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波乱の建国記念式典
建国記念式典当日の朝
そんなこんなで時が経ち、いよいよ建国記念式典当日となった。俺は朝から準備で大忙し……と言う訳でもなく、優雅に魔法陣関連の書物を読んでいた。
え?何でって?俺が男ってことと、服に全くもって無頓着だからだよ。
朝から何回も湯浴みして~服に不備がないか何回も確認して~化粧して~何時間もかけて髪をセットして~みたいなのは女性がすること。男性はあまりしない。美意識高い男性だとする人もいるけど。
理想の天使として俺が何か準備することある?ってペッテリに聞いたら「エルネスティ様は自然体でいてください……!」と熱く語られたので、その通りにすることにした。自然体で一番輝けるようにしてくれたのだろう。流石に髪を整えることぐらいはマナーとしてするけど。それはあまり時間はかからない。
と言うことで早めに支度が済んだ俺は時間を無駄にしないよう、いつも通り図書館に来て本を読んでいると言うことだ。もちろんヴァイナモも一緒。今日は近衛騎士としてのゴテゴテした正装だ。でも似合ってる。流石イケメン。
「……エルネスティ様、そろそろお時間ですよ。会場に向かいましょう」
「待ってください。後1文、いや1ページ、いや1章、いや1冊読み終えるまで待ってください」
「どんどん多くなってる……。ですがそれだと間に合いませんよ」
「今、いい所なんですよ」
本にのめり込む俺に上からヴァイナモが呆れて溜息をつく声が聞こえた。すまんな、ヴァイナモ。俺にとっては『魔法陣>式典』なんだよ!
「陛下に雷落とされますよ」
「大丈夫ですよ。聞き流せば良いのです」
「全然良くありませんって……」
ヴァイナモが絶望を滲ませてそう呟いた。……流石にこれ以上皇族としての義務を放棄するのは良くないよな。俺は皇族って身分のお陰で心置き無く研究出来てる訳だし。それにヴァイナモに迷惑はかけられないし。
俺がそう思って本から顔を上げようとしたその瞬間。小部屋の扉がバンっと開かれた。俺とヴァイナモは驚いてそちらを見ると、そこには焦った表情のカレルヴォ兄上の姿が。
「えっ?カレルヴォ兄上?」
「……やっぱりここにいた……。式典前に皇族が集まるってんのに何やってんだお前!?」
「……あれ?そんな話ありました?」
「話があったか以前に常識として知らないのかよ……」
カレルヴォ兄上は頭を抱えた。そう言えば皇族はこう言う公的な式典の前、全員が集まる会があるって話を昔、第二皇妃がしていたような……。もうその記憶が忘却の彼方に行ってしまっていたけど。
「ほら!本なんか読んでないでさっさといくぞ!どうせお前、このまま式典もサボるつもりだっただろ!」
「失礼ですね。ヴァイナモに言われたので行くつもりでしたよ」
「ヴァイナモが居なかったら行かなかったのかよ……」
「ちゃんと自分からも行こうと思いましたよ」
「どうだか……」
カレルヴォ兄上は俺の腕をグイグイ引っ張る。俺が本当のこと言うとカレルヴォ兄上にすごく呆れられた。何故に信用出来ない!?確かに俺の中で最優先が不動の魔法陣だけど!
「と言うか何故私がここにいるとわかったのですか?」
「お前が来てないって聞いた父上が俺に『アイツは絶対ここに居るから連れて来い』って頼まれたんだよ。俺は半信半疑だったんだが……本当にいるとは……」
何でわかったんだよ父上!エスパーか!
* * *
式典会場の皇族控え室。俺が遅れて入って行くと、そこには皇族の面々が勢揃いしていた。
「遅いぞ、エルネスティ」
「すみません。すっかり頭から抜けてました」
「そこは準備に手間取ったとか誤魔化せ」
「父上は私がどこにいたのかご存じでしょう?誤魔化すだけ時間と労力の無駄ですよ」
「ふっ。それもそうだな」
控え室に着いてすぐに皇帝陛下とそんな話をしていると、カレルヴォ兄上にペシッと頭をたたかれた。めっちゃ手加減してくれてる!痛くない!
