39 / 65
三章:ライアンからの依頼
38 彼の正体は……
しおりを挟む
「アイリスさん。良い物持ってますね」
話してるのはアイリスともう一人は男。
聞いた事のある声だが、顔が見えないので誰かは分からない。
「これは借り物だ。お前に渡すような物ではない」
「つれないなぁ。一緒にチームを組んでた仲じゃないですか。チラッと見せてくれれば良いんですよ」
「ふん。お前に渡したら最後。その能力で自分の懐に隠してしまうんだろ?」
「チェッ。つまんないなぁ。アイリスさんのそういう所、嫌いじゃないけどなぁ」
俺はミファたちと顔を見合わせる。
どうやらアイリスと話してる男は、ネルロと一緒にいたポーターらしい。
アイリスを追い出したチームのメンバーが、何故アイリスと接触を?
「まぁ、良いや。あのライアンてさ、本当に強いの? 本職は冒険者じゃなくて鍛冶屋なんだろ? そのままその武器だってパクっちゃえば良いじゃん。そんで僕らの所に戻ってきなよ。Fランクと役に立たなそうなメンツばかりの所にいたって仕方ないだろ?」
「ケンカ売ってるのか?」
「とんでもない」
ポーターの声に焦りが見えた。
「アイリスの実力は僕らの方が分かってるしさ、強力な武器が手に入れば、僕らだけでドラゴン退治のクエストだってこなせる。ライアンの名前と武器さえあれば、僕らは無敵のチームになると思わないか?」
「リヒト。お前は私に殺されたいのか?」
「武器を下ろせよ。別に戦いに来たわけじゃないんだから。悪かったよ」
「失せろ。今の私のリーダーはジンだ。どちらにせよ近い内にチームを離れようとは思ってたから戻る気はない」
「そうかい。せいぜい後悔するなよ」
「それはこちらのセリフだ」
アイリスがこちらをチラリと見た気がした。
足音が遠くへと消えていく。
ポーターのリヒトが去っていったようだ。
「心配するな。私は皆を裏切ったりはしない」
「気づかれてたか」
「ああ」
「アイツ。気を付けた方がいい」
「ジンさん。彼はそんなヤツじゃない。所詮はポーター。大した実力は無い」
アイリスはそう言って笑う。
「アイリス。アイツは気を付けた方がいい」
俺はもう一度言う。
「しかし。私はヤツが戦う所を何度見てる。ジンさんは無いだろ?」
アイリスが尚も強く否定する。
「無くても分かる。アイツはまだ本当の能力を隠してる」
「でも、さっきだってヤツは!」
「ただのポーターが一人でここに? ドラゴンが出るような場所だぞ?」
「それは……」
「何かアイリスも知らない力をアイツは持ってる可能性が高い。だから、警戒だけは怠るな」
「わ、分かったよ」
俺はミファたち方に向き直る。
「そろそろ戻ろうか。ライアンと合流しよう」
話してるのはアイリスともう一人は男。
聞いた事のある声だが、顔が見えないので誰かは分からない。
「これは借り物だ。お前に渡すような物ではない」
「つれないなぁ。一緒にチームを組んでた仲じゃないですか。チラッと見せてくれれば良いんですよ」
「ふん。お前に渡したら最後。その能力で自分の懐に隠してしまうんだろ?」
「チェッ。つまんないなぁ。アイリスさんのそういう所、嫌いじゃないけどなぁ」
俺はミファたちと顔を見合わせる。
どうやらアイリスと話してる男は、ネルロと一緒にいたポーターらしい。
アイリスを追い出したチームのメンバーが、何故アイリスと接触を?
「まぁ、良いや。あのライアンてさ、本当に強いの? 本職は冒険者じゃなくて鍛冶屋なんだろ? そのままその武器だってパクっちゃえば良いじゃん。そんで僕らの所に戻ってきなよ。Fランクと役に立たなそうなメンツばかりの所にいたって仕方ないだろ?」
「ケンカ売ってるのか?」
「とんでもない」
ポーターの声に焦りが見えた。
「アイリスの実力は僕らの方が分かってるしさ、強力な武器が手に入れば、僕らだけでドラゴン退治のクエストだってこなせる。ライアンの名前と武器さえあれば、僕らは無敵のチームになると思わないか?」
「リヒト。お前は私に殺されたいのか?」
「武器を下ろせよ。別に戦いに来たわけじゃないんだから。悪かったよ」
「失せろ。今の私のリーダーはジンだ。どちらにせよ近い内にチームを離れようとは思ってたから戻る気はない」
「そうかい。せいぜい後悔するなよ」
「それはこちらのセリフだ」
アイリスがこちらをチラリと見た気がした。
足音が遠くへと消えていく。
ポーターのリヒトが去っていったようだ。
「心配するな。私は皆を裏切ったりはしない」
「気づかれてたか」
「ああ」
「アイツ。気を付けた方がいい」
「ジンさん。彼はそんなヤツじゃない。所詮はポーター。大した実力は無い」
アイリスはそう言って笑う。
「アイリス。アイツは気を付けた方がいい」
俺はもう一度言う。
「しかし。私はヤツが戦う所を何度見てる。ジンさんは無いだろ?」
アイリスが尚も強く否定する。
「無くても分かる。アイツはまだ本当の能力を隠してる」
「でも、さっきだってヤツは!」
「ただのポーターが一人でここに? ドラゴンが出るような場所だぞ?」
「それは……」
「何かアイリスも知らない力をアイツは持ってる可能性が高い。だから、警戒だけは怠るな」
「わ、分かったよ」
俺はミファたち方に向き直る。
「そろそろ戻ろうか。ライアンと合流しよう」
0
あなたにおすすめの小説
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる