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本編
エピローグ:灯火の行方
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【月刊『MUSICA』 20xx年 5月号 巻頭特集『Ignite - 5周年の軌跡』より抜粋】
Q. デビューから5年。移り変わりの激しいアイドル業界で、あなたたちが輝き続けてこられた理由はなんだと思いますか?
ユウト:「変わらないこと」と「変わり続けること」のバランスじゃないですかね。根っこの部分はデビュー前から何も変わってない。でも、表現方法は常にアップデートしてる。その矛盾を面白がれているうちは、大丈夫だと思います。
ソウタ: 俺はもう、単純にメンバーが好きだからっスね! 家族より一緒にいる時間が長いのに、未だに楽屋がうるさいんですよ、ウチ(笑)。
コマチ: 腐れ縁ですよ、腐れ縁。……まあ、ファンの皆さんが俺たちの「わちゃわちゃ」を求めてくれてるなら、おじいちゃんになるまでやってやりますよ。
ロク: んー……。「音」が楽しいから、かな。六人で合わせる音が、一番落ち着く場所だから。
トキ: うーん、難しいですね(笑)。でも、あえて言うなら「信じること」かな。隣にいるメンバーを、そして待っててくれるファンを。疑わずに信じ抜く強さが、僕らの武器だと思います。
チカ: ……俺たちが「花火」じゃなかったから、だと思います。一瞬で燃え尽きる強烈な光じゃなくて、雨の日も風の日も、泥臭く燃え続ける「灯火」でありたいと、ずっと思ってきたから。……その火を絶やさないように、一番近くで薪をくべ続けてくれた仲間がいたから、今の俺がいます。
雑誌のページを閉じて、チカは深く息を吐いた。
目の前には、光の海が広がっていた。
東京ドーム。
かつて夢物語だと思っていたその景色が、今、現実のものとして彼らを待っている。
地鳴りのような歓声が、分厚い防音カーテン越しにも響いてくる。
五年前。あのソラとの対決で、震える足で立ったステージとは、もう何もかもが違う。
「……チカ」
暗がりの中で、温かい手が差し出された。
トキだ。
少し大人びた顔つきになったけれど、その瞳にある、チカだけを映す優しく熱い色は、あの頃と少しも変わっていない。
「準備はいい?」
「……ああ。いつでもいける」
チカは、差し出されたその手を、強く握り返した。
あの夜、雪の降る部屋で誓った「永遠」は、嘘じゃなかった。
期間限定の輝きを放ち、鮮烈に散っていったライバルたちのことを、時折思い出すこともある。
けれど、俺たちはここにいる。
日常を積み重ね、傷を癒やし合い、愛を育んで、ここまで歩いてきた。
円陣を組む。
六人の手が重なる。
「よし……行くぞ、イグナイト!!」
「「「オーッ!!!」」」
掛け声と共に、六人は光の中へと駆け出した。
まばゆいスポットライトの向こうへ。
終わりのない、最高の日常が待つ、その場所へ。
二人の繋いだ手は、ステージに上がる直前まで、決して離れることはなかった。
<完>
Q. デビューから5年。移り変わりの激しいアイドル業界で、あなたたちが輝き続けてこられた理由はなんだと思いますか?
ユウト:「変わらないこと」と「変わり続けること」のバランスじゃないですかね。根っこの部分はデビュー前から何も変わってない。でも、表現方法は常にアップデートしてる。その矛盾を面白がれているうちは、大丈夫だと思います。
ソウタ: 俺はもう、単純にメンバーが好きだからっスね! 家族より一緒にいる時間が長いのに、未だに楽屋がうるさいんですよ、ウチ(笑)。
コマチ: 腐れ縁ですよ、腐れ縁。……まあ、ファンの皆さんが俺たちの「わちゃわちゃ」を求めてくれてるなら、おじいちゃんになるまでやってやりますよ。
ロク: んー……。「音」が楽しいから、かな。六人で合わせる音が、一番落ち着く場所だから。
トキ: うーん、難しいですね(笑)。でも、あえて言うなら「信じること」かな。隣にいるメンバーを、そして待っててくれるファンを。疑わずに信じ抜く強さが、僕らの武器だと思います。
チカ: ……俺たちが「花火」じゃなかったから、だと思います。一瞬で燃え尽きる強烈な光じゃなくて、雨の日も風の日も、泥臭く燃え続ける「灯火」でありたいと、ずっと思ってきたから。……その火を絶やさないように、一番近くで薪をくべ続けてくれた仲間がいたから、今の俺がいます。
雑誌のページを閉じて、チカは深く息を吐いた。
目の前には、光の海が広がっていた。
東京ドーム。
かつて夢物語だと思っていたその景色が、今、現実のものとして彼らを待っている。
地鳴りのような歓声が、分厚い防音カーテン越しにも響いてくる。
五年前。あのソラとの対決で、震える足で立ったステージとは、もう何もかもが違う。
「……チカ」
暗がりの中で、温かい手が差し出された。
トキだ。
少し大人びた顔つきになったけれど、その瞳にある、チカだけを映す優しく熱い色は、あの頃と少しも変わっていない。
「準備はいい?」
「……ああ。いつでもいける」
チカは、差し出されたその手を、強く握り返した。
あの夜、雪の降る部屋で誓った「永遠」は、嘘じゃなかった。
期間限定の輝きを放ち、鮮烈に散っていったライバルたちのことを、時折思い出すこともある。
けれど、俺たちはここにいる。
日常を積み重ね、傷を癒やし合い、愛を育んで、ここまで歩いてきた。
円陣を組む。
六人の手が重なる。
「よし……行くぞ、イグナイト!!」
「「「オーッ!!!」」」
掛け声と共に、六人は光の中へと駆け出した。
まばゆいスポットライトの向こうへ。
終わりのない、最高の日常が待つ、その場所へ。
二人の繋いだ手は、ステージに上がる直前まで、決して離れることはなかった。
<完>
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