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第77話 誤爆告白の余波
翌朝、目覚めると枕元のスマホにメッセージが届いていた。
差し出し人は、御影さん。
『おはようございます、陽様。よく眠れましたか。体調は崩されていないでしょうか。今日からまた海の家でのお仕事ですね。大変でしょうが、応援しております。ですが、頑張り過ぎは禁物ですよ。陽様はすぐに無茶をなさるから、心配になります。何かございましたら、すぐに私を頼ってください。私はいつでも、貴方の味方ですよ』
なかなかに長文だ。でも、そこに込められた彼の想いに、じんわりと心が温かくなる。
……と、まだ続きがあるようだ。
『――追伸。昨日の出来事があまりにも身に余る幸福だった為、一夜明けた今、よもや夢だったのではないかと少々不安になっております。そうではないと、あれは現実だったのだと、貴方の口から今一度お聞かせ頂けたら幸いですが、それはやはり鬱陶しい願いでしょうか。ですが、もしも陽様が私と同じ不安を抱いていらしたとしたら、私はそれをすぐに払拭して差し上げましょう。――愛しています。心より』
おぉ……朝から重い。想いが重い。
胸焼けしそうな甘さに若干引きつつも、御影さんらしいな、と思うと何だか愛おしくて、口元に笑みが零れた。
『夢じゃないです』
とりあえず、それだけ返信してスマホを伏せた。
もう一度布団に背中を預けながら、昨日の出来事をしみじみと噛み締める。
――そうだ、夢じゃない。
オレ達は昨日……遂に、結ばれたんだ。
御影さんの激重ラブメッセージが、それを教えてくれた。
幸せだ……でも、ふと脳裏に浮かんだのは、赤髪のあの人の顔だった。
幸せなのに、どこか後ろめたい気がしてしまうのは……あの人の問題が片付いていないからだろう。
オレは今度こそ身を起こすと、そっと吐息をした。
◆◇◆
例のピアスを渡すと、水越さんは感激して涙ぐんだ。
「これっ! 嘘、どうして!?」
「あの後、気になって引き返して……砂浜に落ちてたよ」
「見つけてくれたの!? ありがとう、嬉しい! もう戻ってこないと思ってたからさぁ!」
手放しで喜ぶ彼女の明るい笑顔を見ていると、オレの心も晴れるようだった。
改めて、見つかって良かったし、探して良かった。
「やるじゃん、日向さん」
と、真島さんからの称賛には、はにかむように苦笑する。
「オ、私だけじゃなくて……東雲さんも一緒に探してくれたんですけど」
ちらと視線を空の席に移した。畳敷きの和風食堂。座卓に配置された真向かいの座布団。そこは、いつもなら東雲さんが座っている場所だった。
社員寮代わりのこの民宿では、朝と夜に食事が出る。各6(18)時~9(21時)の間に取る決まりとなっているが、昨夜はオレの帰宿が遅れた為か、夕餉の席で東雲さんに会うことはなかった。
そして、今朝も……何故か、彼の姿が無い。
「へぇえ、東雲君が! 彼にもお礼言わないと!」
「そういえば、今日まだ来てないね?」
「うん……どうしたんだろう」
「さぁ? 疲れてるんじゃない? 昨夜、夕飯の席には居たけど、ピアスの話もされなかったよ?」
「え? そうなの?」
「うん、何かボーッとしてたよね。心ここに在らず、みたいな」
「そうそう」
「だから、疲れてるんじゃないかと思ったけど」
「……」
水越さんと真島さんが頷き合う。その話を聞いていて、オレの心は穏やかではなかった。
やっぱり、東雲さん……昨日のこと、気にしてるんじゃ……。
「それとも、日向さんと何かあったとか?」
「!」
『好きだ』――咄嗟に、脳内に東雲さんの言葉がリフレインした。
「な、無いよ! 何も!」
「そう? 本当に? 心当たり無い?」
「無いってば!」
思わず力一杯否定してしまったが、真島さんは信じていなさそうで、「ふーん」と意味ありげに鼻を鳴らした。こちらを見据える涼し気な瞳に、全て見透かされているような気がして落ち着かない。
何かあったかといえば、あったのかもしれないけれど……あれは、本当にオレに向けられた言葉だったんだろうか。
◆◇◆
「……はよっす」
省略気味の挨拶を携えて、東雲さんが海の家の従業員控え室に顔を出した。
来た――!
