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帝位継承権争い?興味ねえ!
父上に呼び出しくらった
あれから2ヶ月の時が過ぎた。
二重魔法陣の一筆書きの研究は完全に行き詰まっていた。どう頑張っても一筆書き出来ない。一度無理くり一筆書きにしてみたが、別の魔法の魔法陣が出来上がってしまった。後からわかったことだが、魔法陣は線の長さや形、角度によって魔法の種類が決まるらしい。一筆で描くために直線を途中で分けてしまったり、線を重ねて描いたり、角度を少し変えてしまったりしていたのがいけなかったのだ。直線の長さを変えず、線の二度描きもせず、角度も変えずに二重魔法陣を描く方法など、そう思いつくはずもなく。色々な書物を読んで方法を模索しているが、研究は一向に進みそうにもない。
魔法陣の耐久性と簡略化の研究の方は少しずつだか着実に進んでいる。
耐久性を上げるのは単純に、魔法陣を描く時に込める魔力量を増やせば良いのだ。だがあまり多すぎると、完成した魔法陣に魔力を流し込んだ時に、その魔力を魔法陣の線が持つ残存魔力で打ち消してしまうことがある。まあそれは俺くらいの魔力量でない限り有り得ない現象だから、そこまで気にするべきことではない。それに魔法陣の線が持つ残存魔力は動いていないため、マグロ性質な魔力は時間が経てば消滅する。たがら描いてすぐに使わず、魔力を十分抜いてから使えば問題ないのだ。耐久性については一度結論は出たものの、他の方法でも高められないか研究中だ。
簡略化する方法については、二重魔法陣のところで説明したが魔法陣の魔法の種類は線の長さや形、角度によって決まるため、それを上手く利用すれば良い。魔法陣の線の法則性を突き詰めて行くと、既存の魔法陣でも必要のない線や、もっと効率の良い線の引き方がある場合がある。そんな魔法陣を手直しして発動してみると、既存の魔法陣より少ない魔力量で、より長く持続させることが出来た。今は新しい法則性を見つけ出し、それに基づいて無駄のない魔法陣を作り出す研究を繰り返し行っている。
成果を挙げている研究を二重魔法陣の研究に活かせないかと試行錯誤を重ねているが、結果は芳しくない。
やはり二重魔法陣という高難易度の研究は、もっと後回しにした方が良かっただろうか?でも少しでも早くヴァイナモに使ってもらいたい。今は察知魔法の魔法陣と防御魔法の魔法陣を個別で作り、ヴァイナモに渡している。ん?別にそれで良いんじゃ?って?だけどそれだと危険を察知したらヴァイナモに伝わり、そこから意識的に防御魔法を発動させる必要があり、タイムラグと手間がかかるのだ。危険はいつやって来るかわからないから、危険察知したら自動で防御魔法を展開出来るような仕組みにしておきたい。
そんなこんなで2ヶ月も経つと、次第に司書達が俺に驚かなくなり「また来たのか」という視線を送られるか、そのままスルーされるようになった。逆に宮殿内では俺の噂が広まり、視線とヒソヒソ話は日に日に増すばかりだ。何を噂されようと痛くも痒くもないが、少し鬱陶しくは思う。
そしてヴァイナモとはすっかり魔法陣仲間となった。お互い敬語は崩さないが、今まで以上に砕けた口調で話したり、ヴァイナモが二人きりの時に俺のことを「エルネスティ様」と呼ぶようになったりと、距離が随分縮まった。中級貴族の子息、ましてや騎士が皇子に『殿下』とつけないことは、余程の仲でないと有り得ない。それだけ仲良くなれたと思うと、嬉しくて仕方がない。
そうだよ俺は今幸せを浸っているんだよ。なんで態々緊張することしなくちゃいけないの?
