メティス・ラヴァルの冒険書

学生編

32話 演武

32話　演武

「ファムちゃん改めて優勝おめでとう！！」

「ありがとう！カンパーイ！！！」

あの後急いで舞台の方に戻り、最前列を陣取り祝勝会兼今回のメインイベントの演武を見に来た。
ちなみにあの後ネアカ君はファムちゃんにおめでとうだけ言って、用事があるからって言って消えてった。

「腕相撲の商品どうするの？連覇か二階級優勝したらマルゴ商店に無料でオーダーできるらしいよ。」

「え？！そうなの？オーダーかぁー。考えてなかった。」

「けど、これでハルバード手に入れれるね。」

「いや、ハルバードは自分のお金で買うよ！マルゴのお姉さんに取り置きしてもらってるじゃん。あんなに良くしてもらってるのに、買わないのは良くないじゃん。」

「そうか、そうだよね。じゃぁ商品どうするの？」

「悩むよねーハルバードを使うとしたら盾は使えないから、防具とかになるのかな？」

「うーん、どうなんだろう？けど、鎧って感じでもないよね。サブ武器とかは？」

「えーわたしそんな器用じゃないから、ハルバードだけで精一杯！」

「ハルバードだけで精一杯というより、ハルバード愛じゃないの？」

「それは否定しない。だって、あんなにカッコ良くて美しいじゃん。」

「それはマルゴのお姉さんの演武なんじゃ、、、」

「まぁまたマルゴのお姉さんに相談しようかな？」

「学校の先生より信頼されている、マルゴのお姉さん、、、」

「学校の先生を信頼してないわけじゃないけど、美人さんと喋りたいじゃん。」


そんな会話をしている間に始まった演武、食べ物と飲み物を持って観戦。
剣から始まり槍・武道と続いていく。
演武は学校の先生が一人で型を見せるのと組手をする二パターンあった。特に組手は盛り上がったよ。

槍の時、特にハルバードの時のファムちゃんの目の輝きは、完全に恋する乙女だったよ。
ちなみに、ハルバード貯金はかなりクエストを頑張ってるみたいで、もうすぐ買えるぐらい貯まっているらしい。

武道の時は何故かネアカ君も舞台に上がり、先生と組手をしていた。明るいし異常なコミュ力の高さがあるから、学年の人気者であるのもあって、キャーキャー言われてた。

弓の演武はどうするんだろ？遠当てかな？って思っていたら、中近接戦闘をイメージしたアクロバティックな動きと魔法陣を弓とゆがけに仕込んでの魔法弓。
カッコイイ！！
けど、もぅこれ騎士の要素ないよね。
魔法と弓師、弓じゃ受け流しもできないし。。。
いや、私も鞭と斧のだから騎士の要素薄すぎるんだけどね。

短刀の動きは細かく出入りを繰り返して、一撃の重さより手数の多さになる。小回りが効くから、切り上げ、切り下げ、水平切り、突、回転と多彩な動き。特に片手は逆手にもった二刀流の攻撃の多さは、短刀の攻撃力の低さを感じさせない動きだったよ。

そして斧の番になった。
両手斧の迫力のある攻撃、二本持ちの片手斧の素早い動き。カッコイイよね～。。。
けど、両手斧の時に男子が若干騒いでいたぐらいで、イマイチ盛り上がってないんだよね。もっと分かって欲しいよ。特にマァリッシュなんて破壊力と形状の美しさが完璧なのに。

片手斧の先生の演武が終わり、交代するように舞台に上がってきたのは、見知った人だった。
いや、斧の先生はみんな見知ってるんだけど、先生ではなく、、、、


アレは、、、




「こんにちは。マルゴ商店のモンモランシ・ラヴァルです。本日はこの場を借りて、この春に当店から発売した片手斧のマァリッシュを紹介しようと思います。
特徴としては、片手斧と武道と短刀を混ぜた使い方になります。どれかを修得している方にとっては案外馴染みやすいかと武器になるかと思います。
なにぶん発売したばかりで、使い方が普通の片手斧とは異なり、使い手が少ない状況なので、先生方に替わり私が演武をさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。」

、、、父さんだ。


スッと半身になり腰を少し落として構える。
突から始まったその演武は、しゃがみ込みの回転足払い、上半身を半テンポズラしての回転斬り、身体を起こしながらの膝蹴り、水平切り、切り上げ、袈裟斬り、切り上げからの両手の掌底、追撃するように突からの横切り、頭部を掴んでの投げ、、、
流れるような演武は、斧と短刀と武道の複合技術。
溜めて攻撃というより、遠心力による破壊力。
短刀のように突や小回りの効く動き。
リーチが短い分を補うような足技などを使った武道。
緩急をつけた動き。

贔屓目なしでカッコイイし美しいよ。
私もアレができるようになるんだ！！

いつかね、、、
きっと、、、
できるはず。。。

演武中盛り上がるかな？て思っていたけど、静寂の中に父さんの衣擦れと空を切る攻撃音が鳴っているだけだった。
誰もが認めるイケメン、洗礼された演武、女子はもちろん、男子も見惚れないわけがない。
そして、三分程の演武が終わり、一礼すると、大きな歓声が起きた。



この年の一年生の選択科目は圧倒的に斧を選択するする人が多かった。その中でも特にマァリッシュが人気になり、この日の放課後マルゴ商店王都店のマァリッシュの在庫がなくなり、暫く間に入荷しては即日完売が続いた。安定して店舗に商品が並ぶようになったのは、夏休み明けだったらしい。
買えるなら先に買っときなさいって、これを予知してたのかな？だとしたら、ナルシ、、、いや、結果がついて回ってるんだよな、あの人わ。