「お、おはようございます!」
つい身構えて、不自然な返しになってしまった。慌てて取り繕うように、話し掛ける。
「東雲さん、昨日はすみませんでした。話の途中で……」
「や……別に」
「これ、お借りした上着です。洗ってありますので……えっと、ありがとうございました」
「ああ……」
オレが差し出した衣類には一瞥をくれたものの、それを受け取る間も東雲さんの視線は一切こちらを向かない。
これは……。
「あの、朝食の時、居ませんでしたけど……どこか具合が悪かったりとか」
「いや、単に寝坊しただけだ」
「そうでしたか。それなら、いいんですが……」
いや、良くもないだろう。内心自己ツッコミしつつ、考えを巡らせる。
寝坊……か。言われてみれば、東雲さんの目の下には薄らと隈が出来ていた。もしかして、昨夜は眠れなかったのか。
まさか、避けられてるんじゃ? なんて思ってたけど、この様子だと分からないな。
確かに睡眠不足みたいだし、本当に寝坊したのかもしれないけど……こうして目を逸らされているのを見ると、避けられていないとも言えない。
やっぱり、昨日のこと……?
でも……訊けない!
昨日、オレに告白しましたよね? あれ、本気ですか? なんて……訊ける訳がない!
心中で頭を抱えている内に、就業時間が来て店表に出た。一番乗りの店長が元気な声で迎えてくれる。
「二人とも、おはよう! 昨日は皆で遊んだんだって? いいねぇ、青春だね! 楽しかったかい?」
「は、はい! とっても」
タイムリー過ぎる話題! 今それ聞かないでくれ!
東雲さんの方を横目で確認するも、彼は無言のまま、そっぽを向いている。
うぅ……元々愛想良い人ではなかったけど、ずっとこの調子で気まずいのもヤダな……。
どうしたものか、と思案するも、特に良い考えが浮かぶこともなく、その後はただ悶々と時間が過ぎていった。
◆◇◆
深夜、22時半過ぎ。オレは周囲を警戒しながら、民宿一階の廊下を歩いていた。目指す先は、入浴施設。
……よし、誰も居ないな。
辺りをキョロキョロ見回して改めて確認すると、男湯の暖簾を潜った。
小さな宿なので、当然部屋に備え付けのシャワーブースなどがある訳もなく、お風呂は共同だ。温泉という訳ではないし、浴槽も男女各一つきり。姫寮の広過ぎるそれと比べてしまうと狭く感じられるが、それでも一般家庭よりは少し大きいくらいの規模だった。
オレは妹の替え玉で表向き女性ということになっているので、本来の性別である男湯に入るのも人目を偲ぶ必要がある。
という訳で、あらかた皆が入り終えた後、〆の23時直前を狙ってこっそり入浴することにしていた。
(ちなみに、寝室の方はめちゃくちゃ寝相が悪いという理由を騙って個室にして貰ったぞ!)