「なんですか?カレルヴォ兄上」
「お前はまず言うべきことがあるだろう」
「……遅れて申し訳ございませんでした」
カレルヴォ兄上を見上げるとすごい顔で睨まれた。確かにさっきのは不誠実すぎた。流石に謝らないのはいけにいな、反省反省。俺は美しい姿勢で腰を90度曲げる。上からカレルヴォ兄上の溜息が聞こえた。
「……はあ。まあお前の奇行は今に……いや、今に始まったことだな。なんで俺は慣れている?」
「いきなり自問自答を始めないでください」
「事の張本人が何を言う」
俺はもう一度カレルヴォ兄上に叩かれた。こらこら兄上!父上の御前だよ!え?俺も人のこと言えないって?確かにな!(開き直り)
俺が頭を上げると父上は呆れて片眉を上げていた。すまんな息子がこんなんで。
「全く、研究熱心なのは良いがすべきことはしろ」
「心に刻んでおきます。皇族としての最低限の義務は果たすことを、ここに誓いましょう」
「お前最低限と言うよりギリギリのラインを攻めるつもりだろう」
「いえいえ、そんなことは」
「我の目を見て言え」
父上がめっちゃジト目でこっちを見てくる。いや~そんなに見られると照れちゃうな~(棒)
……とそれは冗談として。俺はスっと真面目な表情になって父上の目をしっかり見た。少し前のめりになっていた父上は軽く顎を引く。
「大丈夫です。今の環境は研究に最適なので、この環境を自分で壊すような真似は致しません。研究に皇族と言う身分が大いに役立っているのであれば、俺はきちんとその責任を果たすつもりです」
そうだ。俺は皇族と言う恩恵を存分に使っている。ならそれに見合うものを、俺も還元しなくてはならない。いくら変人でも、それくらいのことはわかってる。ただちょっと利己的で欲望に忠実なだけであって……え?そこが問題だって?
父上は俺の言葉を厳粛に受け取り、重々しく頷いた。
「……下手に綺麗事を並べるより余程信用出来る言葉だな。これでも我はお前に期待している。折角自由にさせているんだ。お前のこと、信じるぞ。失望させるな」
「……承知致しました。ありがとうございます」
俺は恭しく頭を垂れた。何故父上はここまで俺のことを気にかけてくれて、信頼してくれているのかはわからない。父上の中の俺像がどうなっているのかわからない。
でも、何となく。
父上の期待には応えたいなと、心の底から思った。
え?何でって?俺が男ってことと、服に全くもって無頓着だからだよ。
朝から何回も湯浴みして~服に不備がないか何回も確認して~化粧して~何時間もかけて髪をセットして~みたいなのは女性がすること。男性はあまりしない。美意識高い男性だとする人もいるけど。
理想の天使として俺が何か準備することある?ってペッテリに聞いたら「エルネスティ様は自然体でいてください……!」と熱く語られたので、その通りにすることにした。自然体で一番輝けるようにしてくれたのだろう。流石に髪を整えることぐらいはマナーとしてするけど。それはあまり時間はかからない。
と言うことで早めに支度が済んだ俺は時間を無駄にしないよう、いつも通り図書館に来て本を読んでいると言うことだ。もちろんヴァイナモも一緒。今日は近衛騎士としてのゴテゴテした正装だ。でも似合ってる。流石イケメン。
「……エルネスティ様、そろそろお時間ですよ。会場に向かいましょう」
「待ってください。後1文、いや1ページ、いや1章、いや1冊読み終えるまで待ってください」
「どんどん多くなってる……。ですがそれだと間に合いませんよ」
「今、いい所なんですよ」
本にのめり込む俺に上からヴァイナモが呆れて溜息をつく声が聞こえた。すまんな、ヴァイナモ。俺にとっては『魔法陣>式典』なんだよ!