「……エルネスティ様、現実逃避は済みましたか?」
「いいえ現実逃避ではありません。これはこの2ヶ月を回顧した意義のあるものでして……」
「ですが陛下への謁見は無くなりませんよ」
「……あああああ面倒臭い」
そう、何故か俺は皇帝に呼び出しをくらったのである。面倒なことこの上ない。その時間を研究にあてたいのに。でも皇帝の呼び出しを無視することは流石に出来ないし、断る理由もない。朝から億劫に思いながら正装を身にまとっている。
「……最近は変人って印象が強すぎて忘れがちだったのですが、エルネスティ様ってビックリするぐらい美形ですね」
「そうでしょうよ。自称天使です」
「自分で言うなと言うべきところでしょうが、否定出来ないのがなんとも……」
自惚れ云々を抜きにして考えたとしても、俺は天使である。金色のふわっとした髪に青空を映したような鮮やかな瞳、小柄で華奢な体つきに誰遺伝が皆目見当もつかない童顔。The天使である。生粋の変態がホイホイ釣れそうな天使である。
「ヴァイナモもとても似合ってますよ」
「堅苦しくて苦手なんですけどね」
ヴァイナモは大きく近衛騎士団の紋様が刺繍されたマントを摘みながら不満を零す。ヴァイナモも何時もの護衛に特化した簡潔な制服でもなく、謁見用の正装をしていた。と言っても何時もの服にマントを羽織ったり勲章を付けたりしただけだが。あっ、後何時もは下ろされている前髪を上げている。イケメンは何をやっても似合うものである。
「……さて、そろそろ行きますか」
「あああああ嫌です面倒です今すぐ研究室に籠りたいです~!」
「ちょっとの間なので我慢してください」
ヴァイナモ駄々こねっ子みたいにジタバタする俺の背を押した。ちょっ、割と力が強いだぞ!
「おっとっと」
「っ!すみません!」
よろけた俺をヴァイナモは血相を変えて支えた。ヴァイナモのせいとはいえ、過保護すぎ。ちょっとよろけただけじゃん。まあ心配されるのは嫌じゃないけど。寧ろ嬉しいけど。
「……はあ、腹を括って行きますか」
「はい。最初からそうしてください」
だって本当に面倒なんだもん、仕方ねえでしょ?
* * * * * * * * *
2020/06/22
中盤、『1ヶ月も経つと』を『2ヶ月も経つと』に修正しました
2020/12/29
『1ヶ月を回顧』を『2ヶ月を回顧』に修正しました。
二重魔法陣の一筆書きの研究は完全に行き詰まっていた。どう頑張っても一筆書き出来ない。一度無理くり一筆書きにしてみたが、別の魔法の魔法陣が出来上がってしまった。後からわかったことだが、魔法陣は線の長さや形、角度によって魔法の種類が決まるらしい。一筆で描くために直線を途中で分けてしまったり、線を重ねて描いたり、角度を少し変えてしまったりしていたのがいけなかったのだ。直線の長さを変えず、線の二度描きもせず、角度も変えずに二重魔法陣を描く方法など、そう思いつくはずもなく。色々な書物を読んで方法を模索しているが、研究は一向に進みそうにもない。
魔法陣の耐久性と簡略化の研究の方は少しずつだか着実に進んでいる。
耐久性を上げるのは単純に、魔法陣を描く時に込める魔力量を増やせば良いのだ。だがあまり多すぎると、完成した魔法陣に魔力を流し込んだ時に、その魔力を魔法陣の線が持つ残存魔力で打ち消してしまうことがある。まあそれは俺くらいの魔力量でない限り有り得ない現象だから、そこまで気にするべきことではない。それに魔法陣の線が持つ残存魔力は動いていないため、マグロ性質な魔力は時間が経てば消滅する。たがら描いてすぐに使わず、魔力を十分抜いてから使えば問題ないのだ。耐久性については一度結論は出たものの、他の方法でも高められないか研究中だ。
簡略化する方法については、二重魔法陣のところで説明したが魔法陣の魔法の種類は線の長さや形、角度によって決まるため、それを上手く利用すれば良い。魔法陣の線の法則性を突き詰めて行くと、既存の魔法陣でも必要のない線や、もっと効率の良い線の引き方がある場合がある。そんな魔法陣を手直しして発動してみると、既存の魔法陣より少ない魔力量で、より長く持続させることが出来た。今は新しい法則性を見つけ出し、それに基づいて無駄のない魔法陣を作り出す研究を繰り返し行っている。