「はぁ……」
身体を洗い終えた後、早速湯船に浸かると、快い温感に自然と嘆息が漏れた。全身を包む疲労感がゆっくりと和らいでいくのを感じる。
今日は凡ミスばっかりだったな。全然、仕事に集中出来てなかった。
我ながら情けなく思う。
折角、御影さんと両想いになれて、そっちの悩みは吹き飛んでしまったというのに、これじゃあ……。
「……やっぱり、東雲さんともちゃんと話したいな」
ぽつり、独り言つ。
また誤魔化されるかもしれないけれど……あの告白のことをなぁなぁで流したまま、夏休みを終えて東雲さんと二度と会えなくなるなんてのは、ごめんだ。
「よし! 今日はもう遅いから、明日こそ」
決意を固め、拳を握った、その直後――浴室の扉が開く音がした。
「!?」
ひやりとした空気が流れ込み、立ち上る湯気を散らす。その先に――。
「は!? ひ、日向!?」
――裸の東雲さんが居た。
差し出し人は、御影さん。
『おはようございます、陽様。よく眠れましたか。体調は崩されていないでしょうか。今日からまた海の家でのお仕事ですね。大変でしょうが、応援しております。ですが、頑張り過ぎは禁物ですよ。陽様はすぐに無茶をなさるから、心配になります。何かございましたら、すぐに私を頼ってください。私はいつでも、貴方の味方ですよ』
なかなかに長文だ。でも、そこに込められた彼の想いに、じんわりと心が温かくなる。
……と、まだ続きがあるようだ。
『――追伸。昨日の出来事があまりにも身に余る幸福だった為、一夜明けた今、よもや夢だったのではないかと少々不安になっております。そうではないと、あれは現実だったのだと、貴方の口から今一度お聞かせ頂けたら幸いですが、それはやはり鬱陶しい願いでしょうか。ですが、もしも陽様が私と同じ不安を抱いていらしたとしたら、私はそれをすぐに払拭して差し上げましょう。――愛しています。心より』
おぉ……朝から重い。想いが重い。
胸焼けしそうな甘さに若干引きつつも、御影さんらしいな、と思うと何だか愛おしくて、口元に笑みが零れた。
『夢じゃないです』
とりあえず、それだけ返信してスマホを伏せた。
もう一度布団に背中を預けながら、昨日の出来事をしみじみと噛み締める。
――そうだ、夢じゃない。
オレ達は昨日……遂に、結ばれたんだ。
御影さんの激重ラブメッセージが、それを教えてくれた。
幸せだ……でも、ふと脳裏に浮かんだのは、赤髪のあの人の顔だった。
幸せなのに、どこか後ろめたい気がしてしまうのは……あの人の問題が片付いていないからだろう。
オレは今度こそ身を起こすと、そっと吐息をした。
◆◇◆
例のピアスを渡すと、水越さんは感激して涙ぐんだ。
「これっ! 嘘、どうして!?」
「あの後、気になって引き返して……砂浜に落ちてたよ」
「見つけてくれたの!? ありがとう、嬉しい! もう戻ってこないと思ってたからさぁ!」
手放しで喜ぶ彼女の明るい笑顔を見ていると、オレの心も晴れるようだった。
改めて、見つかって良かったし、探して良かった。
「やるじゃん、日向さん」
と、真島さんからの称賛には、はにかむように苦笑する。
「オ、私だけじゃなくて……東雲さんも一緒に探してくれたんですけど」
ちらと視線を空の席に移した。畳敷きの和風食堂。座卓に配置された真向かいの座布団。そこは、いつもなら東雲さんが座っている場所だった。
社員寮代わりのこの民宿では、朝と夜に食事が出る。各6(18)時~9(21時)の間に取る決まりとなっているが、昨夜はオレの帰宿が遅れた為か、夕餉の席で東雲さんに会うことはなかった。
そして、今朝も……何故か、彼の姿が無い。
「へぇえ、東雲君が! 彼にもお礼言わないと!」
「そういえば、今日まだ来てないね?」
「うん……どうしたんだろう」
「さぁ? 疲れてるんじゃない? 昨夜、夕飯の席には居たけど、ピアスの話もされなかったよ?」
「え? そうなの?」
「うん、何かボーッとしてたよね。心ここに在らず、みたいな」
「そうそう」
「だから、疲れてるんじゃないかと思ったけど」
「……」
水越さんと真島さんが頷き合う。その話を聞いていて、オレの心は穏やかではなかった。
やっぱり、東雲さん……昨日のこと、気にしてるんじゃ……。
「それとも、日向さんと何かあったとか?」
「!」
『好きだ』――咄嗟に、脳内に東雲さんの言葉がリフレインした。
「な、無いよ! 何も!」
「そう? 本当に? 心当たり無い?」
「無いってば!」
思わず力一杯否定してしまったが、真島さんは信じていなさそうで、「ふーん」と意味ありげに鼻を鳴らした。こちらを見据える涼し気な瞳に、全て見透かされているような気がして落ち着かない。
何かあったかといえば、あったのかもしれないけれど……あれは、本当にオレに向けられた言葉だったんだろうか。
◆◇◆
「……はよっす」
省略気味の挨拶を携えて、東雲さんが海の家の従業員控え室に顔を出した。
来た――!