「陛下に雷落とされますよ」
「大丈夫ですよ。聞き流せば良いのです」
「全然良くありませんって……」
ヴァイナモが絶望を滲ませてそう呟いた。……流石にこれ以上皇族としての義務を放棄するのは良くないよな。俺は皇族って身分のお陰で心置き無く研究出来てる訳だし。それにヴァイナモに迷惑はかけられないし。
俺がそう思って本から顔を上げようとしたその瞬間。小部屋の扉がバンっと開かれた。俺とヴァイナモは驚いてそちらを見ると、そこには焦った表情のカレルヴォ兄上の姿が。
「えっ?カレルヴォ兄上?」
「……やっぱりここにいた……。式典前に皇族が集まるってんのに何やってんだお前!?」
「……あれ?そんな話ありました?」
「話があったか以前に常識として知らないのかよ……」
カレルヴォ兄上は頭を抱えた。そう言えば皇族はこう言う公的な式典の前、全員が集まる会があるって話を昔、第二皇妃がしていたような……。もうその記憶が忘却の彼方に行ってしまっていたけど。
「ほら!本なんか読んでないでさっさといくぞ!どうせお前、このまま式典もサボるつもりだっただろ!」
「失礼ですね。ヴァイナモに言われたので行くつもりでしたよ」
「ヴァイナモが居なかったら行かなかったのかよ……」
「ちゃんと自分からも行こうと思いましたよ」
「どうだか……」
カレルヴォ兄上は俺の腕をグイグイ引っ張る。俺が本当のこと言うとカレルヴォ兄上にすごく呆れられた。何故に信用出来ない!?確かに俺の中で最優先が不動の魔法陣だけど!
「と言うか何故私がここにいるとわかったのですか?」
「お前が来てないって聞いた父上が俺に『アイツは絶対ここに居るから連れて来い』って頼まれたんだよ。俺は半信半疑だったんだが……本当にいるとは……」
何でわかったんだよ父上!エスパーか!
* * *
式典会場の皇族控え室。俺が遅れて入って行くと、そこには皇族の面々が勢揃いしていた。
「遅いぞ、エルネスティ」
「すみません。すっかり頭から抜けてました」
「そこは準備に手間取ったとか誤魔化せ」
「父上は私がどこにいたのかご存じでしょう?誤魔化すだけ時間と労力の無駄ですよ」
「ふっ。それもそうだな」
控え室に着いてすぐに皇帝陛下とそんな話をしていると、カレルヴォ兄上にペシッと頭をたたかれた。めっちゃ手加減してくれてる!痛くない!
「なんですか?カレルヴォ兄上」
「お前はまず言うべきことがあるだろう」
「……遅れて申し訳ございませんでした」
カレルヴォ兄上を見上げるとすごい顔で睨まれた。確かにさっきのは不誠実すぎた。流石に謝らないのはいけにいな、反省反省。俺は美しい姿勢で腰を90度曲げる。上からカレルヴォ兄上の溜息が聞こえた。
「……はあ。まあお前の奇行は今に……いや、今に始まったことだな。なんで俺は慣れている?」
「いきなり自問自答を始めないでください」
「事の張本人が何を言う」
俺はもう一度カレルヴォ兄上に叩かれた。こらこら兄上!父上の御前だよ!え?俺も人のこと言えないって?確かにな!(開き直り)
俺が頭を上げると父上は呆れて片眉を上げていた。すまんな息子がこんなんで。
「全く、研究熱心なのは良いがすべきことはしろ」
「心に刻んでおきます。皇族としての最低限の義務は果たすことを、ここに誓いましょう」
「お前最低限と言うよりギリギリのラインを攻めるつもりだろう」
「いえいえ、そんなことは」
「我の目を見て言え」
父上がめっちゃジト目でこっちを見てくる。いや~そんなに見られると照れちゃうな~(棒)
……とそれは冗談として。俺はスっと真面目な表情になって父上の目をしっかり見た。少し前のめりになっていた父上は軽く顎を引く。
「大丈夫です。今の環境は研究に最適なので、この環境を自分で壊すような真似は致しません。研究に皇族と言う身分が大いに役立っているのであれば、俺はきちんとその責任を果たすつもりです」
そうだ。俺は皇族と言う恩恵を存分に使っている。ならそれに見合うものを、俺も還元しなくてはならない。いくら変人でも、それくらいのことはわかってる。ただちょっと利己的で欲望に忠実なだけであって……え?そこが問題だって?
父上は俺の言葉を厳粛に受け取り、重々しく頷いた。
「……下手に綺麗事を並べるより余程信用出来る言葉だな。これでも我はお前に期待している。折角自由にさせているんだ。お前のこと、信じるぞ。失望させるな」
「……承知致しました。ありがとうございます」
俺は恭しく頭を垂れた。何故父上はここまで俺のことを気にかけてくれて、信頼してくれているのかはわからない。父上の中の俺像がどうなっているのかわからない。
でも、何となく。
父上の期待には応えたいなと、心の底から思った。
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