成果を挙げている研究を二重魔法陣の研究に活かせないかと試行錯誤を重ねているが、結果は芳しくない。
やはり二重魔法陣という高難易度の研究は、もっと後回しにした方が良かっただろうか?でも少しでも早くヴァイナモに使ってもらいたい。今は察知魔法の魔法陣と防御魔法の魔法陣を個別で作り、ヴァイナモに渡している。ん?別にそれで良いんじゃ?って?だけどそれだと危険を察知したらヴァイナモに伝わり、そこから意識的に防御魔法を発動させる必要があり、タイムラグと手間がかかるのだ。危険はいつやって来るかわからないから、危険察知したら自動で防御魔法を展開出来るような仕組みにしておきたい。
そんなこんなで2ヶ月も経つと、次第に司書達が俺に驚かなくなり「また来たのか」という視線を送られるか、そのままスルーされるようになった。逆に宮殿内では俺の噂が広まり、視線とヒソヒソ話は日に日に増すばかりだ。何を噂されようと痛くも痒くもないが、少し鬱陶しくは思う。
そしてヴァイナモとはすっかり魔法陣仲間となった。お互い敬語は崩さないが、今まで以上に砕けた口調で話したり、ヴァイナモが二人きりの時に俺のことを「エルネスティ様」と呼ぶようになったりと、距離が随分縮まった。中級貴族の子息、ましてや騎士が皇子に『殿下』とつけないことは、余程の仲でないと有り得ない。それだけ仲良くなれたと思うと、嬉しくて仕方がない。
そうだよ俺は今幸せを浸っているんだよ。なんで態々緊張することしなくちゃいけないの?
「……エルネスティ様、現実逃避は済みましたか?」
「いいえ現実逃避ではありません。これはこの2ヶ月を回顧した意義のあるものでして……」
「ですが陛下への謁見は無くなりませんよ」
「……あああああ面倒臭い」
そう、何故か俺は皇帝に呼び出しをくらったのである。面倒なことこの上ない。その時間を研究にあてたいのに。でも皇帝の呼び出しを無視することは流石に出来ないし、断る理由もない。朝から億劫に思いながら正装を身にまとっている。
「……最近は変人って印象が強すぎて忘れがちだったのですが、エルネスティ様ってビックリするぐらい美形ですね」
「そうでしょうよ。自称天使です」
「自分で言うなと言うべきところでしょうが、否定出来ないのがなんとも……」
自惚れ云々を抜きにして考えたとしても、俺は天使である。金色のふわっとした髪に青空を映したような鮮やかな瞳、小柄で華奢な体つきに誰遺伝が皆目見当もつかない童顔。The天使である。生粋の変態がホイホイ釣れそうな天使である。
「ヴァイナモもとても似合ってますよ」
「堅苦しくて苦手なんですけどね」
ヴァイナモは大きく近衛騎士団の紋様が刺繍されたマントを摘みながら不満を零す。ヴァイナモも何時もの護衛に特化した簡潔な制服でもなく、謁見用の正装をしていた。と言っても何時もの服にマントを羽織ったり勲章を付けたりしただけだが。あっ、後何時もは下ろされている前髪を上げている。イケメンは何をやっても似合うものである。
「……さて、そろそろ行きますか」
「あああああ嫌です面倒です今すぐ研究室に籠りたいです~!」
「ちょっとの間なので我慢してください」
ヴァイナモ駄々こねっ子みたいにジタバタする俺の背を押した。ちょっ、割と力が強いだぞ!
「おっとっと」
「っ!すみません!」
よろけた俺をヴァイナモは血相を変えて支えた。ヴァイナモのせいとはいえ、過保護すぎ。ちょっとよろけただけじゃん。まあ心配されるのは嫌じゃないけど。寧ろ嬉しいけど。
「……はあ、腹を括って行きますか」
「はい。最初からそうしてください」
だって本当に面倒なんだもん、仕方ねえでしょ?
* * * * * * * * *
2020/06/22
中盤、『1ヶ月も経つと』を『2ヶ月も経つと』に修正しました
2020/12/29
『1ヶ月を回顧』を『2ヶ月を回顧』に修正しました。
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