追放された俺、【神農具】で最強農家に! ~聖女も令嬢も俺の野菜に夢中。今さら実家(雑草)に泣きつかれても遅いんだが?~

うはっきゅう

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第七話:豊穣の村と、飢える王都

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 アナスタシア公爵(ヒロイン③)は、結局、俺の「種まきが終わるまで待て」という(農家として当然の)主張と、「アルトさんは村の宝です!」というリリア(ヒロイン①)の必死の抵抗に遭い、【魅惑のバラ】を数本だけ持って、ひとまず城に帰っていった。
(※なお、去り際の彼女の目は、完全に「獲物」を見る目だった。怖すぎる)

 ​さて、そんなこんなで俺の周辺は騒がしいが、テルマ村はかつてないほどの『豊穣』を謳歌していた。
 俺の畑から産出される作物は、もはや奇跡の領域だ。

・【黄金小麦】で作ったパンは、一つ食べれば三日飢えを知らず。
・【鋼鉄カボチャ】は、最強の防具兼保存食として。
・【超回復ハーブ】は、万能薬として。
・【爆裂トマト】は、対魔物用の最終兵器として。

 ​テルマ村は、人口も急増し、寂れた辺境の村から、王国で最も安全で、最も豊かな「食料庫」へと変貌していた。
 村人たちの顔には笑顔が溢れ、子供たちの笑い声が響く。
 これこそが、俺がやりたかった「農業」だ。


 ​一方、その頃。
 俺が救った(※ハーブで)はずの、王都。
 そして、俺を追放した実家、バルフォア子爵領は――
 ​対照的に、地獄の様相を呈していた。

「水だ……水をくれ……」
「食い物がない……パンのかけらでもいい……」
 ​王都に、再び絶望の影が差していた。
 セレナが持ち帰った【超回復ハーブ】によって、疫病そのものは確かに収まった。
 だが、根本的な問題が解決していなかったのだ。
 ​そう、『不作』である。

「なぜだ!  なぜ作物が育たん!」

 バルフォア子爵――俺の父、ロードリックは、自領の枯れ果てた畑を見て絶叫していた。

「疫病は治ったはずだ!  なのに、土地が死んだままだ!」

 ​当たり前だ。
 俺という「雑草(最強の生命力源)」がいた頃は、俺の存在そのものが、無意識にバルフォア領の土地を活性化させていた。
 さらに、俺が趣味で育てていた【魔力調整ハーブ】が、領地内のマナのバランスを(俺も知らずに)取っていたのだ。


 ​俺が追放された。
 ↓
 【魔力調整ハーブ】が枯れた。
 ↓
 土地のマナバランスが崩壊。
 ↓
① 土地が痩せ細り、疫病(瘴気)が発生(←セレナがハーブで解決)
② あらゆる作物が育たなくなる(←今ココ!)
③ 領地の結界が弱まり、魔物が爆増(←今ココ!)


「父上!  このままでは領民が餓死します!」
「騎士団(長兄)も魔術師団(次兄)も、魔物への対処で手一杯です!」

 ​長兄と次兄が、焦燥しきった顔で父に詰め寄る。
 もはや、俺を追放した時の余裕など、彼らのどこにも残っていない。
 騎士も魔術師も、食い物がなければ戦えないのだ。

「ええい、黙れ!  役立たずどもが!」

 父は、八つ当たりするように叫ぶ。

「こうなったら……アシュフォード侯爵家に泣きつくしか……!」
「それが……ロードリック様……」

 そこへ、一人の使者が、血相を変えて飛び込んできた。

「アシュフォード侯爵家が……!  我が家(バルフォア)への支援を、全面停止すると通達してきました!」
「な、なんだとォ!?」
「また、再調整していたイザベラ様との婚約も白紙に戻すと!」
「馬鹿な!  アシュフォード家は、我が領地に多額の投資をしていたはずだ!  今、支援を止めれば、彼らも共倒れになるぞ!」

 父が激昂する。

 ​「それが……アシュフォード侯爵家は、新たな支援先を見つけたようで……」

 使者は、恐る恐る口を開いた。

「なんでも、辺境のテルマ村とかいう場所が、疫病を治すハーブだけでなく、鋼鉄のカボチャや黄金の小麦を、無限に産出しているとか……」
「テルマ村……?」

 父は、その名前に聞き覚えがない。
 だが、その場にいた、もう一人の人物が、その名前に反応した。

「……テルマ村ですって……?」

 青ざめた顔で震えていたのは、俺の元婚約者、イザベラだった。
 彼女は、アシュフォード侯爵家から「バルフォア家を見限る」と通告され、実家からも見放され、今や俺の実家に居候するしかない、惨めな立場に落ちぶれていた。
 ​イザベラは、震える手で、王都で出回っている「奇跡の作物リスト」を見た。
 そこに書かれた、作物の供給元の名前。

『テルマ村・農場代表 アルト』

「あ……あ……」

 イザベラの目から、光が消えた。

「アルト……?  あの雑草の……アルトだと……?」

 父、ロードリックも、その名前を見て絶句した。
 自分たちが「無能」「雑草」と罵り、追放した三男。
 あの、役立たずだったはずの、アルト。 

「まさか……あの【農業スキル】が……?  馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!!」 

 父が、膝から崩れ落ちる。

「アルト様……」

 イザベラは、ガタガタと震えながら呟いた。

「私……私、間違って……?」

 ​王都とバルフォア領が、飢えと絶望の淵に沈んでいく。
 それは全て、彼らが自ら蒔いた種。
 最強の「雑草」を刈り取った、当然の報い(ざまぁ)だった。
 彼らが、土下座しに俺の前に現れるまで、あと――
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