、心配そうに見守っている馬がいる。
「ッ! ……やっぱり」
リッカは更に倒れている人物に近づくことで、先ほど通り過ぎた集団が何者なのだったのか、納得がいった。
彼が着る鎧に光り輝く太陽のようなシンボルが刻印されていた。その刻印の持つ意味を知らない者は、このダオレイスの中には誰一人存在しない。
だから、それこそ世界政府であるリッカ・ヴェントがその刻印を見間違えるはずがないのだ。
その鎧に刻まれている太陽はまさに――、
「シエル教団」
――世界三大勢力の一つとされるシエル教団を象徴するための刻印だった。
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