「お、おはようございます!」
つい身構えて、不自然な返しになってしまった。慌てて取り繕うように、話し掛ける。
「東雲さん、昨日はすみませんでした。話の途中で……」
「や……別に」
「これ、お借りした上着です。洗ってありますので……えっと、ありがとうございました」
「ああ……」
オレが差し出した衣類には一瞥をくれたものの、それを受け取る間も東雲さんの視線は一切こちらを向かない。
これは……。
「あの、朝食の時、居ませんでしたけど……どこか具合が悪かったりとか」
「いや、単に寝坊しただけだ」
「そうでしたか。それなら、いいんですが……」
いや、良くもないだろう。内心自己ツッコミしつつ、考えを巡らせる。
寝坊……か。言われてみれば、東雲さんの目の下には薄らと隈が出来ていた。もしかして、昨夜は眠れなかったのか。
まさか、避けられてるんじゃ? なんて思ってたけど、この様子だと分からないな。
確かに睡眠不足みたいだし、本当に寝坊したのかもしれないけど……こうして目を逸らされているのを見ると、避けられていないとも言えない。
やっぱり、昨日のこと……?
でも……訊けない!
昨日、オレに告白しましたよね? あれ、本気ですか? なんて……訊ける訳がない!
心中で頭を抱えている内に、就業時間が来て店表に出た。一番乗りの店長が元気な声で迎えてくれる。
「二人とも、おはよう! 昨日は皆で遊んだんだって? いいねぇ、青春だね! 楽しかったかい?」
「は、はい! とっても」
タイムリー過ぎる話題! 今それ聞かないでくれ!
東雲さんの方を横目で確認するも、彼は無言のまま、そっぽを向いている。
うぅ……元々愛想良い人ではなかったけど、ずっとこの調子で気まずいのもヤダな……。
どうしたものか、と思案するも、特に良い考えが浮かぶこともなく、その後はただ悶々と時間が過ぎていった。
◆◇◆
深夜、22時半過ぎ。オレは周囲を警戒しながら、民宿一階の廊下を歩いていた。目指す先は、入浴施設。
……よし、誰も居ないな。
辺りをキョロキョロ見回して改めて確認すると、男湯の暖簾を潜った。
小さな宿なので、当然部屋に備え付けのシャワーブースなどがある訳もなく、お風呂は共同だ。温泉という訳ではないし、浴槽も男女各一つきり。姫寮の広過ぎるそれと比べてしまうと狭く感じられるが、それでも一般家庭よりは少し大きいくらいの規模だった。
オレは妹の替え玉で表向き女性ということになっているので、本来の性別である男湯に入るのも人目を偲ぶ必要がある。
という訳で、あらかた皆が入り終えた後、〆の23時直前を狙ってこっそり入浴することにしていた。
(ちなみに、寝室の方はめちゃくちゃ寝相が悪いという理由を騙って個室にして貰ったぞ!)
「はぁ……」
身体を洗い終えた後、早速湯船に浸かると、快い温感に自然と嘆息が漏れた。全身を包む疲労感がゆっくりと和らいでいくのを感じる。
今日は凡ミスばっかりだったな。全然、仕事に集中出来てなかった。
我ながら情けなく思う。
折角、御影さんと両想いになれて、そっちの悩みは吹き飛んでしまったというのに、これじゃあ……。
「……やっぱり、東雲さんともちゃんと話したいな」
ぽつり、独り言つ。
また誤魔化されるかもしれないけれど……あの告白のことをなぁなぁで流したまま、夏休みを終えて東雲さんと二度と会えなくなるなんてのは、ごめんだ。
「よし! 今日はもう遅いから、明日こそ」
決意を固め、拳を握った、その直後――浴室の扉が開く音がした。
「!?」
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「は!? ひ、日向!?」
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